「L自体は良いが、Lである必要は無い。」L change the WorLd NandSさんの映画レビュー(感想・評価)
L自体は良いが、Lである必要は無い。
前提として
・マンガ版『デスノート』は読後。
・小説版は未読。
・『デスノート』『デスノート the Last name』は視聴済。
・中田秀夫監督の他作品だと、『リング』『インシテミル 七日間のデス・ゲーム』『貞子』『事故物件 恐い間取り』を視聴済。
L、まさかの描き方。
みんな大好き"L"に、○○やらせてみた系作品。
ひと夏の思い出とか、スペクタクルな映像とか、人間的な変化とか……こういうのが悪いわけじゃない。
Lの描かれ方もかなり変化する。(原作の方が好きな人は一旦置いておいて)これはこれで悪いものじゃない。探偵とは別の、人としてのLだ。松山ケンイチの演技も良くて親しみが持てる。Lかわいい。
逆に言うと"L"である必要性が無い。終盤で「人は一人では生きていけない」とか「人は間違えてもやり直せる」とか、そういう系統のメッセージが出てくる。それをLが言っても、説得力みたいなものが薄い。薄すぎる。
Lがなんか良いこと言ってると、「俺が観たいLじゃない」と思ってしまう。1ファンが勝手なLの理想を描いているだけかもしれないが……それでも違和感を覚えずにはいられなかった。
リューク(一作品ごとにクオリティ上がるね)は出てくるけど、デスノートは全然出てこないし、ワタリとの会話もめっちゃ少ないし、レイ出てくるけど声だけだし(いつもと違うナオミは観れる。)…………実写映画版シリーズ好きからしても物足りない。スピンオフと言ってしまえばそこまでなんだけども。
終盤に、BOYに関して原作ファンへのサプライズがある。伏線も貼ってあるので乞うご期待。……と言いたいところなのだが、前二作のオリジナルシナリオを無かったものにする気がして、どうも受け入れがたい。
あと、海外撮影。あの英語どうなってんだよ……無理してまで海外関係の映像にしなくていいよ!元々海外表現は苦手な実写版シリーズなんだから……日本人キャストですらちょっと気になったし……
でも、L&BOY&真希の三人組の逃避行は好き。大切な人を亡くし、ウイルス(Lはノート)で死に際に居る三人。どんどん彼らが過ごせるスペースが減っていく中で、疑似親子のような関係になっていくのは観ていて心地よかった。ぬいぐるみのシーンとか好き。謎解き関係もう少しあっても良かったな。LとBOYでしか解けない謎とか、真希が居て初めて解ける謎とか。
ファンが観たいものではない方向性で人気キャラを描いちゃった、そんな作品。