百万円と苦虫女のレビュー・感想・評価
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昭和の雰囲気
○百万円と苦虫女 4.1
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友達と住むことになった蒼井優だが、その彼氏も一緒に住むことに。
と思ったら友達が消え、その男と2人で済むことになってしまった。
が、その男が最悪で、飼ってた猫を勝手に捨てられる。
キレてそいつのいない間にそいつの荷物を全部捨てたら、
その荷物の中に100万円があったとか因縁つけられて前科者となる。
成績優秀の弟にそれを責められたこともあり、100万円ためて家を出る。
海の家、農園と住み込みで働き、100万円ためては次のバイトへ。
最後は花屋のバイトをして、そこで恋人が出来る。
そのうちこの男は別の女と親しくなり、蒼井に金借りまくり。
蒼井は別れを告げて次のバイトへ。
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人付き合いに不器用な若い女が少しずつ他人を受け入れて行く物語。
同じ場所に居続けたら知り合いが増えて面倒に巻き込まれるのが苦手。
なので逃避行というか、自分探しの旅というか、次々に拠点を変える。
おれももう結婚してるからそんなことはできへんけど、
若い頃には同じような事を考えていたのを思い出す。
おれも人付き合いが面倒な方やったからなあ、今もやけど。
行く先々で妙に男にモテるが、どうもその愛を受け入れられない。
でも最後には受け入れられて、恋が成就。が、こいつが最悪。
人生ってうまくいかないね的な風刺が効いていた。
でも、実はこの男は蒼井に次の拠点へ行かれるのが嫌で、
ワザと金を借りて100万円貯まらないようにしていたらしい。
そんな奴いねえええええええええええええ!
しかもそれじゃ別の女とよく会ってた理由が説明つかん・・・
蒼井優って全然好きなタイプではないのだが、妙に好感が持てる。
何故だかわからなかったし、今まであんまり考えることもなかった。
が、この映画を見ていてその理由がわかった。それは昭和臭いからである。
あの昭和臭さが安心感を与えるのだろう。
よく言えば素朴で、悪く言えば貧乏臭い(場)
思えば今の時代の若手芸能人で、昭和臭い奴っていないよなあ。
だからそういう役柄も多いのだろう。多分年寄りにも人気がありそう。
貴重な人材なので、おれも応援しようと思う。
代替的自傷行為としての旅
蒼井優を主人公に据えた淡い色調のロードムービー。
主人公の蒼井優はさまざまな場所を放浪するが、行く先々で必ず男の影にまとわりつかれる。男たちは彼女に少なからぬ恋心を抱いていて、彼女もその波動を感じる。執拗に遊びに誘ってくる金髪の青年、摺りガラス越しに湯加減を訊いてくる村の若者、帰り道が一緒だという大学生。そこにはある種の危険な空気が漂っている。男たちの強い意志と屈強な身体に比して、蒼井優は意志もなければ体も弱々しい。その非対称の先に不穏な想像が頭をよぎってしまう。
蒼井優本人もそのことはおそらく承知している。それでも彼女が自分の身を危険に晒すのは、「私は自分のことなんか本当にどうでもいいと思ってるんですよ~」というある種の露悪に走ることで「何事にも動じない強い自分」なる理想像を自己催眠的に手に入れようとしているからだと思う。しかし友に裏切られ、猫を殺され、拘置所に監禁され、終いには家族との正常な関係さえ失ってしまった彼女にとって、他者を必要としない自己完結的な生存領域を確保することは喫緊の課題だったといえる。どれだけ悲惨な出来事が起きても「あーめんどくせえ」「だりい~」でやり過ごせるようになれたら、確かにまあ、楽だろう。
とはいえこれはあくまで自己催眠だ。彼女はどこまでいっても(物理的に)か弱い少女に過ぎないし、何もかもに対して等しく無痛を決め込めるほどには人間性を捨てきれない。強いフリしてほうぼうを旅する中で、痛みや悲しみは確実に彼女の内面に蓄積していく。「100万円を貯めたら次の街へ行く」というのも要するに問題の先送りだ。というか本当に「何事にも動じない」のであれば、バイト先でチョロっと優しくしてくれただけの大学生に落ちるなんてことはあり得ない。
しかし遂に彼女の自己催眠は解ける。彼氏との雲行きが怪しくなりかけていたとき、久方ぶりに実家の弟から手紙が送られてくる。そこには、弟が弱い自分を認め、そのうえで逃げも隠れもせずにイジメっ子たちと戦い続けるのだという固い決意が示されていた。そこではじめて蒼井優が涙を見せる。いささか大仰すぎるのではないかと思える泣きっぷりだが、それは悲しみや苦しみを無痛ぶって我慢してきた反動に他ならない。
こうして自傷行為の代替としての彼女の旅は終わりを告げる。彼女もまた、弟同様に自分自身の弱さを認めることを覚悟したのだ。痛いときにちゃんと痛がることができるのは実際かなり偉いことだ。
ラストシーンでは去り行く蒼井優と追いかける大学生彼氏とのすれ違い劇が演じられる。この手のジメジメと回りくどいアプローチをしてくる男にロクな奴はいないから出会えなくてマジでよかったと思う。それに、自分がどうすべきかをようやく理解した彼女なら、どこへ行ってもどうにでもなる。それを引き留めるだけむしろ野暮というものだろう。
セリフが多すぎること以外は概して良質な映画だった。それ言わんでも動きでわかるやん、みたいなところは思い切って省略してくれたほうが気持ちいいんだけどな。もっと受け手を信じてやってほしい。
蒼井優の原点に近いのか
蒼井優という女優さんのパワーを感じる。
「彼女がその名を知らない鳥たち」の鬼気迫る演技のもっと前にこんな役をこなしていたとは。
苦虫女というタイトル通り、苦笑いの表情がいい。
ラストシーンの森山未來が100万円を貯めさせたくないから借りていたというのが、ストーリーとしてシンプルでグッと来た。この後は皆さんの想像にお任せします的な終わり方も、いいと思う。
疑似引っ越し体験
ストーリーは大きな感動とかあるわけではありませんが、引っ越すたびロケーションや人間関係が切り替わり飽きません。
海に山など色々な街に引っ越して住むという暮らしも、案外楽しそうかもと思ってしまいました。
苦虫女を蒼井優さんの好演に魅了されました。
映画は蒼井優が拘置所にいる場面から始まる。 蒼井優には罰金20万円の判決が出た。 理不尽なことで前科者になったのは不幸だった。
動画配信で映画「百万円と苦虫女」を見た。
劇場公開日 2008年7月19日
2008年製作/121分/日本
配給:日活
蒼井優
森山未來
ピエール瀧
佐々木すみ江
モロ師岡
笹野高史
矢島健一
キムラ緑子
江口のりこ
嶋田久作
齋藤隆成
タナダユキ監督作品を見たのは「ロマンス」に続いて2作目。
2022年9月30日には永野芽郁が主演する「マイ・ブロークン・マリコ」の公開が控えている。
映画は蒼井優が拘置所にいる場面から始まる。
蒼井優には罰金20万円の判決が出た。
理不尽なことで前科者になったのは不幸だった。
そのことで実家にいづらくなった蒼井優は働いて100万円貯まるごとに引っ越しを繰り返す。
海辺の街では男にナンパされそこにいづらくなる。
山あいの村では、桃娘に抜擢されたが、前科が理由でそれを固持することになる。
地方都市ではホームセンターで働くのだが、
そこでも男(森山未來)との間にいろいろある。
その間に弟(齋藤隆成)は学校でいじめられ、
児童相談所に送られることになっている。
物語を通じて蒼井優は成長していくのだが、
ラストシーンはその後を描くことなく終劇となる。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
蒼井優の素朴さが良い
2022年2月13日
Netflixのおすすめに登場したので鑑賞。
ストーリーはロードムービーで、蒼井優が引っ越しを繰り返し、行く先々での出会いと別れを描いています。
蒼井優が引っ越す場所ごとに床に伸びる姿は見ていて気持ちよさそうでした笑
◾️印象に残ったセリフ
「むしろ探したくないんです。どうやったって、自分の行動で自分は生きていかなくてはいけないですから。探さなくたって、嫌でもここにいますから。逃げてるんです。」
自分のことを誰も知らない場所で生きたいという気持ちが痛いほど伝わるセリフでした。
インパクトのある作品名にしては、ストーリーは至って普通な気がしまし...
インパクトのある作品名にしては、ストーリーは至って普通な気がしました。
面白くなかったわけではないんですけどね。
設定は悪くないので、ドラマとして作った方がより面白くなったんじゃないでしょうか?
ただ、切ないながらも前向きさを感じるラストは嫌いじゃないですよ。
それと、やっぱりピエール瀧さんが良い役者さんである事を再認識しました。
早く復帰して欲しいですね。
終盤の展開についてなんですが、森山未來さん演じる中島亮平、どうして別れ話になった際、本当の事を言わなかったんでしょうね?
あれでは本末転倒ですし、口下手とかは理由になりませんよね。
良い感じで終わっていましたが、実は脚本としては甘かったのかもしれないですね。
加えて書かせて頂くと、地方都市に行って百万円を貯めるのって、そんなに短期間では出来ないと思うんですよね。
特にバイトやパートでは少なくとも半年、多分一年くらいは掛かるのではないでしょうか?
蒼井優の独特な雰囲気が好き
蒼井優の微妙な顔と雰囲気が好き。
人間関係が深くなってくると逃げ出してしまう女性の話。
煩わしいのは嫌でも孤独は寂しい。
気持ちはよくわかるなー。
コミュニケーション能力が低いと狭く深くを好んじゃうから
ほんと飲み会とか地獄なんだよね。
ましてや村のような社会では人の領域にズケズケ入ってきて
親切にしてやったんだから恩を返せなど厚かましさは堪らないだろう。
とはいえ、どこに逃げようが人間関係から逃れられるわけもなく、
1から構築し直すことの方が個人的には苦痛だと思うのだが。
映画の中の蒼井優はゼロにしてしまうわけだ。
全体的に大きな起承転結があるわけでもなく、
淡々と微妙に変化のある日常が描かれている。
山や海の生活はなんとものんびりした絵がとても
いい感じだった。ああいう生活にはちょっと憧れがあるな。
すごい面白い!とか言うものではなく
蒼井優のもつ世界観がこの映画の多くを占めていると思う。
真似したくても真似できない生き方
ずいぶん前からお気に入りに入れたまま未視聴でした。
弟役が心くんに似てるな〜
でも年齢が違うよな〜と思ったら、
当時大活躍だった齋藤隆成くんだ!
「光とともに」の自閉症役でおったまげたのだった。(ちょいと調べたら、もう結婚していて、10代にして父親になったそう)
100万円貯まったら引っ越す。
そのバイタリティ、かっこいい。
羨ましくも、ああいうバイトじゃそうそう貯まらないでしょうけどね、現実は…
蒼井優は巧いなぁ。前に密着ドキュメンタリーですごい役の作り込み方だったので、今回もそれに違わずなんだろうな。
1回目の「好きです」のウィスパーボイスとか、すごい。
海の家のソウルメイト発言の茶髪くんが、竹財輝之助だ〜男前で芸歴長いのに埋もれてる気がする。
1980年生まれ(二黒土星の申年)は俳優が豊作。
他にも江口のりこさんとか、安藤玉恵さんとか、キムラ緑子さんとか、みなさん今と変わらない。
ピエール瀧の気持ち悪さとか、堀部さんの嫌味主任とか、みんないい味。
未来くんもプロ意識が高い役者さんのイメージなので、ピッタリの配役だったのかも。
そして、とてもいい恋でした。救いがあったのに、またかい、みたいな流れ。。
未来くんの行動は、うすうす狙いを感じながら、本音が知られず別れることになったのは切ない。
ハッピーエンドを望むわけでは無いし、主人公がふっきれてたからいいんだけど、なんかモヤモヤ、心残り。
ラストシーンは……
このラストはすぐ決まったのだろうか。
すごくすごく考えてこうなったのだろうか。
調べれば分かることかもしれないが、
知りたくない気もする。
どんな経緯があったとしても、
彼と彼女に与えられたラストはあのカット。
あれ以上はないんだね。
弟が最高にいい役割してて、
すごく映画が引き締まって
血の通ったものになってました。
あと安藤玉恵はどこにいても
なんであんなに素晴らしいんだろう、
ラストシーンのすれちがい
鈴子がものを捨てたくらいで、刑事告訴されてしまう。百万あったのが大きかったかもだけど。なんだよ。じゃあ人の猫は捨てても罪にはなんないのかよ。情状酌量の余地ないのかね。そして町で前科ものと噂がすぐ広がる。田舎町じゃあるまいし、そんなのわかるのかね。そこらへんはなんか理解できないが、ストーリーとしては、揺さぶられるものは、あった。
鈴子が傷を負いながら、旅にでる。海の家、桃農家、そして、ホームセンター。
海の家で出会う人も温かいし、桃農家のおばあちゃんも、ピエール瀧もあったかくて、たまらん。
少しずつ気持ちを開いていく鈴子。
ホームセンターで、きびきびと仕事ができ、優しい、森山未来に恋をする。
そして、はじめて、心開き、結ばれる。
そのあたりの純愛のくだりは、いいなあとおもってしまいました。
ラストシーン。
森山未来は二股をかけていた、
金が目当てだったと思い悲しみに暮れて
街を出る鈴子。失恋だ。
と思いきやの、森山未来の本当の気持ちは違った。100万貯めさせないために金を借りていただけ。鈴子も相当不器用だが、森山未来も不器用すぎだろ。なぜ正直に話さなかったんだろう。
自転車で駅まで追いかけるが、鈴子とはすれちがい、会えず映画は終わる。
森山未来のモテキとは真逆のラストシーンだった。
それもまたよしか。
弟もよくいじめに耐えた。
そして姉の背中を見て逃げずに戦う道を
選んだ。兄弟愛にも泣かされる。
なかなかよい映画でした。
鈴子には、まだまだいい恋愛があるだろうから悲観することなないと感じられた最後だった。
しかしアルバイトで百万って、そんな簡単にはたまらないような気がするけど。
【一人の若き女性が、ある出来事を切っ掛けに”自分を知らない人達が住む”処を転々とする中で、”何があっても逃げない”姿勢に変容して行く心の様を描いた作品。】
■作品の印象
・佐藤鈴子(蒼井優)が、新しく住む処に着いた際に、全身を伸ばしてリラックスする姿が印象的だ。
彼女の事を、誰一人として知らない処に来た安堵感と開放感が身体中から、発散されているからだ。
ーCaution 以下、内容に触れています。-
・鈴子は、最初に住んだアパートメントでひょんなことで、”良く知らない同居人”の行った事を許せずに、”ある事”をする。その結果、彼女は”前科者”となる。
・彼女の両親の関係性は表面上は普通だが、実は冷え切っており、進学校を目指す弟卓也も、彼女に冷たい。だが、卓也は常に学校で苛められていた。
鈴子も地元で元同級生たちに嫌がらせをされるが、卑屈にならずに敢然と立ち向かう。鈴子の姿を見ていた卓也は、彼女への味方、接し方を変える。
◆この作品の初期設定が効果的に、後半に効いてくるのである。
◆鈴子は、彼女の事を知らない町に100万円貯まる度に、移り住んでいく。
・最初は、海が見える部屋に住み、海の家で働く。かき氷を作るのが上手く、茶髪の男性にも言い寄られるが、決して自らが築いた他人との”壁”を崩すことはない。
・次に移り住んだのは、高年齢化が進むある村である。
桃農家に住み込んで、短期のアルバイトをすることになった彼女に、同じ家に住むハルオ(ピエール瀧)は、イロイロと煩いほど世話を焼くが、基本的には優しい。
彼女が村おこしのために”桃娘”に無理に就任させられそうになった際の、ハルオが村の公民館で村人たちに言い放った言葉。
”自分たちで、やるべきことを遣らずに、都会から来た娘に押し付けるな!”
そして、彼女が村を去る際に、ハルオの母親が掛けた優しき言葉と、ハルオが手渡したビニール袋に入れた”桃の餞別”
彼らが、鈴子が”前科者”と分かっても変えない、優しい鈴子へのスタンス。
・彼女は、都会の近郊都市のホームセンターで働くことになる。彼女がアパートメントを借りた際に不動産屋で記入した保証人の名前は”佐藤卓也”である。
- 彼女が、住む土地を変える度に、卓也に送る手紙を蒼井優のモノローグが、”彼女の僅かではあるが、心の成長を表しており、良い。だが、卓也は、苛め続けられている・・。-
・ホームセンターで知り合った同じアルバイトの青年、中島(森山未來)はテキパキと彼女に仕事を教え、嫌みな上司(堀部圭亮)のあしらい方も、さりげなく教える。
徐々に親密になる二人。だが、中島も少しづつ鈴子からお金を借りるようになり・・。
- ここは、ミスリードされた・・。-
・そして、卓也も苛めっ子たちに、敢然と向かって行く。卓也からの手紙を読む鈴子の滂沱の涙。
- 彼女の手紙が、卓也にも”何があっても逃げない”姿勢を取る決意をさせたのだ。-
<タナダユキ監督の、人間を描写する優しい視点が好きである。この作品でも、様々な人間が描かれるが、真の悪人はいない。
現在の邦画界で、オリジナル脚本で全国規模の上映が出来る監督は希少である。タナダユキ監督はその一人である。
今後のタナダユキ監督の、新しきオリジナル脚本による映画の上映を、楽しみにしている。>
桃娘
過剰な市中の悪意描写にはヘキヘキとさせられる。ゲームをリセットすべく、人生をリセットしようとする主人公には同情できぬ。リセットしたら仕事にありつけて、周りの気もひけてって、どれだけ若さを利用しているのやら。それでもやってけるのは社会が自分を支えているということ。ある程度、他の期待に沿って自分の社会的な役割を探ってみれば?とも思う。桃娘をやって見えてくる世界もあるのだが。
蒼井優の華奢な身体が大の字になっているのが印象的。森山未來との馴れ初めのくだりが良い。
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