劇場公開日 2010年1月15日

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「重なり合ってねむりたい」かいじゅうたちのいるところ tomozoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0重なり合ってねむりたい

2010年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

アバターの最先端3Dの記憶が新しいというのに、この映画、かいじゅうたちが「着ぐるみ」なのだ!なんてアナログな!私のこどもの頃なんて、ウルトラマンだってロバくんだって、み〜〜〜んな着ぐるみだったのだ。なんともノスタルジックな気分になるけれど、そうはいってもあのリアルな表情はやっぱり CG。でも、やっぱりなんだか優しさがある。あのふかふかしてそうな毛並みや、ドンってぶつかっても痛く無さそうな身体。テレタビーズのようなキモかわなキャラクターたち。私、実はテレタビーズの大ファンで、ビデオ持ってるくらい好き。だから、はっきりいって、この映画のかいじゅうたちは、ツボなのだ!

そんなキャラクターをスパイク・ジョーンズ監督がイキイキと動かす。最初は食われてしまうのかとちょっと怖いかいじゅうたちも、時折見せる繊細な表情と、屈託のない笑顔、やさしさ。あ〜、私もかいじゅう踊り、踊りたい。重なり合って眠りたい。

たしかに、よくよく考えると、マックスはかいじゅうたちをめちゃくちゃにした。キャロルやKWの問題も何も解決していなくて、その後どうなったのかもわからない。それでも、あの別れのシーンに胸がいっぱいになるのは、あの「がお〜〜〜ん」という声の中に「大好き」というのが見えるから。孤独に感じたって、マックスはママが好きだし、ママだって恋人がいたってマックスが大事なのだ。キャロルだって、王様じゃなかったけどマックスが好きだった。KWも新しい友達ができたってキャロルが好きなのだ。

マックス=キャロルであることは明確で、キャロルのあばれっぷりでマックスは自分がわかる。まさしく、人のふり見て我が身を治せ(苦笑)。でも、見終わった後にきゅんとしつつも、ほんわかあったかい気持ちになれる。いつだって、おとなになったって、心に中にかいじゅうがいることを忘れちゃいけない。太陽が隠れた夜、暴れて吠えたくなったら、かいじゅう踊りを踊ろう。それから、重なり合って、みんなにお休みを言おう。そしてもう一つ、「王様じゃないこと」それから「普通の子どもであること」を忘れちゃいけない。

映像も素晴らしくて、浜辺を歩くKWとマックスの背景の空とか、砂漠をキャロルとマックスが歩くシーンや、がけの上にポツンとたたずむキャロルの姿とかが、美しくて、かわいくて、そこにかぶる音楽がまたすごくいいんだよね。そうそう、あの砂漠ですれ違った大きな犬、なんだか夢で見たような何とも幻想的なシーンであのシーンも好き。あ〜、これはDVD出たら買うかも。

tomozo