「納得!!」ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 yoneさんの映画レビュー(感想・評価)
納得!!
やっと観ました。「エヴァンゲリオン」の新作。
仕事帰りに梅田の「梅田ブルク7」という映画館へ。
レイトショーなので1,200円。大変お得。やっぱ映画観るならレイトショーに限る。
エヴァンゲリオンのTV版を放映していたのは、忘れもしない大学生の頃。もう15年くらい前。当時ストーリーはわけがわからないが、そのクオリティの高さと何より高橋洋子のあの主題歌「残酷な天使のテーゼ」に魅せられ、毎週楽しみに観てた記憶が蘇る。
そして、あの「放送事故か?」と思えるようなTV版のラストから、劇場版へ。
新劇場版の話をする前に、まずは改めて今までのエヴァを総括させてもらう。
はっきり言って、昔のエヴァは物語として「完全に」破綻している。TV版は「レイ」や「アスカ」のキャラの強さにかなり助けられ一部マニアに支持されたが、キャラはどうでも良い自分としては、聖書やら預言書やら引用して謎めいた言葉を並べ、トラウマだらけの登場人物の複雑な心理描写を展開した挙句、風呂敷(&謎)を広げるだけ広げて、最後机ごと全て放り投げられてしまったのでは、納得が出来なった。評価しようもない。結局「シンジ」個人の内面が完結したら、世界の謎はどうでもよくなってしまったし。。
まぁ、TV版の尺だとあれしか方法無かったのかもしれないが、ではエクスキューズとして作った劇場版で完結したかと言うと、これも物語として終われていない。TV版であれだけ破滅的なキャラを作ってしまったのだから、物語も破滅に向かって進むしかなく、登場人物が何をやっても決められた結論に向かって進んでいく、かなり鬱な作品になってしまった。で、最後は全てを無にしてしまい、「気持ち悪い」の一言で終わり。。
「何だこれ?」ってのが当時全て観終わった後の素直な感想。
十数年経って思い返すと、「物語として完結していない」、また「登場人物の一貫性が無い」ことが、当時納得できなったんだとわかる。今だからこそわかる。
さて、では今回の新劇場版「破」はと言うと。
「素直に面白かった」
1作目の新劇場版「序」では、ストーリーはあまり昔の作品と違い無かった。しかし、主人公「シンジ」の精神的な成長は観て取れた。自ら「意志」を持ってエヴァに乗り、人に対してもエヴァに対しても、積極的に関わっていくよう、「シンジ」の心が変化していくのがわかる。
そして、今回の新劇場版「破」では、積極的に皆のお弁当を作り、「レイ」にもそれを渡し、「トウジ」や「加持」など他者と積極的に関わっていく。命令違反により一度エヴァを降りた際に交わした父「ゲンドウ」との会話も自然なものだったし、その後改めてエヴァに乗ることになった際の「僕はエヴァ初号機パイロット、碇シンジです!!」というセリフも、しっかり「意志」を感じられた(・・そこに辿る展開はちょっと強引過ぎた気がしたが(笑))。
そして、「レイを助けたい」という一心で、使途に飲み込まれた「レイ」を救い出す。
今作品観て改めて実感したが、そうなんだ・・「シンジ」と「レイ」が付き合う方がどう考えても自然。それが昔の劇場版で最後「シンジ」と「アスカ」が残ったとき感じた違和感だったのだ。しかしTV版のあのキャラでは「レイ」を残すのは無理だし、あとは「アスカ」しかいない。
「レイ」を助ける際の描写には、凄く強い「シンジ」の「意志」が感じられる。成長した「シンジ」の「意志」が。これも自然。実はここも昔の作品では納得できなかった箇所。TV版でも同じ展開で「シンジ」はエヴァに再度乗ることになる。同じセリフを言って。しかし、その後また元のグズグズな「シンジ」に戻ってしまう。何故??「意志」を持ってエヴァに乗ることを選んだんじゃないの??
登場人物の「一貫性」の無さ。
そして、様々な出来事を通して「成長」も「変化」もしない。これが納得できなかったのだ。(別に教養小説「ビルドゥングス・ロマン」的ストーリーである必要は無いのだが、これだか周りの環境が変わって本人が変化しないってのも不自然でしょ。。)
こういった個々人の精神的な「成長」や「変化」が、新劇場版では凄く素直な形で表現されてる。
そして、何と言っても凄いのが「アクションシーン」。
ほんとに凄い。圧巻。ストーリーは置いといて、アクションだけ観ても楽しめる。それくらい作りこんでる。使途のデザインも一新されてて、観てて面白い。しかし、昆虫みたいだよな、使途って。。
ただ、1点残念だったのが、作中使われていた曲。「翼をください」。一回目はまだ演出として良いとは思うが、2回目はくど過ぎる。少し興ざめしてしまった。残酷なシーンを中和するため・・という別の意図があったのかもしれないが。。
さて、新劇場版がこの形になったのは、庵野監督の心情の変化があったのかな?と想像される。結婚もしたわけだし。後は、時間的にも精神的にも「余裕がある」ってことと。作中で「レイ」が「私が死んでも代わりはいるもの」と言った際、「シンジ」が「綾波は一人しかいない」と言ったり、「一人の人間が生きている」ということを慈しんでいるような「変化」が感じられるのだ。昔のように簡単に登場人物破滅させたり死なせたりしない。お子さんでも出来たのかな??(笑)
次回は「Q」というタイトル。
新キャラやカヲルの出現など、どうなるのか全く読めないが、このキャラ達であれば、どういう展開になろうとも、納得できない終わり方はしないだろうと断言できる。なので、次回作は安心して観れる。
「次回作を楽しみに待てる」というのは幸せなこと。
今作品はほんと観て良かった。