劇場公開日 2008年10月25日

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「派手な剣術ではなく、悲しい繊細な盲目剣士に魅了された」ICHI Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5派手な剣術ではなく、悲しい繊細な盲目剣士に魅了された

2013年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

悲しい

興奮

総合:70点
ストーリー: 60
キャスト: 80
演出: 70
ビジュアル: 75
音楽: 75

 時々出てくるちょい役の人々の科白や演技にわざとらしいところがあって気になった。特に大沢たかおの最初のほうのへっぴり腰ぶりの演技は大袈裟に感じて不自然だった。普通は若い女優が女だてらに殺陣まわりをやると弱弱しい動きで迫力がないものだが、スローにしたり動きの速さを変えたりする撮影方法に工夫をしたりした部分も見受けられて、綾瀬はるかの剣術は健闘していた。抜いた剣を撃ち合う撃剣ではなくて、鞘から刀を一気に抜いて相手を斬る技術である居合を使っているのも、力の弱い女性や盲目の人には向いているかもしれないだろうから、わざわざそれを採用しているのも工夫が見られた。

 物語は黒沢映画の「用心棒」をなぞっているだけで目新しさはない。物語だけでなくてけっこう他にも文句のつけどころもあったのだが、心に傷を持つ悲しい過去を持った美しい女座頭市の繊細な雰囲気が印象に残って、悪くない作品だった。綾瀬はるかの儚い薄幸の美女には正直魅かれたので、ここの部分で評価は高め。
 でも剣術を中心にするならばやはり中村獅童の登場場面とかのほうが迫力がある。細身の綾瀬はるかは無理して女座頭市やるのでなくて、他の役柄の設定だったほうがもしかするとより良い物が出来たのかもしれない。

 美しい自然を情感的に使う映像は好感が持てた。そのような雰囲気にあった音楽もやはり美しかった。あまり日本的ではないと思ったら、作曲者は外国人のようだ。日本の時代劇だからといって和風の音にこだわるのではなく、こういう寂しく悲しい音もいい。

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Cape God