「長回しはいいのですが、妙に長い間延びしたシーンが多々あって、素人作品に近いもののを感じました。」きみの友だち 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
長回しはいいのですが、妙に長い間延びしたシーンが多々あって、素人作品に近いもののを感じました。
喪失と希望、痛みと再生がテーマの重松清の原作が持つナイーブな感性を感じさせる作品です。しかし映画としては、素人作品に近いもののを感じました。
長回しはいいのですが、妙に長い間延びしたシーンが多々あって、台詞がないのに人が佇んでいたり、次の台詞が出るまでのタイミングが結構遅かったりします。
あと台詞が所々棒読みになっているところもありました。映画出演の経験のない若手を起用しているのはいいですが、ちょっと酷すぎると思います。
あと低予算ミエミエのところとして、ロケ現場が限られていて、同じ場所の使い回しが目立ちました。相当短いスケジュールで、効率的に撮ったのでしょう。
肝心のストーリー面でも、カットバックを多用し、恵美がその時々に撮影した身の回りの人のエピソードをランダムに描いたため、肝心の由香との友人関係が希薄になってしまっていました。物語中盤には、突如由香は登場しなくなり、終盤にはもうベッドで療養中だったのです。
さらに音声のセットがライブ気味な収録で、台詞が聞き取りにくいところもありました。
それなりのキャストと監督なら、きっとLittleDJkような感動作になったはずです。
ただ、恵美が知り合ったライター写真展の開催を勧められたとき語る、『「みんな」という言葉は嫌い』という気持ちには共感できましたね。「みんな」って誰のこと?それより、大切な人に来て欲しいという言葉はなるほどと思いました。
恵美にとって沢山の友達に恵まれるよりも、由香とのたったふたりの関係が、とても掛け替えのない日であったのです。
友情って、量よりも質でしょうね。
この作品で見せられる友情は見ていて悪くはないので、小地蔵も魂レベルで深く交じり合う友が持てたらいいなぁと啓発されましたよ。