「彼は自分でそう決めているのだ」ラースと、その彼女 えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)
彼は自分でそう決めているのだ
素晴らしい映画でした。
内気で物静かな主人公ラースがある日、突然、通販で買ったセックスドール「ビアンカ」を彼女だと言い出す。田舎町を巻き込んだ愛おしく穏やかな騒動が巻き起こる。
セックスドールという突飛なメタファーは、「自己」と「慈しみ」といった、作品に底流するテーマを押しつけがましくなく映し出す。
ラースを、ビアンカをどうするか?という彼岸の問題がいつしか、それを自分たちはどう受け入れるか?という此岸の問題になっていく様が愛おしい。
物語を取り囲む世界、例えば、冬から春へ流れる季節性、兄嫁の妊娠、同僚のフィギュアやぬいぐるみへの執着なども主ストーリーを程よく包む。
彼は自分でそう決めているのだ、という女医のことばが印象的な名作です。
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