おくりびとのレビュー・感想・評価
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こんな日本の文化があることを知らなかった。
日本人としてこんな素敵な文化があることを知らなかったことが恥ずかしい。
どんな人間でも生まれてきたら死ぬ事は避けられない。
エラくても、バカでも、若くても、何も残せなくても、いつかは死ぬ。
弔い方は国や地方によって様々な方法はあるけれど
故人を偲ぶ気持ちの表現方法として
こんなに美しいものが日本にあることをもっと誇りに思っていいと思う。
その人の人生を凝縮された瞬間が葬儀だと
感じることができたので本当に素晴らしい映画だと思う!
プライドと偏見
劇場に入る前はなんとなく暗い映画なのではないかという勝手なイメージを持っていました。しかし、実際はシリアスながらも笑いの要素をちりばめた素晴らしい内容の作品でした。
楽団の解散を理由に解雇されてしまった一人の男がひょんなことから納棺師の仕事をするようになり、周囲の偏見を受けながらも成長していく姿を描いています。
注目は豪華キャストによる力の入った演技、メッセージ性の高いストーリーそして、優しく包み込むような素敵な音楽です。
特にベテラン俳優・山崎務さんの演技は圧巻で見るものを引き付ける最高の演技を発揮しています。笹野 高史さんや杉本 哲太さん等個性的なキャストによる熱演も光る中で、1番驚いたのは主人公の妻役を演じた広末 涼子さんの演技です。始めは元木さんの妻役に広末さんと聞いて「えっ?マジで」と言ってしまいました。しかし、後半に進めば進むほど彼女の演技が良くなっていき、新たな発見をしたような気になりました。
それから、ストーリーについてですが、良い意味で死や家族について考えさせられました。私は数年前に仲の良かった祖母を亡くしており、この作品を観ながら当時のことを思い出していました。大切な人を失った経験のある人にこそこの作品を観てほしいと思います。
本作には特に大きな弱点はないのですが、主人公の元木さん演じる大悟が寡黙なキャラであればもっと良かったと思いました。
しかし、全体的には大切なメッセージが沢山詰った素晴らしい作品だと私は思いました。
こりゃ、映画祭で賞取るわけだ
静かながらも飽きずに最後まで観れました
泣ける。美しい映画。
新たな旅立ちの始まり
「死」は新たな旅の始まりである。楽団が解散され、職を失った元チェロ奏者が次に選んだ職業は、死者の旅立ちを演出する「納棺師」だった。
故郷・山形県に戻った主人公が、「納棺師」という職業に対する偏見や、妻との確執を乗越えプロとして成長する物語である。最初は戸惑いながらも、一生の仕事として誇りを持てるようになったのは、「おくりびと」に対する遺族の感謝の言葉だったのかもしれない。
ラストシーンで、彼はある人物の「おくりびと」になる。身を清め、死化粧を施す彼の目に涙が溢れる。彼がこの仕事を誇りに思った瞬間だった。
私の母は13年前に亡くなった。病室のベットで喘ぐ母の手を握りながら、死を看取った。安らかな死は、死に対する恐怖感を打消す貴重な体験だった。葬儀は業者に任せたが、死化粧を施した母の顔は今もはっきり憶えている。苦しみから解放された穏やかな表情だった。
肉親の死は、本人は自覚していなくても、その後の生き方を左右するくらいの出来事なのかもしれない。死者の旅立ちは、見送った遺族にとっても新たな旅立ちの始まりなのだ。
つながり
所作の美、静謐の死
「死」というテーマを身に纏いつつ、ユーモアを忘れぬ進行で決して重たく作らなかった製作サイドに脱帽です。
とかく、重たいテーマは重たく進められさぞかし重厚な作品でござい、と言う感じで進むとたいていがつまらない作品になるのだが、この作品はそんなことなかった。
まずは主演2人の力量もさることながら、劇中に登場する女性陣のきらりと光るスパイシーな味わいが実に良かった(広末さんはどちらかと言うとスウィートでメロウでしたが)。また、前述したように、ところどころで挿入されるユーモアはかなりこの作品ではキモであり、骨格です。
メッセージ性を読み取ることもできるし、エンターテインメントとしても良い。映画らしい映画。
最初から最後まで面白かったですね、はい。
作法の形式美から感じる尊敬の念
知人夫婦が葬儀屋です
知人夫婦が葬儀屋で、遺体を扱う仕事をすることなってしまった戸惑いや精神的な負担の大きさについて、少しは聞いています。葬儀屋って、社会に必要な仕事なんだけど、決して好かれることはない仕事。それを正面から描く映画ってどんなだろう、と思って見ました。
単にエピソードを繋げていっているだけなのに、山形の美しい自然と納棺師の造作の様式美、そしてユーモアをちりばめた脚本・演出によって少しも退屈しません。
人の死と、死を扱う職業という、どちらかというと社会の陰の部分について考えさせられ、それでいて美しさを感じさせるとても良い映画でした。
ただ一つだけ残念だったのは、演技力の高い役者達に囲まれると、広末涼子の大根役者ぶりが目立ってしまうこと・・・。
日本映画の原点を取り戻してくれた
納棺師という職業に技と美を感じる。無駄がないひとつひとつの動作は何かの作法のようであり、静けさのなかに衣擦れの音だけが耳に響く。
遺体を扱うことで“けがれの職業”と周りから見られ、やがて事実を知った妻も家を出て行ってしまう。それでも職を辞めない大悟は、様々な死と向き合うことで、命の尊厳と死が持つ意味を悟って行ったのだろう。
食べるシーンも多く、そこでも多くの動植物の死が演じられる。生きていくということは、他の死を伴うということも忘れてはならない。
本木雅弘のチェロ演奏が効いている。もし、指先だけ別カットだったとしたら、冒頭のオーケストラのシーンにしか使えず、作品全体に及ぶ効果は激減だったろう。
音楽もいい。劇中の音楽もいいが、エンディングはとってつけたような歌より、本作のようにオーケストラで締めくくった方が気持ちがいい。
気になったのは、顔のアップのカット。少し大きすぎ。アップのカットが入るたびに、「あ、映画だ」と余計なことを思ってしまう。もう少し引いたほうがいい。
ポータブルDVDによる車内鑑賞レビュー
今作を
「フラガール」 や 「スウィングガール」 、
そして 「 ウォーターボーイズ 」 に 「 Shall We ダンス? 」 。
同じ モックン 作品では 「シコふんじゃった。」 のように
「納棺師」 という未知なる種目にチャレンジしていく
「パフォーマンス系映画」 の一種
のようなものだと早合点していました。
実際は、 「納棺師」 となったことによって父親という大きなトラウマを克服していく、
「魂を救済する」 物語
であったのです。
制限文字数では語り切れず、完成版はこちらまで。ネタバレ注意
↓
http(ダブル・コロン)//ouiaojg8.blog56.fc2.com/blog-entry-97.html
誰もがおくりびと
ちょっと綺麗事過ぎ
自ブログより抜粋で。(ほぼ全文)
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最初に結論を書いてしまうが、誰もが避けて通れない人の死を通して人が生きることの素晴らしさを謳い上げた秀作。
まさに様式美という言葉がふさわしい納棺師のよどみない所作と山形の美しい景色に心洗われ、かといって堅苦しい映画かというと随所に笑いをもたらすユーモアも忘れない、ベテラン滝田洋二郎監督の力量がいかんなく発揮された珠玉の名作といっていい。
しいて難点を挙げるとすれば、大悟が納棺の仕事をしていることが周囲の噂となって、秘密にしていた妻・美香にもばれてしまうくだり。
それまで良妻を絵に描いたようだった美香が、一方的に「汚らわしい」とまで言い放つのはさすがに引いた。
そこに至るまでの大悟の成り行きを見ていた観客としては当然彼に肩入れするのだが、そのひいき目を差し引いても美香や親友・山下(杉本哲太)の極端に差別的な言動には不快感を感じずにいられない。
納棺という特異な仕事に対する世間の冷たい視線を象徴的に描くにしても、こういう人が嫌がる仕事も誰かがやらなくちゃいけない必要な仕事だということは少なくとも理屈ではわかるだろうに、そういったフォローのないこの展開は、ある種の御都合主義だろう。
とまあ、ここまでは理性で語れる切り口なんだけど、実は個人的にはそれ以上にこの良作を素直に観られなかったんだよな。
自分で言うのもなんだけど、半分愚痴みたいなもんなんで軽く読み流してもらって結構なんだけど、ちょっとこの話は綺麗事過ぎる気がしてね。
最初に思ったのは、広末涼子が演じる妻・美香ができすぎだろってこと。こんな若くて可愛くて、さらに二人で食っていけるだけの手に職を持った理解ある良妻がいるなんて羨ましすぎる。職を失ったくらいじゃまだまだ人生楽しそうじゃないか。
おまけに、(こういう映画に対してこんな事言うのは失言でしかないが)一緒に暮らすとなったらなにかとやっかいな親はすでに他界し、自由に使える実家が残されており、住む場所にも困らないときたもんだ。
この映画は笑いとペーソスを交えて人生って素晴らしいってことを描いているけど、自分みたいな陽の当たらない負け組人生を歩んでる身から言わせると、無菌培養された白日夢のような人生に見えるんだけど。
映画冒頭でちょっとつまずいて嘆いてみせてるけど、血も出なきゃ、膿もヘドも見ることなく天職に巡り遇う、考えてみたら相当幸せな人生じゃん。
もちろんこんなことはこの映画の言わんとするところではないんだけども、この映画のクライマックスの、ある人物の遺体を乱雑に扱う人たちに大悟が怒りをあらわにするシーン。ここまで大悟と一緒になって人の死の荘厳さを見つめてきた観客ならそんな彼の気持ちに大いに共感できるだろう。
けど、現実の世界では、遺体の扱いに限らず様々なことで気持ちとは裏腹に粗雑に立ち振る舞うようなことは珍しいことじゃない。日々の生活は綺麗事だけじゃなかなか立ちゆかないものだから。
自分はこのシーンで、その粗雑に扱っている人たちの方により人間味を感じてしまった。これが普通の日常だよなって。
この映画が素晴らしい作品であることを覆すつもりはないけれど、人の死を通じて人生の機微を描くならば、そういう点にも目配せが欲しかった。
大悟が最後に目前の遺体から悟ったのは、もの言わぬその人物の綺麗事では済まされない生き様だったはずだから。
まさしく「これがうまいんだな。困ったことに」です
ようやく本作を観ることができました(というか、ようやく観る気になった)。天の邪鬼なわたくしは、本作がアカデミー外国賞を取ると、一気に観る気がなくなってしまったのです。みんなが飛びつくものには、疑ってかかる性格なのです。困ったことに。
納棺師を主人公にした設定で、本作は玉石混合な作品の中で一歩リード。それだけで、興味深く観れます。撮り方がすごく綺麗で、日本の様式美というものに恍惚とさえしてしまいます。
そんな息のつまりそうな美しさを描いた作品ですが、観てて癒されてしまうのは、やはり笑いをいれた脚本にうまさがあったのだと思います。出演した俳優陣も、いい意味で自分のカラーを消して、ロールプレイに徹していたと思います。
作品全体としては、それでも一般大衆的な出来上がりです。正直、先日観た「アキレスと亀」ほど、魂にぐぐっと来るような力は感じませんでした。
死体を扱った映画という意味で、素直に勧められるような作品ではないのかもしれませんが、それでも楽しめながら観れると思います。
それにしても、お葬式ってやっぱり身内の喧嘩がでやすいですね。
みんなに微笑んでもらえるような生き方、そして死に方をしたいものです。
田舎の町の風俗が面白かった
仕事の少ない田舎の町で奮闘する夫婦をモックンと広末が演じています。仕事の話、死ぬ前に父親に会う話など、ともすればとんとん拍子すぎて違和感を感じてしまいそうなところですが、うまくまとまっていると思いました。
田舎町の人たちのやりとりがリアルで面白かったです。
気になったのは演技をしている感の強い広末のしゃべり方。普通を演じるって難しいと思いました。
モックンが練習でお尻に綿を詰められるシーンは、色々と意味深でおかしかったです。すごく普通に見えました。
誇りを持っていいと思う。納棺師という仕事!
遅ればせながら、観た。思ったより肩肘を張らずに観られた。今まで知られていなかった職業に陽の目を当たらせた映画だが、所作が美しく、見事な感じを受けた。最初にこの仕事に入ったきっかけも、偉そうな話ではなく、お金が稼げるからというのも現実的でもっともらしかった。それがだんだん責任感も出てきて、惹かれていく様子が自然に描かれていた。死体たちもいろいろ工夫してあって、飽きさせなかった。最初は人に隠すような仕事が、人に知られてしまうと差別を受けるようになっていく怖さ。現代の日本で、職業で差別があるとは・・・ 日本人として悲しい。でも、最後は妻も認めてくれるのはうれしかった。もっと職人ぽい仕事かと思ったが、私が受けた印象は芸術家みたいだった。
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