劇場公開日 2008年9月13日

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「日本映画の原点を取り戻してくれた」おくりびと マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0日本映画の原点を取り戻してくれた

2010年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

納棺師という職業に技と美を感じる。無駄がないひとつひとつの動作は何かの作法のようであり、静けさのなかに衣擦れの音だけが耳に響く。
遺体を扱うことで“けがれの職業”と周りから見られ、やがて事実を知った妻も家を出て行ってしまう。それでも職を辞めない大悟は、様々な死と向き合うことで、命の尊厳と死が持つ意味を悟って行ったのだろう。
食べるシーンも多く、そこでも多くの動植物の死が演じられる。生きていくということは、他の死を伴うということも忘れてはならない。
本木雅弘のチェロ演奏が効いている。もし、指先だけ別カットだったとしたら、冒頭のオーケストラのシーンにしか使えず、作品全体に及ぶ効果は激減だったろう。
音楽もいい。劇中の音楽もいいが、エンディングはとってつけたような歌より、本作のようにオーケストラで締めくくった方が気持ちがいい。

気になったのは、顔のアップのカット。少し大きすぎ。アップのカットが入るたびに、「あ、映画だ」と余計なことを思ってしまう。もう少し引いたほうがいい。

マスター@だんだん