劇場公開日 2008年4月12日

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「淡々とした演出では「冷めた心」は理解不能」パラノイドパーク ジョルジュ・トーニオさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5淡々とした演出では「冷めた心」は理解不能

<ストーリー>
アレックスはスケボーが好きで、ちょっと何事にも冷めている高校生。彼女もいるが、特に夢中なわけでもなく、何となく毎日を過ごしている。そんなある日、スケボー好きの集まる「パラノイドパーク」で一人でいた彼は、年長のボーダーに誘われて列車に飛び乗る遊びに興じるが、そこで警備員に見つかり付き飛ばしてしまう。そこへ別の列車が来て・・・

<個人的戯言>
【♪レ~ジ~メ~♪】
正直最初の方の記憶が・・・元々「エレファント」も駄目で、ガス・ヴァン・サントはどうも性に合わないと思いながらも、予告で引っ掛かったため、とにかく確認のための鑑賞だったため、眠気に抵抗する気もなかったかも。

しかしその辺を差し引いたとしてもやはり無理~っ!あるいは昨今の若年の殺人者の気持ちなんてこんなものかもしれません。まして彼にはその気はなく、言わば事故のようなもの。でもそれをただ淡々と描くことで、その感情を理解出来ると思っているのでしょうか??追い討ちをかけるように挿入されるスケボー・シーンやスロー・モーション。これも「冷めた心」の象徴?更に全く場面にも流れにも合わないように思える音楽の選曲。もう二度と観ません、ガス・ヴァン・サント。

【ぐだぐだ独り言詳細】
最初の記憶喪失?のため、時間軸をいじった構成だったので、ストーリーの流れを掴むのに苦労しました。なので正当に評価出来ないとは思います。それにしても「エレファント」にしてもそうでしたが、その「心情」を表現するのに、ただ淡々と描く手法には、どうにもついていけません。

背景等も特になく(1点のみそれらしきものはあります)、ただそういうものだと言われればそうなのかもしれませんが、何かその「冷めた心」を表す事象を、徹底して見せてもらって、「もう充分!もうわかった!」と思わすものがほしい気がします。彼女との間や、挿入されるスケボー・シーンやスロー・モーション等は、それにあたるのでしょうが、それでは理解できませんでしたし、特にスケボー・シーンとスロー・モーションは、「想い出」として出てくる部分以外は、突然出てくることに違和感すら感じます。でおまけに淡々としながら、一応考えて辿り着くのがその程度で・・・これは原作のせいかもしれませんが・・・

更にその「冷めた心」にシンパシーは感じなくても、理解しようとするのを妨げるのがその選曲。例えばこういうムードなら、音楽がそれをバック・アップすることも考えられますが、これがどう考えても場違いな感じの、能天気な音楽が流れたり(空気感的に敢えてこういう選曲もありだとは思いますが、ここではそんな空気感も出てません)、突然ゆる~い曲が流れたりと、もうどんどん自分の顔がしかめっ面になっていくのがわかりました。隣の人がやたら携帯を開いて、光を放っていたのだけが原因ではないと思います。

というわけで、とにかくいい悪いよりも、こういう演出方法は私は嫌いです。なので「ガス・ヴァン・サント」ファンの皆さん、ごめんなさい、いろいろ書きまして。もう観ませんのでお許しを。

ジョルジュ・トーニオ