ミルクのレビュー・感想・評価
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たくさんの ミルクになれない者たちへ
うろ覚えだが数年前、米国で男相手の痴漢常習犯が捕まった。妻子と孫ある議員、さらにゲイ排斥運動の急先鋒とか。
人は色々な顔を持つ。ショーン・ペンも、実在のゲイ活動家の顔を演じ分ける。
聴衆の前では不敵で確信的なリーダー。政治の舞台では、人脈と大統領選をも左右するマイノリティ票が武器の、したたかなやり手。
仲間うちでは、面倒見良く気さくな友人。恋人には、夢にかかりきりの薄情者。そして一人の時は、暗殺に怯える孤独な中年男。
ゲイの聖人と言われる主人公ミルクをありのまま。映画は、その手法が反勢力を刺激しすぎ、また逆差別を生みかねなかった恐れをも示唆する。
ただ70年代当時、ミルクを支持した人々は、必ずしもゲイばかりではない。
ショーン・ペンは腹の底から叫ぶ。「君達を勧誘する」「隠れるな」「愛する者に、本当の自分を知ってもらおう」
冒頭の議員は確か60過ぎ。若い頃、おそらく国のどこかで、ミルクの活動を見ていたろう。
認めたくない真実を、心のクロゼットから引っ張り出す。ゲイ・ストレートに関わらず世の中は、一生ミルクのような勇気を持てない者がマジョリティだ。もちろん私も含め。
だからこそ40年前、不惑のミルクの決断が、大勢の人々をとらえたのだと思う。握手を拒まれ道端で殴られ、家族に嫌われようとも、自分を嫌いになるなと。
希望をつかみかけながら倒れた男の物語。それでも普遍的だから響き続けるだろう。彼が好きだったオペラの歌声のように。
監督がなにを描いて、なにを省略していいかよく分かっている映画
メジャー作品ではないがガス・ヴァン・サントが久しぶりに一流スタッフと作った映画。ゲイの政治家の映画をガス・ヴァン・サントが撮ったという先入観からすると、もっと力が入っていそうだがそうでもない。何より素晴らしいのはその取捨選択にある。やはり監督の興味は政治家としてのミルクよりも人間ミルクと彼を取り巻く人たちにあるようだ。ミルクの政治家としての位置付けなどは面倒くさいところは省略しているので市長や後任市長になるミルクの同僚などは影が薄い。市政委員という制度自体が日本人にはなじみがないし、問題が州単位だったり市単位だったりするのも分かりにくいが上にあげた理由で気にならない。ゲイの活動家としてははカミングアウトの効果を説くところが重要か。
俳優たちの演技は良い。ショーン・ペンのミルクはそれこそ先入観を覆すようなカワイイ笑顔に驚かされる。さらにはジェームズ・フランコの明るさとディエゴ・ルナの暗さの対比や若手俳優の適材適所も光る。しかしなんといっても裏ミルクとしてのダン・ホワイトの描き方が見事だ。ジョシュ・ブローリンもここ数年の突然のブレイクがフロックではないところを見せてくれる。これらを監督がうまく生かしていることが重要だ。これは俳優の力だけで引っ張ろうとした「レスラー」と比べるとよく分かる。
保守的なホワイトと進歩的なミルクという単純な比較だけではなくしがらみに縛られたホワイトとしがらみが少ないから目的のために妥協するところは妥協する。そこをしっかりと描いたからこそ、ミルク暗殺の場面をドラマチックにしなくても映画は生きるのだ。その辺は実は似ているところも多いショーン・ペンの失敗作「オール・ザ・キングスメン」と比べるとよく分かる。
40年も前にミルクみたいな少数派を擁護しようとする人がいたんだなぁ…
アカデミー賞2度目の主演男優賞のショーン・ペンは「アイ・アム・サム」ばりのなりきり演技かと思いきや、そうでもなかった。それより、ミルクの精神をさりげなく、でも奥深く演じていた気がする。ミルクはすご~くエラそうな人ではなく、みんなの代表みたいな感じで、あっさり公職につけた訳でもない。何度も落選して、それでもチャレンジして勝ち取った人だった。それを考えると、やっと公職につけたのに任期は短すぎた感じがする。残念だ。演技陣の中で意外によかったのは、ジェイムス・フランコだ。「スパイダーマン」のハリー役など、屈折した役柄が多いし、得意だと思っていた。しかし、今回はミルクを年下ながら大きな愛で包み込む役で、こんな役も演じられるんだと見直した。
秀逸な伝記
完成度が高い映画。少年時代や兵役時代をバッサリ切り、背景をミルクの当選までの苦難、プロポジションとの闘いに絞った構成で、そこに恋愛や宿敵となる男との絡みもスキなく盛り込まれ、全く無駄がない。行進での怒りや熱気もひしひし感じ、活きの良い映画でもある。ガス・ヴァン・サント見事。
印象的な車椅子の少年のエピソードはDLブラックのオリジナルであろうか。だとしたらオスカーも納得だ。
ペンはミルクの仕草まで完璧に再現しているようだ。youtubeで見たらホントにソックリだった。でも、演説は力入りすぎ。『オール・ザ・キングスメン』と同じ。悪い癖だ。
脇の演技も素晴らしい。ジョシュ・ブローリンの顔の不思議な構図が彼の不安定な精神を表していたと思う。
なんびとにも、機会の平等がある
ハーヴィー・ミルク氏は四度目の立候補で、
サンフランシスコの市制執行委員会に当選し、
ゲイ支援運動に尽力した。
その彼をショーン・ペンが演じ、
今年度のアカデミー賞主演男優賞に輝いた。
映画のエンドロールの部分で
実際のミルク氏を映していましたが、
ショーンは実に似せて演じていました。
40歳迄、ミルク氏はニューヨークで教師をしていて
ゲイであることを隠していたのですが、
ボーイフレンドが出来たことをきっかけに
カミングアウトして、羽ばたき始めます。
映画は40歳になった時から始まります。
彼等がサンフランシスコのカストロ通りで
権利を主張しはじめると、
反作用、ゲイ追放運動も起きます。
そんな時代のウネリのなかで、
彼は同胞達とゲイ解放運動を進めて行きます。
まぁ、コノヘンの感覚は、正直良くわかりません。
だとしても、なんびとも機会の平等は守られなければ
歪んだ世の中になってしまいます。
そんな事を思いながら何処か釈然としない気持ちで観ていました。
だから感情移入出来ず、乾いた気持ちで観ていました。
そんな気持で見ていた為なのか
それともストーリー自体が、
ミルク氏の行動を淡々となぞるだけだった為なのか、
彼や彼等の内面に迄は踏み込んでいない様な気がしました。
ただ、実在の人物に似せたつくりは非常に見ものです。
メガネをかけただけでエミール・ハーシュには
まったく気付きませんでした。
ショーン・ペンの演技に拍手^^
さすが!本年度アカデミー賞主演男優賞受賞のことはあります!
ショーン・ペンの見事な演技。
本当にゲイかと思わせるくらいな
彼の表情や仕草は、まさに拍手もんでした^^
タイトルの「ミルク」って初め、何のことやら!?
・・・って不思議に思いましたが
ハービー・ミルク・・・彼の名前だったんですね^^;
実在の人物だったとは。。。
私は彼の存在は、全く知りませんでした。
ゲイの映画というと偏見な目で見られちゃう感じだけど
どんな人間も全て平等でなくてはならない!
そのことを強く訴えていた作品だと思います。
映画の中で
「自分とは違う人種と接する機会がなくてはいけない」
そんなようなセリフがあって
まさに今のこの時代に大切なことだと深く感銘しました^^
ただ、ゲイを強調するようなシーンが、思ったよりも多く・・・
そこはカットしても良かったような!?(苦笑)
とにかくショーン・ペンの迫真の演技!見ごたえありです(^o^)
4月28日MOVIX伊勢崎にて観賞
ドキュメンタリーを観ているよう・・・
1970年代のサンフランシスコで、ゲイである事を公表し、その代表者として
公職に着いた市民運動家の、非業の死に至る8年間の軌跡を描いた作品。
随所に挿入された当時の映像と、ショーン・ペンをはじめとする出演者達の
渾身の演技によって、あたかもドキュメンタリーを観ているかのような感覚に
引き込まれました。
ショーン・ペンというと、『アイ・アム・サム』以外では、「街の顔役」のような
骨太の役柄の多い俳優さんのイメージが強かったので、当初、この作品の
情報を聞いた時には、ミルク役よりもダン・ホワイト役では?と訝ったもの
でしたが、物腰や仕草、オネエ言葉から髪の毛の先まで、まるでミルク氏が
乗り移ったかのようで、オスカー獲得は大々納得ものでした。
『ミルク』よりも3ヵ月前にアメリカで封切られた『トロピック・サンダー』の
ロバート・ダウニーJr.の台詞に「ショーン・ペンは『アイ・アム・サム』で
あまりにもマジに演じ過ぎたからオスカーを逃した」というのがありましたが、
『ミルク』で「マジに演じた」ショーン・ペンは主演男優賞に輝いたのに対し、
『トロピック・サンダー』で助演男優賞にノミネートされていたロバートの方は、
皮肉にもオスカーを逃しましたね~。。。
胸に迫る感動作! ショーン・ペンも凄いけど、周囲も素晴らしい
1970年代のアメリカで、ゲイであることとを公表した上で初めて公職に就き、人種や性別、年齢による全ての差別撤廃のために戦った実在の政治家ハーヴィー・ミルクの姿をドラマ化した本作は、本年度アカデミー賞で8部門にノミネートされたその事実からも、クオリティの高さに期待をしていた。
で、映画を観終えた際の率直な感想を言うと、しみじみと、そして静かに深く胸に突き刺さった。正直、ミルクの存在は知らなかったが、ショーン・ペンが演じるミルク、その人は、頭が良くユーモアもあり、そして何より勇気と優しさがあった人だと思う。当然、ダメな面もあり、例えば政治活動にのめり込むあまり、プライベートで大事な人との間に距離を空けてしまったりもするのだけど、その弱さも含めて人間的な魅力を大いに感じた。
役者陣では主演のショーン・ペンがとにかく素晴らしくて、オスカーを獲得したのにも大納得の熱演なのだが、彼を支えたジェームズ・フランコやエミール・ハーシュ、それからジョシュ・ブローリン、ディエゴ・ルナ、などなど、脇を固めたキャストのアンサンブルも素晴らしいので必見!
なお、主人公がゲイというだけで、観る事をためらう人もいるかもしれないが、それはあまりにももったいない。百聞は一見にしかず。試写の会場で目を真っ赤にはらしている人もいたので、騙されたと思って観て欲しい。ガス・ヴァン・サントの生涯の代表作になる1本だと心から思う。
ショーンペンやっぱ凄い
俳優辞める辞めるって言いながら、しょっちゅうアカデミー候補になり、
今作で、アカデミー最優秀男優賞取っちゃうし。
サンフランシスコに行ったとき、ふと訪れたカストロ通り。
レインボーフラッグが立ってた。
カストロ通りにレインボーフラッグがあるのは、彼のおかげなんだなぁ。
ショーン・ペンすばらしい!
冒頭の絡みはさすがですた。
思わず、本物?!と見間違えるほど・・・
それだけ、この役に入りきっているんだなと!
相手役、ジェームス・フランコもエミール・ハッシュも
なかなかいい味を出していました!
ミルクってとても頭がいい方で、自分たちをどの様に
見せたら、どういった反応が返ってくるかをしっかり
読んでいる切れ者でした。
今の政治家さんも見習って欲しいですね!
見ごたえのある映画で満足でした!
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