「受け入れること」ラースと、その彼女 クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
受け入れること
リアルドール、ラブドール、呼称は色々あるけれど性玩具。
ハッキリ言って、男の夢の具現化したものである。
他人との交流を疎ましく思うと、ヒト以外の何かに依存するのは、
人形だけじゃなくてペットとかも同じであると思う。
ラブドールをみんなに紹介するラースの気持ちは、
「ウチの‘子’かわいいでしょ」と犬や猫を見せる心理に近いと思う。
一般的なペットが、ラースにとってはビアンカだっただけ。
男の夢の具現化を純粋に愛するラースを、
周りが認めていく姿がじんわり滲みてくる。
ラースは他人から観れば変わっている、
でも私たちの弟だから一緒に暮らしたい、
その思いを、夫ガスとともに町の人々に伝え理解を得ていく。
ラースを密かに好きだったマーゴもビアンカを彼女と認め、
その上でラースと付き合う姿も素敵である。
元々ラースが生まれた時に母が死に、
それ故か否か、ラースは町の人々に愛されていた。
そのラースの姿を変えようとするのではなく、
認めて信じてあげることを勧めたバーマン医師が、
この話でのキーマンになる。
「ビアンカが重病だ」(ラース)
「彼が決めているのよ」(バーマン)
重病なのはラースであると言いたかったのか。
重病になる前からその兆候はあって、「秘密のデート」で一気に“発症”した。
その病を経て、ラースがどうなっていくか、
ラストは少し嬉しくなった。
是枝監督作、「空気人形」とセットで観てください。
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