「アリス、しがらみからの解放」アリス・イン・ワンダーランド antさんの映画レビュー(感想・評価)
アリス、しがらみからの解放
今までの「アリス」の映像作品は好きではないというティム・バートン監督による19歳のアリス物語。テーマは今でのアリスに対するイメージ(ロリータ、少女)からの解放である。アリスは現実世界では母親からの結婚の圧力を受け、アンダーワールドに言ってからはお前はあのアリスなのかと聞かれ、アリスと認められてからは強敵を倒す使命を背負わされる。つまりアイデンティティ・クライシスに陥っており受動的なのだ。そこがアリスを19歳に設定した理由となっている。しかしアリスは単に運命を受け入れるのではなく、自分の道として選択し能動的になる。ただこの重要な部分がうまく描かれていない。そしてキャラクターとしての面白さと俳優の良さがうまく噛み合っていないので印象は悪い。
現実世界に戻った家族が驚く行動を取る。一見母親の言うことは無視して変わり者の父親の意志を継いだようだが、少女は自立し大人の女性となることでティム・バートンによるアリスの解放は完結することになる。じつは2010年に若い女性が地リルするタイプの映画を何本か見た。それはある程度現代的な感覚であるのでアリスの時代とは合わない。全体としてバートンのテイストと違うところもありやや違和感があるのは残念だ。
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