JUNO ジュノのレビュー・感想・評価
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自然体を演出した脚本家・監督・役者が一体化した作品。
内容は、90年代アメリカが舞台の高校生が繰り広げる妊娠コメディドラマ。好きな言葉は『海底2万マイルから聞いてるから大丈夫!』主人公と友達がショッピングモールで里親になる母親に大きくなったお腹を蹴る子供に触って話し掛けてみてくださいと伝える場面。この場面は最後に脚本家がどうしても母性愛を目覚めさせる場面として追加で加えたいと監督に訴えた場面。仲の良い監督と脚本家の信頼関係が窺い知れる所がリアルの追求にストイックさを感じさせます。好きな場面は、『好きな人とずっと幸せではいられないの?そんな関係を信じたい!』と主人公が、離婚を経験した父親に出産後訴える場面。主題は人により捉え方は違うと思いますが、多様性による各人の幸せを自然体に伝えたかったんだろうなと感じました。主人公女性(ジュノ)の表現は感情豊かでユーモラスなのに自然体に徹していて素晴らしかったです。余計にカットされたシーンが多く短くて楽しいのですが、短過ぎで説明不足の否めない所が少し残念でしたが、観る人の気持ちに訴えかける様な素晴らしい映画だと思いました。全く関係ないですが、主人公の女の子が現在至るまでの15年間にあれほどLGBT🏳️🌈問題に悩んで変化してるのは驚きと共に、『ヘアスプレー』の主人公のその後にも似てる様で何だか切ない様な複雑な気持ちの後味になったのを覚えます。それは監督や脚本家や俳優も数々の挫折や劣等感をクリエイティブに昇華し表現する作品が認められた運の良い素晴らしい映画です。
16歳の女の子が妊娠してしまう。 人を好きなること、愛すること、結...
【16歳の女子高生ジュノの妊娠の事実が発覚しながらも気丈に振舞う姿と、温かく見守る家族、友人の姿が素敵な若き女性の心の成長物語。】
ー 妊娠という事態に直面した女子高生が、悩みながらも成長してゆく姿を、温かなユーモアに包んで描いた作品。重くなりがちなテーマを、一人の若き女性の成長物語として描いている所が良い。-
■ 16歳の女子高生ジュノにある日突然、妊娠の事実が発覚。
相手は同級生のポーリー。
戸惑う彼に中絶を提案したジュノは病院へ向かうが、中絶反対運動をしている同級生に出会い、考えを改める。
養子縁組を望む理想的に見えたお金持ちカップル、マーク&ヴェネッサを探し出し出産しようとするが…。
◆感想
・ジュノが、ポーリーの事を好きでありながら、彼に負担を掛けまいと健気にイロイロと考えて行動する姿を、ユーモラス要素を絡めて描いている点が良い。
・見つけた理想的な養子縁組を望む理想的に見えたお金持ちカップルの夫マークが、”自分は父親に向かない・・”と言ってしまうシーン。
ジュノは泣きながら、車で実家に戻ろうとするが、踵を返し、彼らの家の前にメモを置いて帰る。
- これが、ラストに効いてくるのである。-
・ジュノの父(J・K・シモンズ)が彼女に掛けた温かき言葉の崇高さが染みる・・。
- 父親として、あの娘を想う言葉はナカナカ言えないだろう・・。-
・ポーリーも又、彼女の事が好きでありながら、前半は戸惑いを隠せないが、後半はキチンと彼女を支える。
<ラスト、心が成長したジュノが、ポーリーと共に、ギターを弾くシーンもとても良い。
今作の魅力は脚本を担当した、女性のディアブロ・コーディ(後年、「タリーと私の秘密の時間」という素敵な物語を書き下ろしている。)の女性から見た、若き女子高生の妊娠を肯定的に描いたところと、個性的なジュノの小物が良いアクセントになっている。
何より彼女の若すぎる妊娠を、応援する両親、友人、恋人の姿でキチンと描かれているところであろう。>
ジュノは素敵な大人になりそう。
興味本位だけで友達と事に及んだ性交渉の結果、予期せぬ妊娠をしてしまった高校生ジュノが出産するまでの9ヶ月間の物語。
10代の妊娠という重たくなりがちなテーマを、あえてポップに軽やかに描くことで、ジュノという明るいキャラクターの主人公を通して等身大のティーネイジャーを描きながら、若者の身近にある問題について若者自身が考えるキッカケを与えてくれる作品ではなかろうか。
「どうにかなるでしょ」とか「それの何がいけないの」という楽観も、
「大人に頼らなければ自分の力だけではどうにもならない」という自覚も、
それらの積み重ねで気がつく置かれた環境や自分を取り巻く現実も、
妊娠というトピックこそ稀なケースかもしれないが、描かれる感情や思考の過程としては結構リアルだなぁと感じた。
色んな意味で、人間は生かし生かされているのだなぁと感じる作品だった。
強烈に素敵な個性
微妙…私には合わなかった。年齢や置かれてる境遇によって感じかたは大...
あっという間に養子に出すことを決め、相手を見つけ、親は妊娠も養子縁...
“普通”は私たちには似合わない
好きな映画だった。
映画なんだから、現実に対してこのくらいシャレが効いてていい。そしてこのくらいのシャレは効くものだから、この映画は現実的だ。
物事には表裏があって、あっちから見るのとこっちから見るのとじゃ大違い、というのは映画の見せ方としては基本中の基本なのだから、この映画は単にブラックユーモアたっぷりに世の中を見てる16歳の女の子からの視点なだけであって、結局それは僕らの世界そのものだ。
ジュノは序盤からずっと揺れている。
“セックスしてからたぶん2ヶ月と4日です
確かじゃないですけど”
というセリフが上手い。
全部が大切なような全部面倒くさいような何者かになりたいような今のままでいいような、そういうアイデンティティ確立期だからこその揺れは冒頭からずっとあって、そこに妊娠という外部的で内在的な要因が作用していく。妊娠に対して多少冷徹に見せるのも、ユーモラスに振る舞い続けるのも、“妊娠した自分”と客観的に向き合うための距離感を測りあぐねているだけで、彼女は最初から真剣だと思う。「まだ子供だから」と思うのはこちらの勝手な決めつけに過ぎない。
さらに言えば、彼女の出すべき結論はかなり序盤から決まっていた。ブリーカーの
“君なりの方法でやって”
というセリフがそのなによりの証拠だ。彼はあの時点でジュノのありのままを受け入れる準備が整っていた。口論になったときにブリーカーがジュノに対して「まだ君は子供だ」と言うのも、そのあと実はブリーカーの方は「僕も言い過ぎた」なんて謝ったりしてないのも(笑)、ジュノがいかに妊娠を通じて精神的に成熟し、自分を見つめることができたのかを物語っている。ジュノは最後になって、やっとブリーカーだけが
“私のお腹じゃなく顔を見てくれる”
と気づいたわけだ。
そしてもう一点、この映画が好きだったのは、誰も傷つけない描き方をしているところだ。養父母の関係は破綻したものの、必ずしもどちらが悪いとは言えないし、どちらも悪者にはしていない。最初は神経質で“やりすぎ”感のあった養母ヴァネッサにも純粋な子供への愛を見出し、ジュノの継母であるグレンから
“新米ママ 今は何もかもが怖い”
と言葉をかけてあげる。
傷つけられたのは超音波検査師ぐらいだろう。
16歳の妊娠をポップに描いた作品
16歳の女子高生が妊娠したという日本だったら重いテーマなんだけど
主人公ジュノ(エレン・ペイジ)の素直で自由奔放なキャラクターによって
実にポップに描かれています。
■家族の対応が素晴らしかった
日本だったら・・まず親が激怒しますよね。しかしジュノの親は違ってました。
優しくて理解力のある可愛いお父さんとネイリストの継母、
どちらも素敵な対応してましたよ。とても参考になります。
個人的に超音波のクリニックのシーン大好きです♬
■エレン・ペイジの演技力が素晴らしい
口が悪く、ふざけた調子の多いジュノですが、物語の中では、妊娠のとまどい、
命を絶やすことができない葛藤、子供にきちんとした環境を与えたいという親心、
それを与えられないかもしれないという不安、愛を信じたいというもがき、
そして最終的に子供を手放さなければならない辛さなど、
多種多様な感情が映し出されます。彼女の演技力があってこその映画でした。
■ドライすぎるので嫌悪感を与える作品でもある
望まない妊娠を中絶ではなく養子縁組で現実的に解決していくというのも、
1つの選択肢として有りだと思います。
これが当たり前のようになってるアメリカ社会ならではですね。
ただ・・命の重さが一見軽く扱われているようにも見えます。
命の尊さを真剣に描くシーンもあれば尚良かったかも。
ネガティブな出来事をどこまでもポジティブに乗り切っていくジュノのたくましさと、
ジュノを取り巻く人々の優しさが観る者を明るい気持ちにさせてくれる作品でした。
100個のミント
ロックの全盛期は?
高校生の妊娠といった問題を扱っているようだけど、それが重要なテーマではなく、単なる設定といったところなのか。日本で作られるとなると暗くて重く、そして最後には愛情あふれた映画になりそうなのですが、さすがはアメリカ産映画。なんとなく『ゴーストワールド』のゾーラ・パーチを思い起こしてしまい、限りなくオタク映画に近い内容だった気がします。
映画のタイトルや俳優名、それにミュージシャン名がポンポン飛び出してきて、それが妙にマニアックだったため、余計なところで笑ってしまうオタク心。愛情表現も苦手そうだし、子供が産まれるというのに母親の心を持てないといった、風変わりな女の子ジュノ。1977年がロック全盛期だと主張するのもパンク大好き少女の特徴をよくとらえていました。こんな子、学生時代にいました!一緒にバンドやってた子・・・
こんなジュノを演ずるエレン・ペイジ。『X-MENファイナルディシジョン』や『ハードキャンディ』からずっと期待してたけど、タダ者ではない。今回は主役だからいいものの、脇で出演しても主役を食ってしまいそう。それくらい存在感があるのです。オタクで快活、そして本人は嫌がってるけどsexual active。憎めない性格だけど、付き合うと大変そう(ダリオ・アルジェントが好きだと言われても困るぞ)・・・そんな難しい性格を見事に演じていた。
一方、里親としてジュノの子を引き取ることになった父親マーク(ジェイソン・ベイトマン)。生まくる子やジュノのことを思うと許せないような人物でしたけど、彼もまたオタク。『ゴーストワールド』で喩えるとスティーヴン・ブシェミにあたる(?)。やりたいことをやるんだ!と抑圧されてきたものを吐き出す気持ちもなんとなくわかる。
そしてジュノのボーイフレンドのポーリーを演ずるマイケル・セラ。オタクとは言えないかもしれないけど、オタクっぽいのです。ここ最近、ポール・ダノといい、ジョン・ヘダーといい、脱力系のオタク男がもてはやされてきているのかもしれませんねぇ。いい傾向です(うそ)。
さて、高校生の妊娠といえば、なぜだか『エクソシスト』のリンダ・ブレアを思い出してしまいます(実生活において)。彼女も若くしてオスカー候補になってるのですが、その後は麻薬で捕まったり、ラジー賞の常連になったりと女優としては波乱万丈だった。エレン・ペイジには同じ轍を踏んでもらいたくないものだ・・・
明るい映画
友達と思っていた相手の子を妊娠してしまい、なんやかんや周りの人に支えられて、改めてーーー
みたいなお話。
終わり方が爽やか!
中盤の流れからそんなやさしい終わり方になるとは、と。
ジュノがなかなか強烈ですが、どこか愛嬌もあって。
ただ継母のあのエコーのシーンのセリフ。シビれた。
カミングアウトのシーンも、たくましい母って感じで大好き!
あと、アメリカ映画ならではの、こんな親友リアみたいな女の子好き!まさにキュート。
でも彼がほんとに好きだったなら、さすがに病院ついていきませんか?
僕も一緒に行った方がいい?って、いくらティーンとはいえ・・・・・違和感を感じつつもあり。
そうなったら物語にならないのだけど。
妊娠がメインだけど、理想的な大人のなかの現実感を突き付けつつ、ジュノの戸惑いが大人にしていったのかな。
Junoのパパが印象的でした。
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