紀元前1万年 : インタビュー
本作の主人公デレーを演じるスティーブン・ストレイトは、1986年生まれの22歳。ニューヨークで舞台に立ったり、インディペンデント系の映画に数本出演するなど、役者としてはまだまだ無名の存在だった彼が、世界的ヒットメーカー、ローランド・エメリッヒの大作の主演に大抜擢。ファッション誌のモデルを務めた経験もある爽やかなイケメンで、これからは多くの注目を浴びることになりそう。その素顔は?(取材・文:編集部)
スティーブン・ストレイト インタビュー
「僕自身の成長を投影することが出来たと思う」
――映画の中のデレーの成長が、俳優としてのあなたの成長に重なると思うのですが。
「そうだね。映画はデレーという人間の成長を描いている。彼は、最初はぎこちなくて欠点もあり、父親のせいでいじめられている少年だったのが、最後は大きな軍勢のリーダー、英雄になる。今回の映画では順撮りが出来たので、俳優として僕が成長していく姿と、デレーが旅をしながら成長していくというのが完全に重なり合い、僕自身の成長を投影することが出来たと思う」
――これだけ大きな映画で順撮りが出来るなんてすごいですね。
「これは本当に珍しいことで、僕も今まで一度も順撮りなんてしことなかったんだ。ニューヨークで芝居に出ていたことがあるけど、それに似た経験だね。とても有機的なプロセスで、前のシーンの気持ちを覚えているから、次のシーンに入りやすいんだ。今回は成長物語という意味でも、順撮り出来たことがとても役に立ったよ」
――1万年前の人間を演じるという点で、工夫したところは?
「これは想像力を使うしかなかったんだ。写真や文献があるわけじゃないし、この時代を描いた映画はいくつかあるけど、僕らの目指す映画とは方向性が違ったから、参考にはならなかった。話し方は工夫して、ちょっとエキゾチックでどこのものかわからないアクセントにしたけど、今回はドキュメンタリーではなくてファンタジーだから、そういった意味で自由はあったんだ。髪型やメイクを作っていくことも役作りに役立ったけど、一番大事だったのは感情面だよ。愛のために行動するということは、現代の観客にも伝わる時空を超越したものだと思う。だから、“愛”や“気持ち”を大切にして演じたよ」
――CGで描かれる動物を相手にするのは大変でしたか?
「最初はとてもやりにくくて、ぎこちなかったよ(笑)。何もない空間に向かって叫んだりね。あるとしても、テニスボールみたいな目印くらいだから。でも、慣れてくると想像力を使っていろんなことが出来るので、ある意味、自由で解放感を得られた。監督からも『あとでCGでなんとでも出来るから、好きなようにやれ』と言われたしね(笑)。とても想像力を使う訓練になったよ」
――アクションも多かったですが、もともと肉体的なことは好きなほう?
「母が空手の先生だからずっと習っていたし、ボクシングもやっていたんだ。だから運動神経はいいほうだと思うけど、今回はクレイジーなくらい訓練したよ。例えばマンモスを狩るシーンでは、2週間かけて毎日ひたすら短距離を走り込むことばかりやらされたしね。自分でも驚くほど体力がアップしたよ(笑)」
――これだけ大掛かりな映画は初めてだと思いますが、これまでの舞台やインディペンデントの映画で培った経験でいきたことは?
「これまでの全ての仕事や人生の経験が、自分にとって何かしらのプラスになると思うんだ。感情面でも今まで経験したこと、学んだことが常に役に立っていると思うし、それがどんな規模の映画でも、自分のキャラクター作りの方法は同じなんだ。演劇学校で学んだ役作りの準備というのは、今もやっているしね。常に積み重ねだと思っているよ」
――世界中に知名度が広がったと思いますが、今後の目標は?
「実際にオファーはいろいろきていて、それはとても恵まれたことだと思う。でも、どんなジャンルに出たいというよりも、僕としてはキャラクター、人物のほうが大事だね。どういう役があり、自分がどれだけその役に貢献できるかで決めていきたいんだ」