「まごうことなき最高傑作」トイ・ストーリー3 ぽよのすけさんの映画レビュー(感想・評価)
まごうことなき最高傑作
トイストーリー3。これはただのおもちゃの物語ではなく、心を揺さぶる最高傑作だ。
見た目だけで苦手意識を持っていたアメリカンなおもちゃたちが、ここまで深く心に響く存在になるとは思わなかった。自分を恥じた。
ウッディたちが手を取り合って焼却炉に流される覚悟の瞬間、息呑むほどの緊張と苦しさを覚え、思わず涙がこぼれた。
そしてロッツォという悪の象徴にさえ、ウッディたちは見捨てない。ヒールでも、弱くても、間違いを犯しても、最後まで仲間を信じる姿勢が、友情と勇気の本質を教えてくれる。最後まで悪を貫くロッツォがトラックの前面に貼り付けられていたのは爽快だった。因果応報、ありがたい。
さらに何気ないバービーのセリフ、
「権力は脅しではなく、統治される者の同意から生まれるべき」は、物語の表面的な面白さを超え、哲学的な深みをもたらす。社会や信頼の本質まで一瞬で考えさせられる、さりげなくも刺さる名言だ。
アンディの引き渡しのシーンでは、尊さと悲しさが同時に押し寄せる。自分の愛してきたおもちゃを思い浮かべ、自分の経験と重ね感情がぐちゃぐちゃに。
本作を見て流した涙はウッディたちのためでもあり、アンディのためでもあり、「自分の過去の大事だった何か」のためのものなのかなと考えてみたり。一緒に過ごした時間への最大限の敬意と、もう戻らない子ども時代への弔い、でもちゃんと未来へ託すという愛の更新。美しい儀式だった。
すべてを含め、ウッディたちのヒーロー像。強さ、友情、勇気、そして誰も見捨てない心がこの作品を唯一無二にしている。観終わった今、僕はもう二度と見た目だけで判断する自分には戻れない。
ウッディたちはヒーローであり、家族であり、永遠の相棒だ。
