「まるで寄木細工のように丹精込めて作り上げられていた」きみの友だち septakaさんの映画レビュー(感想・評価)
まるで寄木細工のように丹精込めて作り上げられていた
上映前に監督と、
メイン役3名の舞台挨拶がありました。
そのため、通常の上映とは違い、最前列から
席が埋まっていく。ちょっと、違和感というか
怖かったです。その分、見やすいポジションが
キープできましたので、ラッキーでした(笑顔)
さすがに、舞台挨拶後、映画を見ずに、
最前列の2名が帰ったのには、言葉を失いましたが(苦笑)
この作品、監督曰く・・
・演技は3人の感性に任せました
・原作に感動をしたので、その感動を映画にしたかった
・別に「ともだちは、絶対に必要とは思わない」
・ともだち以外にも、メッセージは込められている
・現場は、和気藹々、ではありませんでした
など、朴訥と語られていました。
上映前だったため、深くも突っ込めず、
苦しい点はあったのですが、インタビュアーが
台本そのままで、しかも質問が下手で、
監督と、一部の出演者はイラっとしていたようでした。
私も、イラっとしていました(苦笑)
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”遅効性”の感動をしました。
ラストシーン、エンディングの歌詞、
その二つが合わさったときに、心に、
化学反応が起きてしまいました。
そこから、泣きっぱなし。
次の映画館の道中「やばい、やばい」と
左斜め上を見て、涙が落ちないようにしてました。
ただ、先にコレだけは、書いておきます。
「万人受けする作品」では、ないと思います。
これだけ、感動しておきながら、矛盾すると
お思いになられるかもしれませんが、1年前の私なら、
「なにこれ、時間返してよ」と怒っていた気もします。
理由、ストーリーが淡々としすぎていて、
これ、原作、短編集なんでしょうか?
主役を、ハブにしながら、脇役の人物を
スポークのように、1人ずつ描いていくんです。
そして、1人ずつ、
「友情」を重心におきつつ、
「死」「羨望」「身体障害」など、
サブテーマを盛り込んでいく。
「メッセージ、受け止めます。お願いします」
積極的に作品の世界へ飛び込んでいく姿勢であれば、
共感できることも多く、心動くと思うんです。
でも、
「面白い作品見せてください。待ってますよ」
完全受身の姿勢で見た場合。メッセージは届かない
気がします。セリフ立てていませんし、派手な
出来事も用意されていませんから。
一昔、流行った「ウォーリーを探せ」
お客様側から、メッセージを探しに
行かなければ、見つからない、
そのような作品に思えました。
《みんなは信じない。ひとりがわかってくれればいい》
小学、高校~社会人まで、描かれている。
心に残った、それぞれのとき、は、
[小学校]
・「こんな足になったのは、
あなたのせいでもあるんだからね」と
つい、吐いてしまうシーンと、それを受けた翌朝のシーン
[高校]
・いつも二人でいるシーン
・吉高さんが、石橋さんに、雲の写真を渡すシーン
[成人]
・石橋さんの写真展に、北浦さんの両親が
ある写真をもって、訪れるシーン
全体を通して、セリフは多くないです。
沈黙という声、を使うシーンが非常に多いです。
説明セリフが、ほとんどありませんので、
観客側で、思いを膨らませられる場面が多い。
「監督、よくここまで、間をとれるよなぁ」って
感心したくなるほど。シーン転換前だけでなく、
セリフとセリフの間にも、そんな場面がありますので、
余計に、その感心を強くさせられました。
《「思い出をたくさん作ってしまうかも
しれないけど、一緒にいてもいい?」「いいよ」》
ここまでのシーン、このセリフ、
ある贈り物、ある場所、そしてエンディング歌詞。
そのすべてが、全部あわさったその瞬間、
遅効性の感動、落涙へと繋がってゆきました。
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作品披露試写会、上映終了後、
著者重松さんは、監督廣木さんと、抱き合ったそうです。
著者も感動するほどの、世界がそこにあった証ではないでしょうか。
あまり多くの映画館で上映されていないのが
残念ですが、もしよろしければ、一度ご覧下さい。
~なん年か経ったとき、
「よく、この5人を集められたね」
そんな思いで振り返ることになりそうな気がしました~
※注:5人
石橋さん、北浦さん、吉高さん、森田くん、柄本くん