おくりびとのレビュー・感想・評価
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笑って泣ける 人は誰でもおくりびと おくられびと
笑って泣けるという評判を聞いていたのですが、予想以上に”笑い”のシーンが多くてびっくりしました。ともかく最初の納棺のシーンから笑えます。
納棺師のお仕事。遺体を丁寧に拭いて最後に化粧をして綺麗にして送り出す。お葬式には何度か行ったことがありますが、このような儀式は一度も見たことがありません。葬儀屋とは別にこういうお仕事があることすら知りませんでした。
最初に笑いが多かったと書きましたが、大悟にとって最初の仕事のシーンは正直笑えなかったです。死後2週間が経過して強烈な腐敗した匂いの漂う、そして彼がおそらく初めて目にする死体。どんな遺体であろうと納棺師はその遺体を綺麗にしなくてはいけない。これは本当精神的にもキツイ仕事だな、というのをこのシーンで最初に植えつけられます。確かに綺麗な遺体だけのシーンだったら、納棺師の仕事の辛さのようなものは伝わってこなかったので、こうやってさらっと大変さを映し出すのは上手い演出だと思いました。そしてこういう死に立ち会うこともきっと少なくないんではないかな、と思いましたね。ずっと優しくて結構適当な感じだった社長の「しっかり持て!」はその仕事のプロだということを痛感させられました。
でもそれ以降は綺麗な遺体しかでてきませんので、この仕事辛っ!って思ったのは最初の遺体の時だけだったかな。
成り行きでついた納棺師の仕事。しかし大悟は自然にこの仕事にやりがいを覚えていきます。だけど周りはそうではなかった。私は納棺師という仕事をこの映画で初めて知りましたが、映画から知ったからか、「遺体を綺麗にして送り出してあげるとても素敵な仕事」というイメージを最初に持ったんですよね。だからこの仕事にこんな偏見があるなんて驚きでした。
「人の死を商売にしている」ことで、「あんな仕事」と言われてしまう。大悟の仕事内容を知った妻の美香からは「汚らわしい!触らないで」と言われてしまう。でもこのシーン、予告で何度も観ましたけど、実際劇中で観てもなんでそこまで言うの?って思っちゃいましたよ。汚らわしいっていっくらなんでも言いすぎじゃないか?
でも誰に何と言われようと大悟は納棺師を辞めたいとは思っていない、むしろこのまま続けていきたいと思ってるんですよね。やりたくて就いた仕事ではないけれども、きっとそこにはこの仕事からしか得られない何かがあるのだと思いました。そしてそれは自分の母を看取れなかったこと、父と疎遠になってしまっていることも関係してていたのではないかと。
仕事に誇りもやりがいも持ってるのに人に卑下されてしまうことを、反論するわけではなく仕事でみせる姿が本当にすばらしかったです。
また映画の中にあったように、遺族の方から感謝されることも多いのではないかと思います。人生の最後の最後には、私も大悟や佐々木社長のような方に納棺を頼みたい!と思いましたから。
そして実際、納棺師の仕事を見下していた人たちも、彼らの仕事を目の前で見て逆に尊敬の眼差しに変わっていきます。そりゃそうだよね、あんな優しく丁寧に遺体を扱ってくれる姿を見たら、やっぱり素敵なお仕事だって思うし、誰でもできる仕事ではないように思います。
ともかくモックンの落ち着いた演技が素晴らしかったです。そしてモックンと山崎努が絶妙な笑いを取ってるんですよね~。これはさすがです。二人のシーンで本当何度も笑わされました。後半の笑いでは「旨いんだなー、困ったことに」が結構ヒットでした。
また余貴美子や吉行和子の存在もかなりよかったですね。
そうそう、納棺師の仕事と同じく、石文もこの映画を観て初めて知りました。最後の石は読めすぎる展開で残念ながら感動できませんでしたが、大悟が語ってくれる石文のお話も素敵でした。
後半は会場のあちこちから鼻をすする音が・・・。でも私は泣けなかったんです。やばい??泣けなかった私は、きっとみんなは大切な人を看取ったことがあるから、そのことを思い返して涙してるんだ、と思うことにしました。
この作品、喜怒哀楽の感情すべてが本当に上手く取り入れられています。そのバランが絶妙。納棺師の仕事は”安らかな旅立ちのお手伝い”、死は終わりではなく、新たな旅立ち。”死ぬ”ことは怖くないと思えるし、大切な人が亡くなってしまったら、こうやって優しく丁寧に”ありがとう”と見送ってあげたい、そう思わせてくれる素敵な映画でした。
エンドロール中はずっとモックンの納棺技術が長廻しで流れていますので、そちらもお見逃しなく。
おくりびと
映画を見終わった後の感想は、私も死んだらあんなふうに納棺師に見送って欲しいと思いました。
出演者の演技がとても素晴らしくて、とても重い内容なのに暗くなく、今までこの仕事に対して偏見を持っていた自分が恥ずかしくなる話でした。
見終わった後に命の大切さと死ぬまでの間にどのように生きていくのかということを考えるようになりまし。
夫は、納棺師なんです
映画「おくりびと」(滝田洋二郎監督)から。
久しぶりに、自然と目が潤む作品と出逢った。
自分が夢だと信じていたものはたぶん夢ではなかった、と呟き、
一体、自分は何を試されているんだろう?と悩み、
友人知人には「もっとマシな仕事つけや」と叱られた主人公。
終いには、愛する妻にまで「こんな仕事しているなんて・・」
「今すぐやめて、お願い」「さわらないで汚らわしい」と嫌われる。
こんな辛いことはないだろう、と思った。
それでも、遺族からの感謝の言葉を支えに、妻と別居してでも
この「納棺師」という仕事を続けてきた彼にとって、
物語の終盤、手荒く遺体を扱う葬儀屋に向かって、
妻が口にした「夫は、納棺師なんです」は、最高の喜びであったろう
なぜか、私の心も、この台詞に揺さぶられた。
夫の仕事に、誇りと尊敬の念を持った台詞だったから。
もし仮に、巷で「地方公務員」という職業がけなされた時、
私の妻は「夫は、地方公務員なんです」と毅然とした態度で、
口にしてくれるだろうか。とても気になるところである。
そう言われるよう、日々努力が必要なのかもしれないな。
予想通りといえば予想通りだけれど
死は誰にとっても避けられないことなのに、そこに携わる人々を低い存在と考えてしまう人、悲しいことではあるが、そうした考えの人が多い事も事実であろう。
死者を尊厳を持って送り出すことの意義を改めて考えさせられました。
笑いあり、涙あり
とても笑えて、泣けて印象に残る作品でした。
死はいつかは訪れるもので・・・それを悲しみだけではなく、あたたかく描いていたと思います。
本木さんのチェロも心に響きましたし、久石さんの音楽もその世界にぴったりあっている感動作でした。助演の方の演技も光っていましたよ。
今年見た邦画の中ではNO1だと思います♪
日本映画いいね
若い頃は日本映画ってダサイと思ってあまり見ませんでしたが、最近は最盛期ですね。いろんな作家が、いい作品が目白押しで。このようなジャンルでも映画は作り物だから見せ場が必要。広末は好きだから許すけどもう少し性格設定をどちらかに振って欲しい。山崎努が黙って車のキーを投げるシーンが最高にカッコイイ。ここだけはもう一回見たいと思った。
見る人によっては・・・
近年の邦画の中では間違いなく上位に入る佳作です。
予告編ではもっと泣けるかと思いましたが、実際は笑いも随所に盛り込まれ、悲しいだけの作品ではありませんでした。
昨年、父を亡くした時、納棺士の方にお世話になりましたが、その時の情景がフラッシュバックして、父を思い出して号泣してしまいました。全編を通じて、すべての納棺シーンが父とダブり、そのたびに涙腺が全解放されてしまい参りました。
2時間10分という時間もあっという間で、最近の映画館の快適なシートと相まって、とても楽しめました。
ただ、お身内を亡くした経験のない方は、号泣までは行かないかも知れません。やはり人それぞれ、思い出と重なり合って涙腺が刺激される映画だと思います。観客は中高年が圧倒的に多く、ちょっと驚きました。
脚本もとてもよく練られているし、なんといっても久石譲さんのもの悲しい音楽のうまさが引き立っています。
欲を言えば、「生前の銭湯のおばちゃんとの小林夫婦の絡みシーン」がもう少しあれば、亡くなった時のシーンがもっと劇的に効いてくるし、エンドロールで「小林夫婦のその後」や余さん演じる「上村さんと子どもとの再会」などがさりげなく入れば、もっとよかったのかなと思いました。
いずれにせよいい映画です。1800円は安いですね。
笑いが死の演出!今年一番の邦画です。
起承転結が分かり易い感動の邦画でした。
結びをどうするんだろう、と途中で気になりました。風呂屋の番台の女主人でもないし、納棺師の師匠の死でもないし、まさかパートナーの・・・・。
舞台は山形。輪廻転生の出羽三山の麓という設定も演出の一つ。主人公のチェリストという職業、故郷の出羽三山と鮭の遡上に石文と、シーンにちりばめられた演出が憎い。
途中でどのように山場を作り、どのように締めくくるのか。石文と主人公の子供ができたことが、キーワードでした。
本木さんの上手さが立っています。脇を固める個性的なキャラの山崎、余、笹野、杉本さん等。良い映画でした。泣けました。
おくりびと
都会で食い詰め帰郷した男。旅行会社に採用されたつもりが、仕事は安らかな旅立ちへのお手伝い。そんなこととはつゆ知らぬ健気な妻の笑顔に送られる日々。ひょんなことから片足突っ込んだ納棺師の道、男はいつしか両足で歩いている。
納棺の儀式を執り行う本木雅弘の心を込めた所作手さばきの鮮やかさ。世俗の汚れをきれいに落とされ、死者の面に生気が蘇る。死出の装束を清らかにまとわせられて、悲しみを新たにする遺族が見守るうち、死者は静かに棺へと納められる。人間の尊厳を慈しむ画面に自然と涙も滲んでくる。泣かせる作品なのだ。
泣かせるがお涙頂戴という訳ではない。人が生きていくことのもろもろを、静謐さと厳粛さのうちに、皮肉の効いた笑わせどころもしっかり織り込んで、厳しくも優しいお話として提示する。その丁寧で行き届いた仕事ぶりに泣けるのだ。
そもそも、モックンが納棺師をモチーフに、脚本は小山薫堂を指名するところから始まった企画だと言う。確かに、これはビジュアル的にも物珍しさからも映画にはおあつらえ向きの素材だ。納棺師と死者との距離感でドラマの幅を広げた脚本は伏線の張り加減など強引とも周到ともとれる点はあるが、普通の人々を敬意を込めて描き、誰もが共感できる物語になっている。見事な脚本で指名に応えた小山薫堂はあまりにカッコいい。
滝田洋二郎の丁寧な画面作りと抑制の効いた演出も良かった。「陰陽師」や「阿修羅城の瞳」のようなスペクタキュラーなものより、前作「バッテリー」同様、家族や夫婦をモチーフに普通の人々を描く方がこの監督の柄に合っているのだろう。
プロデュース的なセンスの良さを発揮したモックンの、作品を力強く引っ張っる華も実もある役者振りがいい。山崎努の人を喰った怪人振りと余貴美子の生活感が作品にクッキリと陰影を刻み込み、広末は屈折した笑顔で貢献する。素材の新鮮さに対し、奇をてらわぬキャスティングが醸し出す説得力。月山を望む庄内平野の美しい四季を背景に、人生を感じさせるチェロの調べが。生きとし生けるものへの共感と慈しみを描いて、隅々迄味わい深い。今年度を代表する作品。
ほっこり温かくなる映画^^泣けます。。。
誰もが遅かれ早かれいつかは経験する死。
こんな「死」をテーマにした映画なので、重々しく悲しい話かと思いきや、前半は笑いが満載で、日本ならではのユニークさもあり、おもしろく描かれているのが意外でした^^笑えます♪
葬儀会社全般の業務内容は、なんとなぁ~く理解していたつもりの私だけど、その中で「納棺師」なんぞという職業があるなんて、今まで知りもしませんでした。
・・・ってか、それ以前に、婚礼会社は喜ばれるのに、葬儀会社は遠慮されがちな世の中が現状。でもこの映画を観て、死んだ時に、その人が生きていた中で一番綺麗な時の姿にして、向こうの世界に送り出してくれる。なんて素晴らしい職業なんだろう!って感動せずにはいられませんでした。
「死とは門のようなもの。だから行ってらっしゃい。また逢おうな。と行って送り出すんだ。」火葬場で働く笹野さん役の正吉のセリフにジ~ンときました(涙)
いつかまた逢える。。。そう思えば淋しさも軽減されますよね^^
今回、NKエージェントの社長扮する山﨑努さんが、前回の「クライマーズ・ハイ」のいやらしい社長と全く違って、かっこよく凛々しい姿が印象的でした^^勿論もっくんも良かったです\(^o^)/
身近な人が亡くなった時、死を悼む哀しみははかり知れないものがありますが、そんな中、誰かがひとつひとつ丁寧に、生前の頃の綺麗な姿にして故人を送り出してくれる。そう思うと、何とも言えない温かな優しい気持ちに包まれます。
いつかは私も送られ人。私も最高に綺麗にして送り出して貰いたいものです^^
本当に素晴らしい映画でした^^♪
今年私の感動NO.1映画になりそ~です(^o^)
9月16日MOVIX伊勢崎にて観賞
誰もがいつかはおくられびと。
試写会にて。
第32回モントリオール世界映画祭・グランプリ受賞作品。
受賞前から観るつもりではいたけれど、実際に観てみたら、
あ~これは♪と思うほどの素晴らしい作品なので驚いた。
いや、驚いたのは…その内容で、私はもっと荘厳な日本の
葬送儀式を描いた作品なのだと思っていて(そうなんだけど)
あんなにユーモアに満ち溢れたドラマだとは思ってなかった。
だって、腹を抱えて笑えるほどなのである^^;
そして、ひとしきり笑わせておいて、ズシンと胸にも響く。
やがて流れ落ちる涙が冷たくはなく、温かいことに喜び、
いつか自分にこんな日がやってくることを予測してしまう。
「死」を「旅立ち」と捉えられるなら、ちっとも怖くはない。
そして、なんといっても…。モッくんと山﨑努だ。
こういうテーマを選んでおきながら、なんとも飄々とした
二人の掛け合いを見ていると、あ~生きてるっていうのは
こういうことなんだよな、、、と実感できる。
動植物の死、によって生き長らえている人間たちなのだ。
綺麗だの気持ち悪いだの、まともだのまともでないだのと、
ヒトは他人の職業についてあれこれと意見をするけれど、
どんなにドエライ人間だっていつかは死ぬわけでしょう。
その亡骸を、いっさい他人の手を借りず、迷惑もかけず、
処理することなど、今の日本では到底不可能なのだ。
いつかは皆、おくられびと。になる日が来るのだから…。
一緒に観た母親がボソッと言った。
儀式としての納棺は、母の若い時分には無かったそうだ。
身内や親類が総出で、亡骸を棺に納め、葬送したらしい。
今はお金をかけて、こうやって綺麗にするんだね。。。と
そんなことを隣で言われた私は、何だか泣けてきてしまった。
ちなみに私も身内の「死」に立ち合った経験があるものの、
その時はすでに、棺に納められてからの対面、だった。
納棺はおそらく綺麗な御遺体でなければ見ることは出来ない。
しかしこの作品は、その職業について深く掘り下げる一方で、
人生の悲喜交々を雄大な自然の中で(チェロの伴奏にのせて)
豊かに謳い上げてくれている。人生にどんなことがあっても、
自分がおくられびと。になる日まで終わることはないのだと。
観終えて、久しぶりに拍手を贈りたくなった作品。
(モッくん、今回も素晴らしいコスプレを魅せてくれてます^^;)
心と気持ちが、優しくなれる映画。
“モントリオール世界映画祭グランプリ受賞”。とても地味なテーマを描いた映画です。でも、素朴でとても優しい気持ちになれる映画です。
吾輩“モントリオール世界映画祭”が、どれほど権威のある映画祭なのか存じません。しかし、今回のグランプリ受賞は、この映画にとって非常によろこばしいことだったと思います。何せ、公開初日から“満席”でしたから。この“賞効果”がなかったら、この映画はひっそりと公開されて、あっさりと上映終了していたかも知れません。それくらい、取り上げているテーマが、この上ないくらい地味なモノですから。でも映画自体の出来は、とても素晴らしい物でした。ですから多くの人が映画館に足を運んでこの映画をご覧になるっていうのが、何かとっても嬉しいです。
“納棺師”という仕事があるという事を、吾輩はこのえいがを観て初めて知りました。遺体に死に装束を着せ、死に化粧を施し、あの世へ送り出す。映画ではその作業の一つ一つの動作が、入念に撮り上がられていて、さながら崇高な儀式のようでした。ある意味これは一つの“芸術”だと思います。映画の中では、“遺体を扱う仕事”ということで、抵抗を持つ人々の様子も描かれています。吾輩なんぞは、さほど抵抗は感じなかったのですが、やはりそのように感じるのが一般的な通念なんですかね?しかし、その人達も大悟の“凛とした”仕事振りを見て、考えを改めていきます。様々な形の“人の死”に、愛を持って向き合い、その最期を送り出す“納棺師”。非常に素晴らしく、気高い仕事だと思います。
主演の本木雅弘さんが、イイ演技を見せてくれます。最初の方は、何となく“ダメ男”なんですが、様々な“人の死”と向き合い人間的に成長していく主人公・大悟の姿を、抑えめの演技で堅実に好演しています。もう“モックン”なんて呼んだら失礼ですね。そして妻役の広末さんが、これまたイイ!一時期“プッツン女優”とか言われてましたが、何か完全にふっ切れてるんでしょうね。可愛くも芯が強く、愛する夫を常に支える妻・美香をとても愛らしく演じています。いやあ、あんな奥さん、そうそういませんよ!
山﨑努、余貴美子、吉行和子、笹野高史…、脇を固めるベテラン俳優陣の皆さん。もう何も言うことはございません。映画を安心して見ていられます。それぞれの魅力を如何なく発揮され、この映画をとてもしっかりした作品に仕上げています。
観る前は、宣伝などから『ひょっとして“号泣誘発映画”なのかな?』と思っていたのですが、随所にユーモアが散りばめられていて(事実、前半1時間くらいは、笑いの方が多かった)、観ていてとても優しい気持ちになれました。こういう“心が優しくなる“演出、滝田洋二郎 監督は、ホントお上手ですね。あと、久石譲 さんの音楽と、山形の素朴な自然の風景が、観る者の心を更に優しくしてくれます。
何度も書きますが、決して派手な大作ではなく、地味な映画です。でも日本映画として、日本文化の優しい所が描かれていて、本当に“秀作”です。来年のアカデミー賞の日本代表に選出されたそうですが、何とか“外国語映画賞”にノミネートされてほしいですね。ガンバレ!
心に、ジーンと来ました。
2008年モントリオール世界映画祭グランプリ受賞作品。ベネチア国際映画祭に、北野武(『アキレスと亀』)、押井守(『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』)、宮崎駿(『崖の上のポニョ』)の3監督の作品が出たと騒いでいる陰を縫って、こちらの作品が、別のところで世界的評価を得ていました。放送作家の小山薫堂が、映画初脚本と言う事でも話題です。
劇中、結構食べ物を食べるシーンがあったような気がするのは、気のせいでしょうか? しかも、静かに食べると言うより、ムシャムシャ食べると言う感じの食べるシーン。山崎務のセリフにも「生きるためには、食べなければならない」と言う趣旨の意味のモノがあったのですが、納棺(=死)と食事(=生)と言う対比を表したかったんですかね? ちょっと印象的でした。
多くは語りません。って言うか、語れません。物凄く、心の奥にジーンと来ます。いいものは、言葉が違っても、文化が違っても通じると言う事が分かりました。それが、モントリオール世界映画祭の評価だと思います。不覚にも、二回ほど泣きそうになりました。それにしても、納棺師と言う職業があるのは、全く知りませんでした。近親者の葬儀に出た事はあるんですが、納棺は全く経験なし。こう言う事をやっていたのかな?
日本らしい、川の流れのような映画
映画を観る前は遺体に化粧をして遺体を棺に納める納棺師の話と聞いて、暗い話を連想したが暗いというよりは淡々としていていい意味で日本映画らしい優れた映画。予想以上に笑えるシーンが多く、悲しみと笑いは表裏一体なのだと再確認。本木雅弘演じる主人公は音楽をやめたばかりの元チェリスト(音楽担当の久石譲の趣味も入っている?)、楽器を扱うように丁寧に遺体に対する姿が美しい。中盤まではお仕事映画としても楽しめる。
会社の社長は山崎努(「クライマーズハイ」より良い)、彼が出ていることで往年の伊丹十三映画を思い出したりもする。彼は食べ物に対する執着が強い。考えてみれば食というものは死と向き合わなければできない行為で、この映画ではそうした死と生の対比がうまく描かれている。
最後にはやや湿っぽくなるが、納棺師という仕事なので最後は身近な人を送らなければならないのは容易に想像がつく。広末涼子は適役だとは思わないが、この映画から浮いているほどではない(ただ、ともだちのような夫婦なので、仕事のことを打ち明けていないのはややご都合主義)。余貴美子はまさに適役。笹野高史はそう来たかという感じでひねりあり。
素晴らしかった 皆に見て欲しい
試写会で見ました。正直単なる暗い映画なのかな・・・と思っていましたが、
見事に裏切られました。
山崎努と本木雅弘のテンポの良さのかけひきに笑ったり、本当に美味しそうに食事をするシーン、広末涼子と本木雅弘の夫婦の生活、そして納棺師としての仕事っぷり、チェロを演奏するシーン。
山崎努のコミカルながらも深みのある言葉、本木雅弘のびっくりしたり悲しんだりする表情、広末涼子の柔らかい優しい表情。
さまざまな場面が心地よいBGMと盛り込まれていて、死との向き合い方を考えさせる話でした。
また、人との縁はどこかでつながっている、ということも感じました。
今までに対面してきた、納棺やお通夜、お葬式、悲しみにくれてばかりいて、納棺の一つ一つの作法に意味があることが分かりませんでした。亡くなった方へのお礼の気持ち、最後はいい顔をしていたよ、っていうありがとうの意を込めての納棺なんだな、次に自分が立ち会う時は、またこの映画を思い出して、違う気持ちでいるんだろうな、と思いました。
本当に見て良かった映画でした。
秀作です、お勧めです。
納棺師の所作は美しくて、お茶のお手前のような完成度がありました。それを演じるモックンの微妙な表情の変化。彼は本当に、良い俳優さんになりましたね。深みのあるチェロの音色に彩られ、人生の最後の一幕・・・納棺は、その人の命を大切にするひと時なのだと伝わってきました。
時に笑いながらも、命の尊さを静かにかみ締める秀作です。
脇役は芸達者が揃っていて、しかもそれぞれに合ったキャスト。山崎努は社長を楽しんで演じていましたね。吉行和子、さすが、笹野高史、相変わらず良い味。個人的には杉本哲太が好きです。
おお、感動しました
eiga.comの試写会で拝見しました。
納棺師ってなに
シリアスコメディーかと思っていましたが、とても切なくて、愛があって、偏見
があって、あたたかな人の血の流れている素敵な作品でした。
本木雅弘ってこんなに演技がうまかったっけ
ずっと思いだせなかった父親の顔を思い出せた瞬間に、この作品は人の死を引金
に、生きている者の思いや愛を気付かせるのだなぁと感じました。
素晴らしい映画をありがとう!って感じの映画でした。
邦画では今年1番かも?
納棺師というお仕事を知るいいきっかけになりました。
実際にそんな場面に出くわしたことがないので「へぇ~」と思えることも多かったです。
死者は他人にとっては死体でも家族にとっては”亡骸”であり、尊いものであるというのがよく現れてると思います。
笑わせるけど泣かせる映画で2時間10分の上映時間ですが長さを感じさせない映画だと思います。
悪くはないが……
所属していたオーケストラの解散で、郷里に戻りひょんなことから納棺師となった主人公が、さまざまな死の現場で人生のありように思いを至らせたり、死者を扱う仕事をしていることから友人や妻からの偏見にあったりするお話。
主人公が納棺師として確たる自負を持ち、周囲が偏見をとくには、誰か近しい人の死しかないわなぁ……と思ってたら、やっぱりそういう展開に。つまらない映画ではないけど、僕の好みではないかな。
あと、プリントの状態が悪いのか、音声がところどころ途切れて無音状態になるところがあって、集中力が削がれてしまいました。試写会でそれはあんまりだなぁ。
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