劇場公開日 2008年3月15日

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「誰もが通過する青春の痛みを描いたドラマ」コントロール ダース平太さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0誰もが通過する青春の痛みを描いたドラマ

2008年3月26日

泣ける

興奮

イギリスの主要映画賞に名を連ね、カンヌでも高い評価を得た作品だということで観てみたのだが、そういった賞は関係ないとしても、誰もが通過する青春の痛みを描いた優れたドラマだと思いました。

実は、本作の主役、イアン・カーティスがボーカルをしていたジョイ・ディヴィジョンについては、何の予備知識もないまま映画を観たのだけれど、その真摯な生き方…裏返せば、とても不器用な生き方は、人生の一時期、誰しも経験するものなのではないかと思う。それから、実在のミュージシャンを主人公にした映画ということで、「ただの音楽ドラマなのでは?」と思う方もいるかもしれないが、観てもらえば、そうでないことは分かってもらえると思う。

また、監督が世界的に有名なフォトグラファーというだけあって、さすがに映像が美しい…正確に言うと構図がいちいち格好いい。でも、決して静止画の写真集ではないのが、また素晴らしい。今では珍しいモノクロ作品だけど、それが1970年代の空気や、抱えきれない感情を持て余していただろう若きイアン・カーティスの心を象徴していた気がする。てなわけで、見逃すにはもったいない1本じゃないだろうか。

ダース平太