「月並みだけど、ハートウォーミングとはこのこと」ラースと、その彼女 just_a_catさんの映画レビュー(感想・評価)
月並みだけど、ハートウォーミングとはこのこと
DVDレンタル店で、DVDのパッケージ裏の「彼が連れて来た彼女は・・・人形?!」
みたいなあらすじを目にするやいなや、
「あぁ、ちょっぴり性癖に偏りのあるライアン・ゴズリングが、ラブドールに夢中になる様を、面白おかしく、周りを巻き込みつつも、ハートウォーミングに描きました♪」
という、シュール・アート系の作品だと勝手に予想し、大変下世話な下心で借りてきました。すみませんm(__)m
まぁ、良く言うと非常にリラックスした状態で、関心を持って鑑賞に臨んだわけです。
観た感想は、月並みではありますが、
ズバリ「ハートウォーミングストーリー」でした。
「ラブドール」という、異端な出演者が使われていますが、脚本や演出に嫌らしさや俗っぽさはありません。むしろ、物語全体の雰囲気・流れは穏やか。主人公と街の人々のごくごく平凡な暮らしぶりが描かれています。
ストーリー途中はラースの理解しがたい行動を、ただただ追うだけでしたが、
だんだんと要因が浮かび上がってくるにつれ、ラースの繊細さと、家族と街の人がそれを見守る姿に心動かされました。
心の傷と向き合い、癒し、閉じた鍵を開ける・・・
そういった作業を描いている作品だったんだと、物語終わりにしみじみ思いました。
終盤には、なんでもないラースの言動が心の琴線に触れ、つい涙してしまいました。
心の傷と一言にいっても、非常に深く、難しいものだと思うのですが、「一人の人間が、周りの助けも借りながら、心の整理をしていく」という話です。その手立てに「ラブドール」が用いられたというわけだったのです。
そして、そんな映画の主人公に少なからず自分を重ね、私自身もインナーチャイルドに何かが染みたのだと思います。
穏やかな話が好きで、物語に大きな抑揚がなくても割と興味を持って観れる方、むしろそういうミニシアター系の映画好き!という方には、かなりオススメです。
※インナーチャイルド=子供時代の頃の記憶や心情、感傷