劇場公開日 2008年10月4日

「最高傑作かつ誰にも「憂い」が無い。」容疑者Xの献身 キャットさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0最高傑作かつ誰にも「憂い」が無い。

2024年8月27日
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知的

他の作品は全体的にキャラが渋滞傾向で、ストーリーにフォーカスがつけにくいが、この作品はバランスがいい。

特筆すべきは容疑者Xの人間味(存在感と演技)
だろう。
ほとんどの人が共感できそうも無い頭脳の持ち主のはずが、なぜか人として共感してしまう。多分、人間の強さと弱さがしっかり描かれているのだと思う。

羨ましさと共に「天才じゃなくてよかったー!」なーんて安堵する瞬間もある。

脚本もキャストも素晴らしい。確かにハッピーエンドでは無いが、バットエンドでも無いと感じた。

頭脳、友情、美貌・・・。
何もかもが報われない、、、壊れるだけの未来を引き寄せる「能力」の様に感じる儚さと同時に、しっかりと現実(今)は形ある未来を引き寄せるんだと。

その意味で、誰も「憂い」が無い作品では無いだろうか。つまりしっかりと魅せておきながらも誰もが納得のラストだと思う。

犯罪を良しとするものでも、愛や想いに全ての正解やハッピーエンドを乗っけてしまう事もなく、
悪は悪として、良いものは良いものとしてちゃんと置いてくれている。

それが冒頭に書いた「バランスの良い」というもう一つの意味である。

こういう映画がもっと増えて欲しいと素直に思う.(もちろん自分の好みってだけだけどね)

理屈っぽくなったけど見応え十分だし、単純にとても面白い映画。
ほとんどの人が感動すると思うが、
一体「何に感動したのか?」と見終わった後に自問してみて欲しい。

きっとそこにこの映画の良さが見えてくるだろう。

キャット