「しっとりした名作」おくりびと れんさんの映画レビュー(感想・評価)
しっとりした名作
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アカデミー賞をとった、つまりアメリカ人に受けたということを知っての鑑賞だったので、どこが受けたのだろう的なことが頭から離れず、困りました。まあ、アメリカの風土とは全く違う、重く、冷たい空気の似合う日本ならではの内容です。このしっとりした空気感に共感してくれたのかなと思いました。葬儀のときに、亡くなった人を清めつつ納棺してくれる納棺師の成長の物語ですが、納棺をここまで儀式として美しくとらえ、嫌みも、後腐れも、どろどろした空気も排除した映像美は、見た後にさわやかな印象を与えます。ただし、美香(広末涼子)が、あれだけ不自然なほど、妻として夫の納棺師という職業を受け入れられなかったのに、実際の夫の仕事ぶりを目にすることで、突然夫を受け入れてしまうことが若干唐突な気がした。生理的嫌悪があんなに簡単にひっくり返ることは、もっと時間をかけない限りあり得ないと思った。
それ以外は、素晴らしい、です。
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