次郎長三国志のレビュー・感想・評価
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男は女に惚れるもんじゃねぇ
映画「次郎長三国志」(マキノ雅彦監督)から。
仁侠の世界に生きる「清水の次郎長」だけど、
今回は、男と女にスポットが当てられた痛快時代劇である。
気になる一言は、女にもてる設定の「小政」が、
女に縁がなさそうな兄弟子たちにさらっと言いのけるシーン。
「兄さんたち、男は女に惚れるもんじゃねぇ、
惚れさせるもんだよ」と。
思わずメモをしたが、それが一番難しい、と心の中で思った。
しかし、物語後半に、次郎長と妻・お蝶の馴れ初めの話がある。
詳しくは語らないが、どうやって口説いたかが話題になるシーン。
みんな興味深々で、中井喜一さん演じる、照れる次郎長に問いただす。
しかし、答えたのは、鈴木京香さん演じる、妻・お蝶。
「口説かれたりはしませんよ、惚れたのは私」
おっ、またこんなところで、この台詞が・・とまたまたメモをした。
こんなことを書くと、
そうそう、最近は惚れさせてくれるような男がいない、と
呟く女性陣の顔が目に浮かぶ。(汗)
悲喜劇の配分とテンポ。
清水次郎長って、ダレよ…?という世代の人でも、
あの有名なテーマソングは聴いたことがあると思う。
私も原版はしっかりと観たことがなく(鶴田編くらい)
人情活劇とか、コメディ要素を持った時代劇、という
認識しかないんだけど、父母世代には忘れられない
(そう言いながら忘れていたようだけど)名画だそうだ。
生誕100年を迎えたマキノ雅彦のチャンバラシリーズを
甥のマキノ雅彦(津川雅彦)が監督第二弾として映画化。
前作「寝ずの番」がかなり面白かったので期待大だった。
何しろ見事な俳優陣を揃えているので(爆)
これで面白くなかったら?金返せ!モンなんだけど、
やはりそこそこ面白く出来上がっていた…。でも多分
もとの脚本がかなり良いからだと…そうも考えられる^^;
どうなのよ!?中井貴一って…の心配もあったけれど、
真面目で品行方正な次郎長、というのにはピッタリで、
まずまずの男っぷりだったと思う。鶴田には叶わないが^^;
黒駒の勝蔵役でチラリと(ホントに短かったな)顔を出す
佐藤浩市もさすがにカッコ良く、てっきりこの二人の
立ち回りが見られるんだと楽しみにしていた…んだけど
それはまだまだ先の話みたいだ(爆) ザンネン。。
しかしこのスケベ監督(スイマセン)は、女優の撮り方が
メチャメチャ上手くて、とにかく女性陣が色っぽい♪
高岡早紀なんか、サービスショット(いつもか)まである。
着物の似合う女優とそうでない女優の格差がハッキリと
出てしまうのも、時代劇の残酷な一面…?
ただいくらなんでも監督の娘・真由子は、あまりにも
ガラっぱちが過ぎて、演技が浮いてしまった感じだった。
もう少しキレイに撮ってあげても良かったんじゃないの?
中盤までのテンポが、お蝶の悲劇のシーンで長引いて、
後半の立ち回りがかなり都合よく終わってしまった感じ。
もう少し纏め方に工夫があった方が良かった気がする。
人情と喜劇の配分率は、難しいのだな…と感じた作品。
(一徳の大政、一輝の小政は良かった。力の三馬政に爆!)
マキノ監督が織りなす、傑作の人情噺
マキノ雅彦こと津川雅彦監督
中井貴一、鈴木京香、佐藤浩市、竹内力出演
劇場予告でこの作品をみて、
期待せずに、試写会場へ向いました。
はっきり言って、あの劇場予告はいただけませんよね。
ターゲットをシルバー世代にしたとしても
あの予告じゃ映画館へ行こうって気が起こらないと思いますよ。
試しに何人かに聞いてみたら、
あの予告、センスが無いってことで一致しました。
ところが肝心の作品自体の出来ッて言えば
ベリー グゥゥゥゥ!
とにかく上手い、の一言なんです。
マキノ監督が後日
映画論を語っていました。
「茶の間の観客は下品である」
確かにそうかも知れません。
じっくりと作品を観ずに、別の用事をしながら
斜め観しているのですから。
マキノ監督は
この作品を観にきた観客に
真剣勝負で
涙あり、笑いあり、怒り有りの
ヨドミのない126分のストーリーを
提供してくれていました。
見せ場が少ない・・・。
テンポがあればなぁ。
中井貴一と鈴木京香の2人で作り出す微妙で不思議な空気感が面白く、
次郎長一家の個性的で一癖も二癖もある役者陣のノリも、
笑いも楽しめるけど、他にも出演者が豪華すぎたのか、
満遍なくという構成が、テンポを欠き、上映時間に長さを感じてしまい、
そして、痛快娯楽時代劇なのに爽快感がイマイチ。
子分たちに見守られ、祝言をあげたばかりの妻、お蝶(鈴木京香)を置いて、
渡世修行に出かけた駆け出し博徒の次郎長(中井貴一)とその子分たち。
右腕的存在の大政(岸部一徳)をはじめとして、法印の大五郎(笹野高史)、
森の石松(温水洋一)、伊達者の美青年 追分政五郎(北村一輝)らが、
次郎長の男っぷりに惚れて、次々と仲間に加わっていく。
清水に戻った次郎長は、やがて東海道中にその名を轟かせるようになるが、
有名になればなるほど敵も増える。
甲州の一大勢力、黒駒の勝蔵(佐藤浩市)や極悪人、
三馬政(竹内力)といった敵が次々と現れ…。
試写会が当選して監督マキノ(津川)雅彦の前作である
寝ずの番 を観ておこうと思ったが、観れずに鑑賞。
監督の叔父、マキノ雅弘の次郎長三国志シリーズも観たことはなく、
というか全く知らず、同じ様なノリなのかも分かりません。
そもそも清水の次郎長についても、
アニメ ちびまる子ちゃんで知ってるぐらいの知識しかない。
次郎長がお蝶との別れを前にして、
頭に挿しているかんざしを口にくわえて引き抜く。
そのシーンのカッコいいのか、ダサダサなのか、
微妙な感じがこの作品の持ち味だと、そんな空気感を楽しむ作品だと、
監督がそれを目指していたのかどうかは分からないけど、
僕は勝手に思っております。
なので、そのシーンを含めて、
中井貴一と鈴木京香の2人が作り出していて、醸し出す雰囲気は好きで、
爆笑ではないけども面白くてしかたなかったけど、
カッコいいと思ってるのか、ダサ~と思ってるのか、
会場では笑いは起きていないです。
かんざし口くわえは終盤でも大事なシーンで登場し、
いいシーンになっており、全体を通して中井貴一はよかったと思うけど、
そのシーンの中井貴一は素晴らしい。
笑いを担っているのは笹野高史であります。
おくりびと、次郎長三国志と2週続けて出演作が公開され、
おくりびと でもオイシイ役を演じていましたが、
次郎長三国志でも会場で笑いが起きるのは、
起こすのは笹野高史ばかりという感じで、
オイシイ役をおいしそうに演じていて、脇役冥利に尽きるでしょう。
逆に言えば頼りすぎと思えなくもなく、
もう1人のオイシイ役のはずの温水洋一が、
思ってたほど楽しませてくれなかった。
笑いに関しては岸辺一徳を絡ませても、
もっと面白くなったと思うんだけどね。
言葉に詰まってばかりで何を言いたいのかよく分からない森の石松が、
次郎長一家に喧嘩を売るシーンで、
全く歯が立たなかった次郎長に啖呵を切る時だけ、
スラスラと言葉が出て長台詞をキメル所があります。
そのシーンのことを監督がテレビで話されていて、
かなり緊張していて温水洋一はNG連発だったようで、
しかたなくカンペを中井貴一の胸に張り、
それでもダメで日没となってしまって、しょうがなく、
しくじった所だけ同じ様な明かりを照明で作り、
口のアップで撮ったそうです。
1回目はイマイチだなぁと思ってたんだけど、
2回目はそれを知って観たので、面白くてしかたなかった。
僕にはテンポが悪いなと思ってしまって、
2時間ちょっとの上映時間の割には、欠伸を連発してしまって、
1回目はちょっと寝ちゃったりしたのは、次郎長一家の面々にキッチリと、
しかし足早のストーリーを用意し、短いながらも、しっかりと描こうとし、
見せるストーリーがなくても、見せ場を用意していたからでしょうか。
その他の豪華な出演者にも、それなりの時間を割き、
満遍なくという感じがテンポを欠き、やっと終盤にきて盛り上がって、
一気にチャンバラでかたをつける。
そのチャンバラも迫力があるんだか、ないんだか。
テイストとしては血が飛び散るような必要性は全く感じないけど、
SEはもっと派手に、豪快に入れてもよかったんじゃないでしょうか。
それでもキマラナイ人はキマラナイでしょうけど。
ラストバトルで映像を挿入するのは巧いとは思わなかったけど、
それだけでなく爽快感がイマイチなのは宿敵が三馬政と言うか、
竹内力だからでしょうか。
竹内力は与えられた仕事をキッチリこなしてると思いますよ。
完全にラスボスであることはよく分かるんですよ。
悪さばかりして、次郎長一家の仇でもあるし、
個別にもそれぞれ恨みがあったりしますし、頭では分かっていて、
お話的にはそれでホントにめでたし、めでたしなんだけど、
あの人が出てくると、
あの人と中井貴一の一騎打ちを見たいじゃないですか。
役を入れ替えてでもそちらの方が、
僕としては爽快感を感じられたと思うのです。
それで感じるのはやっぱり続編への色気なんですよね。
義理にゃ弱いが、喧嘩にゃ強い、という東海道の暴れん坊、
次郎長一家が帰ってきて、次郎長とお蝶の夫婦愛を軸に描き、
次郎長の行動力はリーダーの資質とは何かを見せ、
現代にも通じるモノがないことはない、かな。
総合的には、ダメダメな感じで、若い人には薦めないし、
年配の方にもこれで満足するのかは疑問だけど、
そこそこは楽しめた、かなぁ。
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