劇場公開日 2008年9月13日

  • 予告編を見る

おくりびとのレビュー・感想・評価

全121件中、101~120件目を表示

5.0笑いあり、涙あり

2008年9月30日

泣ける

笑える

とても笑えて、泣けて印象に残る作品でした。
死はいつかは訪れるもので・・・それを悲しみだけではなく、あたたかく描いていたと思います。
本木さんのチェロも心に響きましたし、久石さんの音楽もその世界にぴったりあっている感動作でした。助演の方の演技も光っていましたよ。
今年見た邦画の中ではNO1だと思います♪

コメントする (0件)
共感した! 0件)
hitomi

4.0日本映画いいね

2008年9月29日

泣ける

笑える

楽しい

若い頃は日本映画ってダサイと思ってあまり見ませんでしたが、最近は最盛期ですね。いろんな作家が、いい作品が目白押しで。このようなジャンルでも映画は作り物だから見せ場が必要。広末は好きだから許すけどもう少し性格設定をどちらかに振って欲しい。山崎努が黙って車のキーを投げるシーンが最高にカッコイイ。ここだけはもう一回見たいと思った。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
harry

4.5見る人によっては・・・

2008年9月26日

泣ける

笑える

幸せ

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
神戸の二児パパ

5.0笑いが死の演出!今年一番の邦画です。

2008年9月25日

泣ける

笑える

知的

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
Kame.Pla

5.0おくりびと

2008年9月19日

泣ける

笑える

都会で食い詰め帰郷した男。旅行会社に採用されたつもりが、仕事は安らかな旅立ちへのお手伝い。そんなこととはつゆ知らぬ健気な妻の笑顔に送られる日々。ひょんなことから片足突っ込んだ納棺師の道、男はいつしか両足で歩いている。

納棺の儀式を執り行う本木雅弘の心を込めた所作手さばきの鮮やかさ。世俗の汚れをきれいに落とされ、死者の面に生気が蘇る。死出の装束を清らかにまとわせられて、悲しみを新たにする遺族が見守るうち、死者は静かに棺へと納められる。人間の尊厳を慈しむ画面に自然と涙も滲んでくる。泣かせる作品なのだ。

泣かせるがお涙頂戴という訳ではない。人が生きていくことのもろもろを、静謐さと厳粛さのうちに、皮肉の効いた笑わせどころもしっかり織り込んで、厳しくも優しいお話として提示する。その丁寧で行き届いた仕事ぶりに泣けるのだ。

そもそも、モックンが納棺師をモチーフに、脚本は小山薫堂を指名するところから始まった企画だと言う。確かに、これはビジュアル的にも物珍しさからも映画にはおあつらえ向きの素材だ。納棺師と死者との距離感でドラマの幅を広げた脚本は伏線の張り加減など強引とも周到ともとれる点はあるが、普通の人々を敬意を込めて描き、誰もが共感できる物語になっている。見事な脚本で指名に応えた小山薫堂はあまりにカッコいい。

滝田洋二郎の丁寧な画面作りと抑制の効いた演出も良かった。「陰陽師」や「阿修羅城の瞳」のようなスペクタキュラーなものより、前作「バッテリー」同様、家族や夫婦をモチーフに普通の人々を描く方がこの監督の柄に合っているのだろう。

プロデュース的なセンスの良さを発揮したモックンの、作品を力強く引っ張っる華も実もある役者振りがいい。山崎努の人を喰った怪人振りと余貴美子の生活感が作品にクッキリと陰影を刻み込み、広末は屈折した笑顔で貢献する。素材の新鮮さに対し、奇をてらわぬキャスティングが醸し出す説得力。月山を望む庄内平野の美しい四季を背景に、人生を感じさせるチェロの調べが。生きとし生けるものへの共感と慈しみを描いて、隅々迄味わい深い。今年度を代表する作品。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
rasen

5.0ほっこり温かくなる映画^^泣けます。。。

2008年9月18日

泣ける

笑える

幸せ

誰もが遅かれ早かれいつかは経験する死。
こんな「死」をテーマにした映画なので、重々しく悲しい話かと思いきや、前半は笑いが満載で、日本ならではのユニークさもあり、おもしろく描かれているのが意外でした^^笑えます♪

葬儀会社全般の業務内容は、なんとなぁ~く理解していたつもりの私だけど、その中で「納棺師」なんぞという職業があるなんて、今まで知りもしませんでした。
・・・ってか、それ以前に、婚礼会社は喜ばれるのに、葬儀会社は遠慮されがちな世の中が現状。でもこの映画を観て、死んだ時に、その人が生きていた中で一番綺麗な時の姿にして、向こうの世界に送り出してくれる。なんて素晴らしい職業なんだろう!って感動せずにはいられませんでした。

「死とは門のようなもの。だから行ってらっしゃい。また逢おうな。と行って送り出すんだ。」火葬場で働く笹野さん役の正吉のセリフにジ~ンときました(涙)
いつかまた逢える。。。そう思えば淋しさも軽減されますよね^^

今回、NKエージェントの社長扮する山﨑努さんが、前回の「クライマーズ・ハイ」のいやらしい社長と全く違って、かっこよく凛々しい姿が印象的でした^^勿論もっくんも良かったです\(^o^)/

身近な人が亡くなった時、死を悼む哀しみははかり知れないものがありますが、そんな中、誰かがひとつひとつ丁寧に、生前の頃の綺麗な姿にして故人を送り出してくれる。そう思うと、何とも言えない温かな優しい気持ちに包まれます。
いつかは私も送られ人。私も最高に綺麗にして送り出して貰いたいものです^^

本当に素晴らしい映画でした^^♪
今年私の感動NO.1映画になりそ~です(^o^)

                9月16日MOVIX伊勢崎にて観賞

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ゆりこ

5.0誰もがいつかはおくられびと。

2008年9月17日

泣ける

笑える

幸せ

試写会にて。

第32回モントリオール世界映画祭・グランプリ受賞作品。
受賞前から観るつもりではいたけれど、実際に観てみたら、
あ~これは♪と思うほどの素晴らしい作品なので驚いた。

いや、驚いたのは…その内容で、私はもっと荘厳な日本の
葬送儀式を描いた作品なのだと思っていて(そうなんだけど)
あんなにユーモアに満ち溢れたドラマだとは思ってなかった。
だって、腹を抱えて笑えるほどなのである^^;
そして、ひとしきり笑わせておいて、ズシンと胸にも響く。
やがて流れ落ちる涙が冷たくはなく、温かいことに喜び、
いつか自分にこんな日がやってくることを予測してしまう。
「死」を「旅立ち」と捉えられるなら、ちっとも怖くはない。

そして、なんといっても…。モッくんと山﨑努だ。
こういうテーマを選んでおきながら、なんとも飄々とした
二人の掛け合いを見ていると、あ~生きてるっていうのは
こういうことなんだよな、、、と実感できる。
動植物の死、によって生き長らえている人間たちなのだ。
綺麗だの気持ち悪いだの、まともだのまともでないだのと、
ヒトは他人の職業についてあれこれと意見をするけれど、
どんなにドエライ人間だっていつかは死ぬわけでしょう。
その亡骸を、いっさい他人の手を借りず、迷惑もかけず、
処理することなど、今の日本では到底不可能なのだ。
いつかは皆、おくられびと。になる日が来るのだから…。

一緒に観た母親がボソッと言った。
儀式としての納棺は、母の若い時分には無かったそうだ。
身内や親類が総出で、亡骸を棺に納め、葬送したらしい。
今はお金をかけて、こうやって綺麗にするんだね。。。と
そんなことを隣で言われた私は、何だか泣けてきてしまった。
ちなみに私も身内の「死」に立ち合った経験があるものの、
その時はすでに、棺に納められてからの対面、だった。
納棺はおそらく綺麗な御遺体でなければ見ることは出来ない。

しかしこの作品は、その職業について深く掘り下げる一方で、
人生の悲喜交々を雄大な自然の中で(チェロの伴奏にのせて)
豊かに謳い上げてくれている。人生にどんなことがあっても、
自分がおくられびと。になる日まで終わることはないのだと。

観終えて、久しぶりに拍手を贈りたくなった作品。

(モッくん、今回も素晴らしいコスプレを魅せてくれてます^^;)

コメントする (0件)
共感した! 13件)
ハチコ

4.5心と気持ちが、優しくなれる映画。

2008年9月16日

悲しい

楽しい

幸せ

“モントリオール世界映画祭グランプリ受賞”。とても地味なテーマを描いた映画です。でも、素朴でとても優しい気持ちになれる映画です。
 吾輩“モントリオール世界映画祭”が、どれほど権威のある映画祭なのか存じません。しかし、今回のグランプリ受賞は、この映画にとって非常によろこばしいことだったと思います。何せ、公開初日から“満席”でしたから。この“賞効果”がなかったら、この映画はひっそりと公開されて、あっさりと上映終了していたかも知れません。それくらい、取り上げているテーマが、この上ないくらい地味なモノですから。でも映画自体の出来は、とても素晴らしい物でした。ですから多くの人が映画館に足を運んでこの映画をご覧になるっていうのが、何かとっても嬉しいです。

 “納棺師”という仕事があるという事を、吾輩はこのえいがを観て初めて知りました。遺体に死に装束を着せ、死に化粧を施し、あの世へ送り出す。映画ではその作業の一つ一つの動作が、入念に撮り上がられていて、さながら崇高な儀式のようでした。ある意味これは一つの“芸術”だと思います。映画の中では、“遺体を扱う仕事”ということで、抵抗を持つ人々の様子も描かれています。吾輩なんぞは、さほど抵抗は感じなかったのですが、やはりそのように感じるのが一般的な通念なんですかね?しかし、その人達も大悟の“凛とした”仕事振りを見て、考えを改めていきます。様々な形の“人の死”に、愛を持って向き合い、その最期を送り出す“納棺師”。非常に素晴らしく、気高い仕事だと思います。

 主演の本木雅弘さんが、イイ演技を見せてくれます。最初の方は、何となく“ダメ男”なんですが、様々な“人の死”と向き合い人間的に成長していく主人公・大悟の姿を、抑えめの演技で堅実に好演しています。もう“モックン”なんて呼んだら失礼ですね。そして妻役の広末さんが、これまたイイ!一時期“プッツン女優”とか言われてましたが、何か完全にふっ切れてるんでしょうね。可愛くも芯が強く、愛する夫を常に支える妻・美香をとても愛らしく演じています。いやあ、あんな奥さん、そうそういませんよ!
 山﨑努、余貴美子、吉行和子、笹野高史…、脇を固めるベテラン俳優陣の皆さん。もう何も言うことはございません。映画を安心して見ていられます。それぞれの魅力を如何なく発揮され、この映画をとてもしっかりした作品に仕上げています。

 観る前は、宣伝などから『ひょっとして“号泣誘発映画”なのかな?』と思っていたのですが、随所にユーモアが散りばめられていて(事実、前半1時間くらいは、笑いの方が多かった)、観ていてとても優しい気持ちになれました。こういう“心が優しくなる“演出、滝田洋二郎 監督は、ホントお上手ですね。あと、久石譲 さんの音楽と、山形の素朴な自然の風景が、観る者の心を更に優しくしてくれます。
 何度も書きますが、決して派手な大作ではなく、地味な映画です。でも日本映画として、日本文化の優しい所が描かれていて、本当に“秀作”です。来年のアカデミー賞の日本代表に選出されたそうですが、何とか“外国語映画賞”にノミネートされてほしいですね。ガンバレ!

コメントする (0件)
共感した! 3件)
mori2

5.0心に、ジーンと来ました。

2008年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2008年モントリオール世界映画祭グランプリ受賞作品。ベネチア国際映画祭に、北野武(『アキレスと亀』)、押井守(『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』)、宮崎駿(『崖の上のポニョ』)の3監督の作品が出たと騒いでいる陰を縫って、こちらの作品が、別のところで世界的評価を得ていました。放送作家の小山薫堂が、映画初脚本と言う事でも話題です。

劇中、結構食べ物を食べるシーンがあったような気がするのは、気のせいでしょうか? しかも、静かに食べると言うより、ムシャムシャ食べると言う感じの食べるシーン。山崎務のセリフにも「生きるためには、食べなければならない」と言う趣旨の意味のモノがあったのですが、納棺(=死)と食事(=生)と言う対比を表したかったんですかね? ちょっと印象的でした。

多くは語りません。って言うか、語れません。物凄く、心の奥にジーンと来ます。いいものは、言葉が違っても、文化が違っても通じると言う事が分かりました。それが、モントリオール世界映画祭の評価だと思います。不覚にも、二回ほど泣きそうになりました。それにしても、納棺師と言う職業があるのは、全く知りませんでした。近親者の葬儀に出た事はあるんですが、納棺は全く経験なし。こう言う事をやっていたのかな?

コメントする (0件)
共感した! 2件)
勝手な評論家

3.5日本らしい、川の流れのような映画

2008年9月11日

泣ける

笑える

悲しい

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
ant

5.0打ち込める事の幸福

2008年9月7日

幸せ

この手のテーマにありがちな説明的台詞が皆無であるのに、登場人物一人一人の心情がもの凄く伝わりました。
邦画では間違いなく歴史に残る一作です。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
しげ

5.0素晴らしかった 皆に見て欲しい

2008年9月5日

泣ける

悲しい

楽しい

試写会で見ました。正直単なる暗い映画なのかな・・・と思っていましたが、
見事に裏切られました。

山崎努と本木雅弘のテンポの良さのかけひきに笑ったり、本当に美味しそうに食事をするシーン、広末涼子と本木雅弘の夫婦の生活、そして納棺師としての仕事っぷり、チェロを演奏するシーン。
山崎努のコミカルながらも深みのある言葉、本木雅弘のびっくりしたり悲しんだりする表情、広末涼子の柔らかい優しい表情。

さまざまな場面が心地よいBGMと盛り込まれていて、死との向き合い方を考えさせる話でした。

また、人との縁はどこかでつながっている、ということも感じました。

今までに対面してきた、納棺やお通夜、お葬式、悲しみにくれてばかりいて、納棺の一つ一つの作法に意味があることが分かりませんでした。亡くなった方へのお礼の気持ち、最後はいい顔をしていたよ、っていうありがとうの意を込めての納棺なんだな、次に自分が立ち会う時は、またこの映画を思い出して、違う気持ちでいるんだろうな、と思いました。

本当に見て良かった映画でした。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ネコ三昧

4.5秀作です、お勧めです。

2008年9月5日

泣ける

笑える

幸せ

納棺師の所作は美しくて、お茶のお手前のような完成度がありました。それを演じるモックンの微妙な表情の変化。彼は本当に、良い俳優さんになりましたね。深みのあるチェロの音色に彩られ、人生の最後の一幕・・・納棺は、その人の命を大切にするひと時なのだと伝わってきました。
時に笑いながらも、命の尊さを静かにかみ締める秀作です。
脇役は芸達者が揃っていて、しかもそれぞれに合ったキャスト。山崎努は社長を楽しんで演じていましたね。吉行和子、さすが、笹野高史、相変わらず良い味。個人的には杉本哲太が好きです。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ももママ

5.0おお、感動しました

2008年9月4日

泣ける

悲しい

幸せ

eiga.comの試写会で拝見しました。
納棺師ってなに
シリアスコメディーかと思っていましたが、とても切なくて、愛があって、偏見
があって、あたたかな人の血の流れている素敵な作品でした。
本木雅弘ってこんなに演技がうまかったっけ
ずっと思いだせなかった父親の顔を思い出せた瞬間に、この作品は人の死を引金
に、生きている者の思いや愛を気付かせるのだなぁと感じました。
素晴らしい映画をありがとう!って感じの映画でした。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
nagirakenichi

4.5邦画では今年1番かも?

2008年9月3日

泣ける

笑える

納棺師というお仕事を知るいいきっかけになりました。
実際にそんな場面に出くわしたことがないので「へぇ~」と思えることも多かったです。
死者は他人にとっては死体でも家族にとっては”亡骸”であり、尊いものであるというのがよく現れてると思います。
笑わせるけど泣かせる映画で2時間10分の上映時間ですが長さを感じさせない映画だと思います。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
らら

3.5悪くはないが……

2008年9月3日

泣ける

笑える

知的

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
K-JOE

5.0間違いなくベストワンの作品であり、笑って泣ける大傑作です。

2008年8月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 この作品で“納棺師”という仕事を初めて知りました。死者を納棺と前に、一定の所作でうやうやしく、表情を整え、体を拭き、死に化粧をして、棺に納める仕事です。このときお亡くなりになった人の尊厳のために、衣装の着せ替えは参列者に一切肌を晒さず、手際よく脱がせ、死に装束に付け替えるのです。
 主演の元木がまるでお茶の作法のようだったと答えていたように、その所作は美しく、厳かで、故人を弔ふことがこんなにも感動を呼ぶものかと、改めて気づかせてくれました。実は2年前の6月に母の葬儀を体験しました。そのときにも納棺の儀式はあったはずなのですが、記憶の隅に追いやっていたようです。
 でも、納棺師の仕事がどんなに大切か。この作品で思い知らせされました。なかには葬儀屋が適当に遺体を棺桶に放り込む時もあるようで、そのシーンを見たときなるほど儀式として納棺の儀があった方が、遺族としても心のけじめができるし、悲しみも和らぐものだなぁとつくづく思い知らされましたね。まさに人生最高の旅立ちのお手伝いといえます。

 ところが、普段の日常生活を送っている市中の人は、他人の葬儀に関わることを忌み嫌います。葬儀場や墓場の建設は反対され、葬儀屋は忌み嫌われます。この作品の主人公大悟の幼なじみからは、絶交され、さらに妻美香もまた、夫が相談もなく納棺師に就職したことに腹を立てて、実家に帰ってしまいます。

 葬儀場建設反対の立て札を見るたびに、ろくに神仏を信じていない人がと疑問に思う小地蔵ではあります。みなさんあまりにやがては誰でも死んでしまうという避けがたい現実を避けて忘れてしまっているのではないのかなぁ~。

 いくら避けていても肉親や親しい人が亡くなったら、話は別。死と向き合わざるを得ません。そこで見かける納棺師としての大悟の振る舞いを見て、蔑視していた美香や幼なじみたちも、感動するのでした。

 初めて大悟の仕事ぶりをまざまざと見つめるときの広末と元木の無言の演技が凄く良かったです。直前まで納棺師の仕事の件で大喧嘩している仲だったのに、アイコンタクト一発で、美香が大悟の仕事を受け入れたことを、観客にも納得させるすばらしい表情でした。
 無言の表情だけで場面を語らせている点では、滝田洋二郎監督の演出は凄いし、元木・広末・山崎努らの阿吽の呼吸による息のあった演技に惹き付けられましたね。

 あと主人公がプロのチェリストだったという設定のため、ガチンコで元木はチェロの演奏を練習し吹き替えなしでやり遂げています。その腕前は、全くの素人だったのが近日中には、ライブ演奏しようかというところまで上達したそうです。

 その主人公の心そのままに、時に激しく、時にやさしく、チェロの音色で織りなす感動的な音楽を手がけるのは、名匠・久石譲。日本の代表的なチェロ奏者20名で編成した楽団による音楽も素晴らしかったです。

 また、物語の舞台は山形県庄内平野。名峰・月山を背景に、美しい自然を四季の移ろいとともに叙情的に描き出していました。

 一見地味で触れ難いイメージの職業をテーマしていますけれど、その重さを打ち消すぐらいユーモアにあふれた作品でもありました。
 例えば、大悟の初仕事は、死後2週間も経った腐乱死体。その悶絶する姿に大笑い。ついでに、追い打ちで家に戻ってたらで、夕食は鳥鍋。鳥の生首見て吐きそうになる大悟に同情しつつ笑ってしまいました。そんなときって、理性が麻痺しているから、妻にいきなり欲情してしまうものでしょうか?(見てのお楽しみ)
 その他、沢山のキスマークで送り出される大往生のおじいちゃんだとか、美人だと思ったら、拭いているうちにあれと当たり、なんとニューハーフだったなどなど、全編滑稽さに満ち溢れています。決して退屈させません。

 納棺師と主人公夫婦・親子のつながりのなかから、愛すること生きることを考えずにはいられなくなりました。人は誰でもいつか、おくりびと、そしておくられびととなります。この普遍的なテーマは、今生きている私たちに、夫や妻そして、わが子や父や母にどう向き合うか問うてくるでしょう。きっと、そばにいてくれるだけでもありがたいなっていう気持ちにならざるを得なくなりますよ。
 好き嫌いはあっても、食わず嫌いはいけません。この作品をとにかく見ていただければ、笑いと涙、そして大きな感動が得られることを小地蔵は保証しますよ。

 特に近年肉親の葬儀を経験した人なら、そのときの忘れようと努めていた葬儀の記憶が故人の思い出とともに、まざまざと鮮やかに蘇ってきて、泣けてきます。
 まぁ、それは悲しいけど、それもまた悪くないと思いますよ。

追伸
2ヶ月ぶりでまた試写を見てきました。
またまた感激し、たっぷりと涙流してきました。
山崎努さんを初めベテラン俳優陣が、いつも以上の演技をしていることに気がつきました。しかも、軽妙で笑えます。
肩がこりません。
この満足感、高揚感は、『ダークナイト』試写会を見終わったあとの感じに近いものがあります。
今年に入ってすでに150本以上の作品を見た中で、間違いなくベストワンの作品であるとお勧めします。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
流山の小地蔵

5.0まさに秀作!

2008年8月11日

泣ける

笑える

幸せ

納棺師、というあまり耳慣れない職業についた男とその周辺の人々の物語。

死は皆にいつか訪れるもので、誰しも身内や知人のお葬式には
1度くらいは出たことがあるはず。
でも、お葬式には出席していても、現代ではなかなか「納棺」の瞬間に
立ち会うことは無いのではないでしょうか?
ちょっと ナゾのベールに包まれた納棺師という仕事。

一言で言えば、「死体を納棺する」仕事ですが、
死者に敬意と愛情を持って、丁寧に着替えさせ、化粧をする・・・。
本木さんのイリュージョンとも思える仕事ぶりのせいなのか、
その姿は、とても崇高なものに見えました。
今まで知らなかった職業を、少しだけ垣間見ることが出来て
とても興味深く 「仕事」というものについても考えさせられるお話でした。

山崎努さん、吉行和子さん、余貴美子さん、笹野高史さんといった
日本映画界を代表する名役者さんが脇を固め、素晴らしい演技で
魅せてくれます。
特に一言、二言で多くを語る笹野さんの燻し銀の演技は素晴らしい。

エンドロールは必見。終わりと思ってさっさと席を立ってしまうと
いいものを見逃してしまいます。

笑えて、泣けて、ジンと来て・・・まさに秀作です。

P.S.
モントリオール映画祭で受賞したとのお知らせ!
当然、というか、納得の受賞!
人の死、人生って ユニバーサルなテーマですものね。
こういうとっても「日本らしい」映画が受賞するのは嬉しいですね。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ゆきだるま

4.0死を目の当たりにし、生を見つめ、過去を乗り越え、未来を見つめる。

2008年8月5日

泣ける

笑える

 お高いチェロを買ったばかりで、
 これからと思っていたところでの楽団の解散。
 チェロ奏者として食っていくことをあきらめ、
 故郷の山形に帰ってきた大悟(本木雅弘)は好条件であった
“旅のお手伝い”という、NKエージェントの求人広告を見つける。
 どんな仕事かも分からず面接で社長の佐々木(山崎努)に即採用されるが、
 業務内容はなんと、安らかな“旅立ちのお手伝い”である納棺。
 遺体を棺に納める仕事であった。
 戸惑う大悟だったが妻の美香(広末涼子)には冠婚葬祭関係だと、
 結婚式場の仕事だと偽り、見習いとして働き出す。
 美人だと思っていたら・・・、幼い子供を残して亡くなった母親、
 キスマークたくさんのお爺ちゃんと、
 千差万別な別れと向き合っていくうちに、
 納棺師という仕事の素晴らしさを実感していく。

 素晴らしい所作であの世への旅立ちの衣装を着せ、
 美しくしてくれてありがとうと、感謝されるほどの化粧を施し、
 その人なりの美しさを引き出して、遺体を棺に納める納棺師という職業を、
 真正面から描き、多くの別れと対峙し、
 人生の最期に必要だと思われる職業を通して、家族を、夫婦を描く。

 僕の感情のクライマックスは、かなり早めに訪れた。
 初めての遺体を目の前にし、
 それもある程度の腐敗が進んだと思われる遺体で、
 その目を覆いたくなるような遺体を、強烈そうな匂いを、
 体感した後にとった行動。
 妻の用意した食事を目の前にし、大悟がとった行動が、
 作品全体で僕の感情のクライマックスであった。
 そのシーンもデビュー当時からの広末ファンとしては、
 複雑ではあるけども、もっと激しくても、と思うんだけど、
 広末の限界か、事務所の限界か。

 その後は出てきた要素を、
 予想通りに使って終わったという印象がないわけではない。
 社長の納棺技術を見ることによって、
 大悟もその技術を学び納棺師として誇りを持つ。
 お客さんに、大悟に、美香に、観客に見せて理解させる。
 よく分かるし、作品中で語られるように納棺技術は美しいと思えたし、
 知らなければ、大悟が客にも友人にも言われたように、
 死人を飯の種にしているだけと、もっとまともな仕事につけと、
 職業に対する偏見を持ってはいけないと思っていても、
 納棺師を思うかもしれない。
 大悟自身も始めは誇りが持てず、堂々と言えなかった。
 そんな人を、観てる僕も、黙らせ感じさせる美しさはあった。
 しかし、理解させ、予想通りの感動へいってしまって、
 作品のクライマックスに、
 僕の感情がクライマックスへと行かなかったのが残念というのは、
 それぞれの物語が、それぞれ感じさせ、考えさせられましたし、
 ちょっと、贅沢な感想なのかもしれない。

 予想通りだとしても、感情がラストへ向けて盛り上がらなかったのは、
 下手だとは全く思わないけども、
 役者陣が予想の範囲内の演技だったのも大きいと思う。
 本木雅弘は納棺の手引きでは遺体として頑張り、
 それなりに体を張って笑わせてくれたし、
 納棺の技術を施している姿も美しく、
 チェロを演奏している姿も様になっていたが、
 凄い、というような揺さぶられるような演技は少なかった。
 それは他の役者陣も同じ。特に広末は浮いて感じてしまう。
 しかしそれは、妻にも他の人物と同じ様に
 分かりやすく納棺師という仕事を嫌わせ、
 大悟の仕事を知った時のセリフにも、
 違和感を感じたのも大きいかもしれない。
 笹野高史は、かなり美味しい役を、美味しく演じていたけどね。

 人は誰もがいつかは“おくりびと”であり、“おくられびと”になる。
 そんな事は分かっていても、目の前になければ、
 普段は全く考えないこと、考えたくないこと。
 実際に棺に入った遺体を目の前にしたことはあっても、
 入れる前に作品中で行われるような納棺の所作を観たことはなかった。
 司法解剖後の棺に入った親族の遺体に、
 何とも言えない思いをした事のある自分としては、
 そのような遺体の場合はどのようにするのかは分からないが、
 納棺師がいてくれたら、
 やり場のない想いを少しは和らげてくれたかもしれないと思う。

 描きにくいと思われる作品で、
 主人公の大悟と佐々木のコミカルな師弟関係は面白く、
 緩急としての笑わせる部分は、ほどほどに心地よく上質だと思うし、
 色々な納棺の場面が出てくるが、納棺の所作の美しさは、
 作品中の遺族同様に、こちらも見惚れてしまうほどでもあり、温かかった。
 僕の目には新鮮に見えたが、
 綺麗事だけではないであろう納棺師という仕事を知れて、
 誰もが訪れる旅立ちを、多くの人が携わっていると、
 改めて勉強にもなった。
 多くの方が、それぞれの、おくられた人々を想い涙できるでしょう。
 そんな作品だからこそ、激しい部分は、
 もっと激しくてもよかったかと思うし、
 たった2ヶ月であそこまで出来るか、と思わないでもないし、
 チェロが巧く絡んでいたかも疑問がないわけではない。
 石文のエピソードは、ええ話や、温かいのう、と思っても、
 ラストの奇跡のようなことはないだろうと、思わないでもない。

 分かりやすいバロメーターとして、寝不足で行って、ちょい、ちょい、
 一瞬意識がない部分があったのは、
 僕の中では傑作というほどではないという事でしょうか。
 自分の中で傑作だという作品は、
 寝不足でも寝るような事はないですからね。

 でも、多くの人に観てほしい作品です。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
いきいき

4.5愛情とユーモアに満ちた、「送る人」を描く名作

2008年8月2日

泣ける

笑える

幸せ

 納棺師(のうかんし)。
 ちょっと辛気臭くて、敬遠されそうな職業のように感じられてしまいます。
 しかし、親族の目の前で行なわれる納棺の儀式は、静謐で、厳かで、死者に対する敬意に満ちていました。

 故人の肌を遺族に一切見せないように、遺体を清拭し、寝間着から白装束に着替えさせる一連の手技は、一糸乱れぬ職人技です。
 生きていたときのように死に化粧を施す指先は、何よりも亡き人への愛情が溢れてます。

 遺族にも一人一人清拭をしてもらいます。
 それが旅立つ人と残される人の、最後の心の交流になるでしょう。
 悲喜こもごものエピソードを、映画はユーモラスに描いていきます。

 日常から死が遠ざかっている現代人は、死を忌避してしまいがちです。
 しかし、人は誰でも必ず死ぬ、死ぬことは普通のことなのです。

 誰でもが「おくりびと」になるし、「おくられびと」にもなる。
 納棺師は悲しい別れを、優しい愛情で満たす仕事なのです。

 監督は滝田洋二郎。
 「名作」と呼ぶのに相応しい、ユーモアと感動に溢れた日本映画が、新たに誕生しました。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
シンコ