劇場公開日 2008年5月21日

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ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛 : インタビュー

2008年5月20日更新

5月21日の日本公開を目前に控えた19日、来日したアンドリュー・アダムソン監督を直撃した。「シュレック」シリーズを成功させ、実写初挑戦となった前作「ライオンと魔女」を大ヒットさせたアダムソン監督の「ナルニア」に対する思い入れは深い。(取材・文:編集部)

アンドリュー・アダムソン監督 インタビュー
「ナルニアは子供の目を通して見た世界。中つ国より神秘的でマジカルなんだ」

8歳のときから原作に魅了された監督が描く「ナルニア国物語」は大ヒット
8歳のときから原作に魅了された監督が描く「ナルニア国物語」は大ヒット

子供の頃から原作が大好きだったアンドリュー・アダムソン監督だが、今回は前作とは異なり、原作に大胆なアレンジを施しているのが特徴。中でも戦闘シーンのアレンジは印象的だが、小ネタも要チェック。例えば原作にはチラッとしか登場しないエドモンドの懐中電灯は、映画では大活躍する。

「なぜって、懐中電灯はエドモンドにとってすごく大切なものだからさ。原作の最後で“しまった! 新しい懐中電灯をナルニアに忘れて来ちゃった”って言うくらいにね。だからエドモンドは懐中電灯を使って活躍することにしたんだ」

こんなふうに原作を踏まえてアレンジしている監督だが、映画には原作にはまったく描かれていない長女スーザンとカスピアン王子のロマンスが登場。その意図は?

アンドリュー・アダムソン監督
アンドリュー・アダムソン監督

「このロマンスは、脚本を書いているうちに自然に生まれていったんだよ。実際に4人を演じている子供たちも成長しているし、カスピアンも原作より年齢が上の俳優が演じることになって、この年齢のスーザンとカスピアンが出会ったら、お互いに惹かれあうに違いない、恋に落ちないほうが不自然だ、と思うようになっていったんだ」

この恋のせいで、スーザンのナルニアへの気持ちにも変化が起きる。

「前作では、スーザンは4人の中で最後にやっとナルニアの存在を信じるようになる。彼女は現実以外のものをなかなか信じようとしないんだ。でも今回の映画では、ナルニアでカスピアン王子に心惹かれたことで、4人の中でいちばんナルニアを去りたくないという気持ちが強くなる。僕は“愛して失うほうが、まったく愛さないよりいい”という英国のことわざが好きなんだけど、今回のスーザンの気持ちはまさにこれだよね。だからスーザンは、最後にカスピアンにキスをするんだ」

さて「シュレック」に続き「ナルニア」シリーズを成功させたアダムソン監督にとって、ファンタジー映画を成功させる秘訣とは?

「もし成功するファンタジー映画の作り方を知ってたら、その方程式を売って儲けるよ(笑)。映画が成功するかどうかはさておいて、僕が映画を撮るときに意識するのは、その映画と僕に、なにかパーソナルな接点があるかどうかということだ。その映画に僕が愛するものがあるか。僕が心の底から感情を揺さぶられるものがあるか。そして、もし僕がそういう映画を撮ることが出来れば、映画を通して僕の思いが観客に届く。映画を通して、僕らみんなの心が触れあうことが出来るんじゃないかと思うんだ」

この誠意ある心構えが、アダムソン監督作の魅力に繋がっているのではないだろうか。

ところで、ファンタジー映画といえば、比較されないではいられないのが「ロード・オブ・ザ・リング」。だが、アダムソン監督はこの2作はまったく別ものだと考えている。

「どうしても比較されるよね。原作者同士が友人で、同じ時期に書いていたし、そもそも原作に同じものが登場するし。この映画に動く樹木が出てくるのを見て、『ロード~』と同じじゃないかと批判する人がいるけど、動く樹木は原作に出てくるんだし、『ナルニア国ものがたり』は『指輪物語』より4年前に出版されているんだしね(笑)。

この2作のもっとも異なるところは、その世界へのアクセスの仕方だと思う。『ロード~』は大人の目から見た、滅びようとしている古い世界についての壮大な物語だ。『ナルニア』は新しい世界の物語で、しかも子供たちの目を通して描かれている。アクセスの方法が違うんだ。それに、子供たちは『ナルニア』の本や映画を見て勇気づけられるんだ。ごく普通の子供がナルニアでは王や女王になれるんだからね。それに僕の考えでは、ナルニアのほうが中つ国よりも、神秘的で魔法に充ちていると思うよ」

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