おくりびとのレビュー・感想・評価
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まるで温活専門店で心をあっためてもらったみたい
最初はちょっと重そうな映画かな?と思って観始めたけど、気づけば静かに心がほぐされていくような不思議な時間でした。死をテーマにしてるのに、暗い気持ちになるどころか、人とのつながりや仕事の誇りの大切さをじんわり教えてくれるんですよね。
観終わったあと、涙も出たけど嫌な重さは残らなくて、むしろ心がぽかぽか。まるで温活専門店で身体をあっためてもらった後みたいに、すーっと気持ちが軽くなりました。日本の風景や音楽もすごく綺麗で、しみじみ「いい映画観たなぁ」って思える一本でした。
納棺師も悪くない
フグの白子
人の死を扱うお仕事。考えさせられる作品。
良い作品でした。
一度見れたら十分。
納棺師という仕事をこの映画で初めて知りました。
お涙頂戴と表現する方もいますが、
万人に分かりやすく表現した映画だと思います。
それこそ、仕事が人のイメージになり偏見に繋がるとか、
自分のしている事が不安に感じる気持ちとかよくわかる。
仲良い人が死んだ、なんてほかの映画でもよくあるから、
誰を納棺したから泣けたなんて覚えてないけど、
誇りを持って納棺を行うと決めていく姿の描写はとても良かった。
AIが重みあるんだよなー!AI好き増えろ!
やはり広末苦手です。
13.9.7
ものすごく美しい映画「おくりびと」
少し前に見た作品の感想を。
2008年の作品ですが、ずっと気になっていたので鑑賞。
映像、所作など本当に美しくて、涙もいっぱい出て、本当に心が洗われる作品でした。
特に自分の中で印象に残ったことが、
・周りになんて言われようが誇りを持って仕事する
・幼少期の家族との関係が自分の人生に大きく影響している
ということです。
僕は15年前から経営者になることを志して、今は会社を立ち上げ事業を営んでいるんですが、
「なんで経営者なるの?」「リスクあるからやめとき」「普通でいいやん」「なんでそんな仕事してるの」などなど、、、
いろんなこと言われ続けていました。
作中の本木さんも色々言われながら、それでも自分の仕事を遂行する姿を見て、かっこよさを覚えました。
そして、幼少期の家族との関係が、自分の人生を前進させるときに邪魔することもあると改めて学びました。最近これはよく感じるのですが、再度自分の過去を癒して行きながら、思いっきり前進させていこうと思いました。
自分にとってものすごく大切な作品になりました。
梶清智志
オスカー作品
やたらと評価が高いけど、もしオスカーを取ってなかったらどうなってたのか?
内容は悪くなく、本木の映画も素晴らしかった(またしても勝又に見えたが・・)が、
特別に面白いとは感じませんでした。
あまり考えたことはなかったけれど、納棺師というのは大変なお仕事です。
その仕事に就いている事で周囲が馬鹿にしたり反対したりする、
現実にもおそらくそうなのでしょう。それを知れただけでも収穫ですが。
でも何故主人公が偶然出会ったこの仕事にそこまで執着したのかが不明。
そして最後、生き別れの父の納棺をする事になる展開もやや強引に感じました。
いい旅して帰っておいで。
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父の葬儀の直前に見ました。
見てよかったです。
本木雅弘と広末涼子のカップルで、山形が舞台。
数年に渡る物語で、納棺師になる前から、そこそこベテランとして自信をもてるようになるまでが描かれており、丁寧につくられていることがよくわかります。
もう十数年前の作品になりますが、ほとんど古さは感じませんでした。ただ役者陣は、みなそれなりに若さを感じます。
厳粛な雰囲気のなか、コミカルな描写もところどころあり、いい映画でした。
死は人生の門か?
この映画の内容は説明する必要がないと思うが、個人的に、私の授業でこの映画をどう使おうか考えている。まだ、何にも煮詰まっていないが、主人公、ダイゴの心の変化、例えば、納棺師として歩んでいくかへの疑問、解決、父の死により父への蟠りが解けていくなどダイゴの心の移り変わりに焦点を置くのもいい。彼が納棺師として、歩もうか迷っているとき、この仕事が父親との再会を果たしてくれて、心からこの仕事に対しての確信と自信が持てたこと。でも、これを彼は知らなかった。父親の顔を思い出せなく、思い出したくもない彼にやっと、人生の一コマの区切りがつけたこと。彼の生まれてくる子供とともに歩む新しい人生に明るい希望が持てたこと。そして、父を許せたことが、最も彼の心の重荷を下ろして気持ちが軽くなったと思う。
この主演の男優は顔の表情をよく使い分けていて、微妙な顔の演技が上手だった。しかし、それに反して、伴侶役を演じた俳優はミスキャストだったと思う。この人は誰か知らないがアニメの声優かもしれない声質で、間延びした話し方で、緩慢で、申し訳ないが、残念だった。ただ、この人の役柄は重要で、ダイゴに語りかける一言一言が意味を持っていて、ダイゴの気持ちや考えに徐々に気づきを与える。そして、ダイゴは変わっていった。例えば、父から教わった『いしぶみ』を伴侶に渡す場面や父親の好きなレコードを大切に保存していることが母の愛情の表れと語る伴侶。
しかし、納棺師としての職業選択の決定だけは彼女が彼の気持ちを変えられなかった。彼女が気づいた。これが、素晴らしいかった。
人生においても自分が気づき変われること、または、人の言葉で気づき変われること、全く信念があって、変われないことがある。こんな実例をあげて、話し合いのポイントが見出せればいい。
こういうことに個人的に感動しいたが、クラスの学習者にとってここが論点になるかどうかはわからない。主に、学習者が、会話のトピックを決めて話あう学習者主導型のクラスだから。
少なくても、納棺師という、山形県酒田での貴重な役割、それに、出羽三山として聳える山々、その残雪の鳥海山をバックにチェロの音など話題はあるだろう。
*授業は一月上旬で、学習者はこの映画を見てきて、この映画についてどんなことを話し合いたいか決め、感想、経験、意見などグループで言い合うクラスです。何かアドバイスがありましたら、歓迎します。
美と敬意の生死儀式 納棺
青木新門さんが亡くなったニュースを聞いてこの映画を見ていないことに気がついた。『納棺夫日記』は20年前、都内で入手できなかったからか富山の出版社「桂書房」に直接注文した。当時の私は葬儀屋さんになった女の子の話や監察医解剖や人体の本をいろいろと読んでいた。
舞台は霙の冬から花の春に向かう山形で、照明と色彩と風景が美しかった。女の子になりたかった男の子の場面が一番辛くてきつかった。
餅や干し柿やフライドチキンなどをムシャムシャ食べる場面が多いし山崎努が居るのでどうしても伊丹十三監督の「タンポポ」を思い出す。「こおろぎ」(2006)という映画も同様だった(があまりにたるく、山崎努の無駄使いで途中で見るのをやめた)。伊丹十三へのオマージュなのかな。青木さんの本にも食べ物が沢山出てくる:水島柿、鱒寿司、軒下にぶら下げる鮭。富山だなあ。浄土真宗王国の富山で死は穢れではない。あるのは「生死」で「生」と「死」は別物でなく対立もしていない。お寺との距離も近い。月命日に必ずお坊さんを家に呼ぶ(朝8時!)。仏壇にお花、お坊さんにお茶と和菓子を用意して、お経をあげて頂きお礼は千円位。毎月だから誰か家に居ないと続けられない習慣だ。キラキラの仏壇と井波の欄間が立派な広い仏間は富山の少し昔の典型的和風家屋に欠かせない。そういう富山の人のメンタリティと親鸞の考え、そして空気感を変える程の清浄な立山連峰は映像に是非とも必要だったろうと私ですら思った。だから富山ロケができないことと、素晴らしい脚本だが結末が自分の言いたいこととは異なるという理由で青木さんが自分の本を原作として挙げないでくれ、と言ったのはわかる気がする。
でももっくんが青木さんの本に出会わなかったら、青木さんに何度も会いに行かなかったらこの映画はできなかった。もっくんの一挙一動は静謐で美しい。日本人で彼ほどスーツや白シャツを美しく着こなす人は少ない。寡黙に自らの身体と所作で表現する様式美タイプの役者さんだと思う。
職業に貴賎なし
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