「痺れた」シークレット・サンシャイン JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)
痺れた
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良かった。
まず緊迫感のあるシーン作りが上手い。
特に、面会シーンと、終盤の美容院シーン。
面会のシーンでは、度肝抜かれた。
こちらが神への信仰で一時的に障壁を乗り越えて、
相手を許すのだ、と思ったらあの仕打ち。
相手も、神への信仰によって、神から許しを得たのだと。
神の裏切りに震える主人公の表情が忘れられない。
(そして後ろにいる気づいていないソンガンホ…)
あと、美容院のシーン。
犯人の娘と偶然にも対面してしまう。
この瞬間、2人だけの間に何かが流れる。
2人以外は気付いていない交流。
ここから一気に緊張感が増す。
娘はやがて、目に涙を溜める。
2シーンともやや都合いい偶然がある事はあるのだが、
ストーリー展開として、素晴らしいと思った。
彼女が子供を失った後で、宗教に辿り着くのも納得だった。
最初は馬鹿馬鹿しくみていたそれも、
何かに縋るしかなくなった状況下で様々な事を試みて、辿り着く結論なのならば、それもくだらない事などとは言い切れない。
ラストシーンも本当に陽射しの様な暖かさが残る。
美容院で娘から髪を切られることを拒否する主人公。
つまり、娘を「許すこと」ができなかった。
(この後に、地元の服屋の女主人と会って
笑い合うのがとてもとても良かった…)
許すことが出来なかった主人公は、
庭で自ら自分の髪の毛を切る。
「許せない」ことを認めて、正直な自分で生きるのだ。
そして、「秘密の陽射し」が差し込む、
「許さない」ことで彼女は自分のままで居続けることが出来るのだ。
それこそがまさに、彼女の中のシークレットサンシャインでは無いだろうか。
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