百万円と苦虫女のレビュー・感想・評価
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感動しました これこそ映画が果たすべき仕事です
中盤までははすに構えて観ていたのに、終盤には心を鷲掴みにされていました
蒼井優という稀代の女優の為に当て書きされたような脚本のなかで彼女は物語と強烈にシンクロしています
心が震えました
名作中の名作中です
主人公は21歳
1987年生まれです
彼女もリンダリンダリンダの女子高生と同じゆとり世代です
その女子高生達のその後を描いているといって良いと思います
短大に進学したものの就職先はなくイタリアンレストランのホールのアルバイトをしています
それから色々あっての物語です
ゆとり世代へのエールです
彼女達はこのような暮らしを全国の各地でしているのです
ひとり暮らし
それも非正規の仕事で100万円貯めるなんて、並み大抵のことでは出来ません
やってみたら分かると思います
それがどれだけ大変な事か
やってみた事が無ければ分からない事かも知れません
だからファンタジーです
海の家、桃のの農家、ホームセンターでのバイト
それぞれ別々の人物のエピソードと思えば良いと思います
いろんな非正規の仕事をして、このように何とかして、暮らしている彼女達がいることに思いを巡らせて下さい
100万円を貯めて別の土地にいく
それは彼女達の現実を誇張した姿なのです
彼女達は今日もまたくたくたになってはたらいて眠るだけなのです
大学生の隠された真意は甘く 痺れました
しかし現実はシビアなのです
そんなに簡単には再会すらできはしないのです
そうです
これが21世紀の現実なのです
こうして彼女達は今もなおこのような生活をおくりつつ30代の前半にあるのです
1987年生まれの彼女は、ゆとり世代の先頭ランナーなのです
彼女の背中をみて、ゆとり世代の後輩である弟は強く生きることを学んだのです
ラスト近くでの彼はおそらく1996年生まれの12歳
2020年の今彼は24歳です
どんな青年になっているのでしょうか?
感動しました
これこそ映画が果たすべき仕事です
他者から逃れて生きる果てにみつけたもの
ブルーインパルスと飛行機雲と蒼井優
今日は運良く昼休みの時間帯に、ブルーインパルスの見事な飛行を観ることができました。これは航空自衛隊が医療従事者に敬意と感謝を示すために行なったものです。
企業活動もまだそろりと再開したばかりということで、心なしか、コロナ前の東京よりも空の青さが濃く鮮やかに感じられました。
真っ青な空に糸を引くように記される白い飛行機雲。まるで宮崎駿監督の『風立ちぬ』のポスターのようでした。
で、この映画の主役は、色で言えば白がよく似合う(と私が思っている)蒼井優さんです。
正直、彼女の映画を特に意識して見たことはないのですが、『ペンギン・ハイウェイ』での〝お姉さん〟の声があまりにハマっていたのは、とても強く印象に残っています。
この映画では、『ペンギン・ハイウェイ』のアオヤマくんと違い、弟のような存在としてではなく、実際の弟との関係がひとつの肝になっています。
偶然見た姉のある行動が、イジメに遭う弟にとっての精神的な支えになるのです。
色々あって、蒼井優さんは、
〝百万円を貯めては、引っ越しをする〟
という行き当たりばったりなのか、計画的なのかよく分からない生活に入ります。
アパートの管理人とかアルバイト先から求められる保証人とかのことを考えると、この生活パターン自体、ある種のファンタジーなので、そういう前提を受け入れたうえで、蒼井優さんが醸し出す雰囲気に馴染めるという人にとっては、とても心地の良い映画だと思います。
私は勿論、そう思いながら見ていたので、姉を支えに健気に頑張る弟と、不器用だけど見かけとは違う芯の強さを演じ切る蒼井さんに、すっかり魅了されたのでした。
女優 蒼井優が そこに生きている映画、かな
カーテンを、若い娘が自分で作る。それって、ちょっと変。
ほとんど荷物は持たないのに、引っ越しのたびに、そのカーテンだけは後生大事に持って行く。そして、新居で丁寧につける。タナダユキ監督が、意味なくそんな描写をするはずがない。
この映画の味わいが、そうした些末にも宿っている。じんわりとにじみ出す。そんな感じ。
さて、監督は、どの段階でエンディングを思い描いたのだろう。
どちらに転ぶこともできた話の展開。
多くの人が普通に望むストーリーを、目の前のお皿においしそうに盛りつけて、でも違うもう一皿をつくり出してしまった時、どちらを客に出すのか。
タナダ監督は、自分が好きな方をお客に出しちゃった?
とびっきりの一皿を、いただきました。おススメです。
風刺ききまくり
これからの彼女
気分が重くなる時間が長い
旅するように暮らしたい
好みなので☆5。精神安定剤。
2年前に初めて見て、そこからは映画の中で間違いなくいちばん好きになりました。
すずこちゃんという人間が実在するかのような気持ちになって見てしまう。彼女の考えにすごく共感して、勝手に分かりあって嬉しくなった。すずこちゃんの方がきっと私よりめんどくさい部分が少ないので、一緒にすんなと思われそうですが。
自分のことを何も知らない所で生きて行きたい、分かりすぎる。人間関係リセットしたくなる事が多いので、すずこちゃんの生き方は憧れであり実行できるところがかっこいい。働き始めて100万円貯めることを第1に目標にしたところも同じで、共感できることへの喜びが大きかった。ひとりが好きだし、誰かに好きとも嫌いとも何でも思われることが苦手なわりに、思考が似た人と分かり合えることは好きなので、自己肯定感満たしてくれるすずこちゃんとこの映画が大好き。自信なくなってつらくなってもう全部辞めたいって思ったら必ず見る。1人になれるけどひとりじゃないって思える。わたしは間違ってないって思っていいって思える。
細長い手足、華奢な体、ぼんやりした表情に、苦笑い。夏の匂い、素朴な家庭菜園、可愛らしい恋、すれ違いあっさり終わったみたいな関係、ドーナッツ。全部が生々しくて生き生きしてる。
弟だけは、心配で心残り。社会生活でどん底から立ち上がれるような気持ちになった時がいちばん危ない時期だと思うので...。最後の手紙でより不安が煽られ、弟の将来のしあわせを願うばかりです。
ラストの笑顔は爽やかで、思いっきり吸い込みたくなりました。本当に見られて良かった~これからもお世話になります。
あ、うんこ!くっそ~~♪
“かき氷を作る才能”とか“桃をもぐ才能”なんかよりも、貯金の才能が最も際立ってるんじゃないかと思える主人公佐藤鈴子(蒼井優)。アパート共同生活の失敗から人間不信に陥ったことや、自活することの証明みたいな要素もあったのだろうか。とにかく、100万円貯まったら次の見知らぬ土地へと移り住むという生活を繰り返すようになる。
海の家では若い男に誘われるがさらりとかわし、山の村では“桃娘”に選ばれたけど辞退してしまう。他人と関わりたくないから転々としているのに、彼女の周りはどうも関わりたくてしょうがない状況になってしまうようだ。
“自分探し”ではなくて、「むしろ自分を探したくない」と彼女は言う。しかし、生来の真面目さや必死で生きているように見えるところから、自分探しや運命の人と出会いたい本音の婉曲表現なのだろうと思われてしまう。鈴子が、普通の女の子に見えるが内なるパワーを秘めている雰囲気があることは、そのまま女優としての蒼井優の投影に他ならない。
監督のタナダユキは『赤い文化住宅の初子』のときにどん底人生の中学生を描いてましたが、今回は拘置所に入れられ、前科者のレッテルを貼られてしまう主人公。近所の人の目や親の態度とかも、最悪にまでは至ってないのだ。だけど、彼女の弟・拓也は成績は良いが極端なイジメられっ子。ヘタすると、姉以上にヤバい状況に陥りかねないほどなのだ。一切の人間関係を断ち切ろうとする鈴子でも、拓也との姉弟愛はあったようです。
絶妙な心理描写のある表情も多かったのですが、弟と手を繋ぐシーンと中島(森山未来)と手を繋ぐシーンがとてもよかった。自然に互いを求めるように手を触れる一瞬は、完全な人間不信ではないことを物語っている。
人づきあいも恋愛も不器用な学生時代を思い出させてくれる映画でもあったし、世の中悪い奴ばかりじゃないと教えてくれる温かい内容。さすがにオチの部分は、自分でもそうしたであろうと考えていたから驚きはなかったけど・・・タナダユキは男心も理解してるんだな~と改めて彼女の才能を認めてしまいました。
すきです
これがリアルなのかもな、とも。
蒼井優の魅力
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