「小さな子を持つ親に観てもらいたい」かいじゅうたちのいるところ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
小さな子を持つ親に観てもらいたい
子供が持つ残酷さ、とくに男の子が持つ癇癪が物語の根底にある。
それは、優しさとの裏腹で、家族を思う気持ちが強い反面、良かれと思ったことに家族が答えてくれないと暴挙に走る。子供ばかりに限らず、男の場合、いくつになってもそうしたところがあるように思う。星野一徹がちゃぶ台をひっくり返すのも同じ理屈だ。
かいじゅうのキャロルもまた、そうした自分の思いが他に届かないもどかしさに腹を立てる。作者もそうしたことを強調したかったのか、少年の心の葛藤を描くのに、冒頭でかなりの時間をあてている。
とはいうものの、いくら原作が絵本とはいえ、映画の演出に芸がなく一本調子でのっぺりしている。映画的なエッセンスが不足で、大人の鑑賞には堪えない。いまどきの映画としてはかなり飽きる。そもそも、作者のメッセージは、かいじゅうたちが出る前、冒頭の15分で発してしまっている。
強いて言うなら、小さな子供を持つ母親に観てもらいたい。子供は何を欲しているのか、反抗期はあるべくしてあるものといったことが理解できるかもしれない。
コメントする