「出色のアクションシーン!」実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち) H・Hさんの映画レビュー(感想・評価)
出色のアクションシーン!
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あさま山荘モノでは「光の雨」「突入せよ!~」に続く3本目。比べて申し訳ないですが、本作が最高と思います。タイトルからすると、あさま山荘に立てこもるまでの映画かと思っていたら、立てこもってからの機動隊との攻防戦までしっかりありました。この攻防戦が実に凄い!「七人の侍」の雨中のシーンに匹敵するのではないでしょうか。「突入せよ!~」と反対に、外からガンガン攻められる有様が山荘内の視点で描かれます。あの事件の際、外から見えなかった中ですが、中からも外はよく見えなかった(と思われる)、そこに壁をぶち割って鉄球が打ち込まれる。柱も梁も折れる!その恐怖!また、映画では水を使うのは特に難しいそうですが、外からの放水も凄まじい勢いでくる。あんな高圧水で叩かれたらカメラなんかひとたまりもなかったでしょう。演じた人・監督さん・撮影陣に最高度の賞賛をおくりたいです。
前半の全共闘運動等のれきしのパートは学校の教科書みたいでカタい描写でした。原田芳雄のナレーションもうまいとは言えなかった。
かつては敵前逃亡をした卑小な男だった森恒夫が、連合赤軍を結成してから独裁者になって、「総括」などとして大勢死に至らしめた過程、永田洋子の酷薄さは劇場を出ようかと思ったくらいでした。その辺もちゃんと描いているのはよかった。
山荘内で攻防の最中にビスケットを一人で食ったとかどうとかで「総括を求める!」などと、この期に及んでも言っている奴もいたりして(劇場内一部失笑)、人間の愚かさを見せつけられました。「理想の国」とか「理想の社会」を追い求めることがこういう残酷な「笑えぬ喜劇」を生むとすれば、より多くの人に見てもらいたい作品です。
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