ミルクのレビュー・感想・評価
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幻のトム様主演作?
監督のインタビュー記事で、監督がこの映画を最初構想した時、トム様と、ペン氏に、監督が書いた脚本を送ったと読んだ。リコメンドしなかったので、うやむやになってしまった。この映画の脚本ができたときに、ペン氏に声をかけて、この映画の制作がスタートしたとか。 もし、うやむやにならずに、トム様が演じていたら…。『7月4日に生まれて』とか、他の政治家を演じていらっしゃる映画みたいになったのか? 見てみたかった気もする。 とはいうものの、ペン氏の演技。引き込まれる。 ☆彡 ☆彡 ☆彡 物量にものを言わせたロシアの侵攻。 これから世界はどうなっていくのだろう。 こんな時こそ、マイノリティの権利擁護にまい進したミルク氏のような存在・生き方がとっても必要になるのではないか。学ぶことが多いのではないか。 なんて改めて思う。 やっと同性婚をUSAは認めたが、だから彼らの苦しみがなくなったとは言い切れない。 近年「ありのままの~」という歌が流行ったが、”ありのままの自分”を自分でも受け入れ、周りにも受け入れてもらうこと。それは、LGBTの方々でなくとも難しい。 事実婚という選択肢もある。「愛さえあれば~」それもまた事実。 元気な時はそれでいい。でも、悲しいけれど上向きの人生ばかりじゃない。病気の時は?死んだ時に葬式を取り仕切るのは?墓は?誰と人生を分かち合うのか、誰と最期を迎えるのか、誰に最期を任せるのか。 SEXばかりじゃない。誰を人生・生活のパートナーとするのか。生き方の問題なのだ。 同性愛者だとカミングアウトした上で公職に就いた人物を描いた映画。 選挙当選までは、共感するところと、拒否感が出ているところと半々…。 男同士のラブだからというわけじゃない。知り合ってすぐに体の関係になるの?とっかえひっかえパートナーが変わるの?そんな刹那的なところに拒否感。 とはいえ、スコット氏はずっとハ―ヴェイ氏を支え続けた。だのに、やがて来るすれ違い。切ない。 時代的にも、開き直っているようで、でも、お互いの関係が、自分自身が同性愛という自分を受け入れたくて、でも受け入れられずにという葛藤が続いているからか、どこかずっとイライラした感じが根底に流れていて、観ているこっちも、ラブラブカップルを祝福と共に見守るという感じにはならなかった。 同性愛という自分は認めたい、でもそれを家族や社会は手放しで受け入れてくれるわけではない。本当は四方八方皆から祝福されたいのに、そうではない自分。ハ―ヴェイ氏達の元に集まってきた面々はどこかお互い傷をなめ合うようで、それでいて孤高の狼みたいで。そんな不安定な関係性が、孤独が胸をチクチクする。 人は一人では生きていけない。家族も友達も捨てた。目の前の恋人しかいない。しがみつくか、すぐに別の相手を見つけるかになってしまうのだろうか。周りから理解を得られる異性愛しか知らない身としては、だったら余計に目の前の恋人を大事にしなさいって言いたくなるけど、幼い時からの周りとのつながり、世間から認められるつながりがある身とは根本的に違うのだろう。 世間からの暴力にも胸が潰される。 そんな不安を振り切る、エネルギーに変えるかのような選挙活動。 でも、当選してからのハ―ヴェイ氏の行動には目を見開かされる。 LGBT(自分達)の為だけに権利を主張して働いたのかと思っていたら、すべてのマイノリティのために、その持てる力を使っていく。 つい、僻み根性出してもっともっとと自分の権利の主張だけしたくなるのが人間なのに。自分達の権利主張だけでも精一杯なはずなのに。分かち合いができるとはなんて心が強いんだ。 その有能性が悲劇を読んでしまうところがあまりにも悲しい。 もし彼が老年まで政治活動を行っていたら世界はどう動いていたんだろう。もし・・・なんて考えること自体が虚しいのだけれど。 実話の映画化なので、カタルシスが起こるようなスカッとした展開ではない。 幸せなカップルを祝福と共に堪能して幸せ感に浸れる映画でもない。 各役者の演技とか、実在の人物の生きざまに共感できると面白いし、心を揺さぶられる。そうでないと「つまらない」になってしまう。 とはいうものの、自分の生き様、社会について考えるきっかけを与えてくれる映画。 ぜひ皆に観てほしい。 「弱者に希望を」 今こそ、この言葉の意味を問い直すべきだ。 「現金給付をすればいい」そんな暗愚な発想しかできない政治家。現金給付って、公然の賄賂じゃないか。そこに、未来へつながる希望はあるのか? 命を懸けた信念。今の日本の議員にはあるのだろうか? ブランドとしての、数合わせの議員が多い日本。選挙に行く人が少ない、政治離れの要因は、この映画にあるような魅力ある政策・国民が真に必要な政策を実施できる力をもつ人がいないからだろう。 統計の数字だけを見て議論する議員たち。その統計の基になっている一人一人の生き様には目も向けない。 ミルク氏のような政治家が出てきてほしい。心から願ってしまう。
ショーンペン恐るべし
この人の演技やっぱり好きです。 個人的に差別的な考えはあまりないつもりですが 映画界であからさまに人種や性について多様性入れてますよとアピールした配役や脚本になっていくことが好きじゃないなと思い、LGBTQについて色々調ていたのでタイミング的に観ました。 純粋に、今受け入れられるものを始めた人が偉大だと感じた映画でした。 ミルクが市長に言った 権力を持った同性愛者か というセリフが胸に刺さりました。 やっぱり人は弱者の時代があったとしても権力を持つと少なからず変わってしまうんだな と多分テーマと外れた部分が自分の感じた感想です。
ご注意
今大流行の主題に対する関心の有無によって評価は大きく異なります。 有る人は絶賛し、無い人には何ら訴えない、制作年度を考えても一種の「運動映画」です。 主題には触れずに映画として評価すると、良くも悪くもペン選手の圧倒的演技に感心する作品で、脚本、演出に特筆すべき点はありません。70年代らしい雰囲気を出すための粗い画面とベタ照明には工夫を感じましたが。 この手の伝記映画はマルコムXやJエドガー同様、同国人には超有名人なので説明を省くことが多く、他国人には???のことがしばしばです。 この作品でいえば、ミルクの直前にSF市長も暗殺されるシーンが省かれてます。 故にWIKIなんかで調べてから観るのが、作った人に対する礼儀でしょう。 尚、ホモシーンが多いので耐性に自信のない人はご注意。
少しずつ歴史を変えた人
40歳なのに、何も誇れることがないと言った彼は、それから数々の人を動かし、いろんなものを少しずつ変えていった。今でも差別は完全になくなっていないけど、少しずつ変えて行かないといけないなと思った。
ショーン・ペンの演技力!
カリスマ性も先見性もありながら、完全無欠ではないハーヴィーをみんなが愛し、支え、彼を先頭に全員で戦った結果、彼らは市民権を得たのだろう。 ハーヴィーの語りで進む映画だし、ハーヴィーありきなんだけど、群像劇的イメージが残る、不思議な感覚。 ショーン・ペンの演技力には恐れ入る。 最後にハーヴィー本人の映像が一瞬出るのだけど、ここにきて、ショーンがその笑い方を完全にコピーしていたことに気づき、ちょっと鳥肌が立った。 そして、ジェームズ・フランコは、スパイダーマンシリーズよりこっちのほうがはるかにかっこいい。
1970年代のアメリカで、同性愛者であることとを公表した上で初めて...
1970年代のアメリカで、同性愛者であることとを公表した上で初めて公職に就き、人種や性別、年齢による全ての差別撤廃のために戦った実在の政治家ハーヴィー・ミルクの姿をドラマ化した本作は、ミルクその人のまっすぐで揺るぎない信念と行動が胸に迫る感動のドラマだ。 何より、ショーン・ペンが演じたミルクがとにかく魅力的だ。まだLGBTに対する理解も薄かった当時のアメリカで、すべての弱き人々のために声を上げるミルクを、その弱さも含め、熱演している。 また、ミルクを支えた友人を演じたジェームズ・フランコやエミール・ハーシュ、そして人々に愛されるミルクを憎み、ついには彼を暗殺してしまうジョシュ・ブローリンなど、脇を固めたキャストのアンサンブルも素晴らしいので必見だ! なお、主人公が同性愛者というだけで、映画を観る事をためらう人もいるかもしれないが、それはあまりにももったいない。誰かを好きになる気持ちは、きっと理解できるはずだし、自分の信じる世界の実現のために力を注いだミルクの姿に、きっと何か感じるものがあるはずだ。 本作は、ガス・ヴァン・サントの生涯の代表作になる1本だと心から思う。
ゲイをカムアウトした世界で初めての政治家の物語。当時のアメリカは同...
ゲイをカムアウトした世界で初めての政治家の物語。当時のアメリカは同性愛者は理由もなく警察に殴られたり、逮捕されていた。そんな現状を変えるべくミルクは立ち上がる。 最後は美しくないが、実話だからこそ心に響くものがある。ミルクから学んだ。人は希望があるから生きてゆける。 https://t.co/UiI75wZmYw
主人公がどうして死の危険を感じるようになっていったのかがもっと描か...
主人公がどうして死の危険を感じるようになっていったのかがもっと描かれてるとよりよかったかな、と思う。あまり描いてないことが逆に良いのかもしれないけど。
さすがショーンペン
見事に演じきっている。ヒッピーで、ゲイで、政治家!こんな役ができるのは彼しかいないでしょうね。 アメリカでは、40年以上前のことだが、こんなことがあったとは知らなかった。もっと知られるべきだと思う。 すべてのゲイ、すべてのマイノリティに勇気を与える存在だ。 「皆でカミングアウトするべきだ。思い悩む若者たちが希望を持てるように。」という類のことを言っていたのは印象的。
これも、「チェンジ」なのか
この作品を見終わった瞬間、最初に感じたのは「政権が変わると映画も変わるのか」ということだ。なぜなら、ゲイ・コミュニティを扱ったこの作品は、国内キリスト教一派の支持のもとだったアメリカ前政権のブッシュ体制のときには、公開はできなかったはずだからだ。つまり、それほどにこの作品はゲイや同性愛者の存在と人権を、声高らかに認めている。その意味では、最近のアメリカ映画にはない、画期的な作品だと思う。 しかし、同性愛者の価値観を高めただけの内容ならば、アカデミー賞候補にあがるほど共感を呼んでいない。そこがこの作品の重要なところだ。この作品の主人公ミルクは、同性愛者だけでなく、黒人など多くの虐げられている者たちへのメッセージをこめていたからこそ、政治の世界で支持を得られていた。そのことを、この作品は事実を時間軸とおりに積み上げながら、丹念に、きめ細かく描いている。監督ガス・ヴァン・サントらしい、ドラマチックなものを排除した、淡々とした演出が、実に効果的に主人公ミルクを描いて見せているのだ。 そして何より、観る者が作品内容に共感をえるところは、主人公の前向きさ、だ。「希望を与えなくては」と言いながら、自分の信じる道を歩もうとする主人公の姿は、信じられるものが少なくなってきた我々には、とても示唆にとんだように感じる。どんなことがあっても前を向く、希望がなければ人生は生きる価値などない、と言うミルクの姿に、観ている者が、それまでの後ろ向きの生き方を「チェンジ」して、前へ向いて生きる力をもらえるような気分になるのだ。今、だからこそ、この作品が公開されたのは、とても重要なことのように感じる。
コメントに困る映画ですね(笑)
正直、コメントに困りますね。(笑) 同性愛を否定はしませんが、こうガツンと来られては。ハハハ(^^; まぁ他にも世の中に沢山ある(あってほしくは無いけど)、差別や偏見との 戦いの一つとして観ると、その姿を心から応援していましたが 男同士の愛し合うシーンには、ガッツリ引きました。 (う~ん、これも偏見かな・・・) でもそこがないと、真実味が薄れるのかも知れませんけどね。 あちこちと印象的な場面は多々ありましたが、その中でも エンディングに一番驚きました。 あんなに呆気無く、抵抗する間もなく、彼が最後を迎えたことに。 しかも場所も場所。 公職である人たちが近くに沢山居る所で、ほんの僅かな隙にと 思うと、なぜ防げなかったか、なぜそのような状況に至ってしまったのか。 心から悲しくなりました。 そして、その全てのシーンを素晴らしく演じたショーンペーン。 ミスティックリバーの彼も良かったけれど、全く違うこの映画の 彼も、とても良かったです。
自分らしくがテーマ
観る前は「ブロークバック マウンテン」のような感動作を期待していました。正直、そんなレベルの作品ではありませんが、いろんなことを考えさせられる良い作品でした。ゲイについてはもちろんですが、人の生き方についても説いているそんな映画だと私は思います。 主人公はゲイでありながらも政治家となり、彼ら(ゲイ)の人権等のために戦ったアラフォー男、ハーヴィー ミルク。彼の波乱に満ちた生涯を描いた本作。 注目はキャスト陣による演技、メッセージ性のあるストーリーそして、ガス ヴァン サント監督のこの作品への執念です。特にメッセージ性のあるストーリーは観るものに訴えかけるものがあり、「ゲイであろうが何であろうが人間は自分らしく生きる事が大切である」みたいなことを主張しているのではないかと思います。ガス ヴァン サント監督自身もゲイであり、この作品には強い思い入れがあったのだと思います。男同士のキスシーンをリアルに見せ付ける等、監督のこだわりのようなものも感じました。 それから、演技についてですが、ショーン ペン、エミール ハーシュ、ジェームズ フランコそして、「イントゥ ザ ブルー」でポール ウォーカーと水遊びをしていたジョシュ ブローリンの気合の入った演技は良かったです。ショーン ペンは「フロスト×ニクソン」のフランク ランジェラ程インパクトはありませんが、完全にハーヴィー ミルクに成り切っていました。ミルクの物静かな一面が上手く表現されていたと思います。 さて、キスシーン等の衝撃度はどれ位のものだったかというと「ブロークバック~」のイニスとジャックが“長くて深い”とするならば、本作は“短くてあっさり“といった感じです。ただ、3秒ほど男同士による”オー○ル“があったのは驚きました。あのシーンは省いても良かったのではないでしょうか?これからこの作品を観ようと思っている方はその場面だけ目を覆う事をオススメします。 それから、この作品の弱点ですが、私は特にハーヴィーが初当選するまでの展開は長すぎると感じました。もっとコンパクトに纏めてほしかったです。それから、ハーヴィーの暗殺シーンは人によっては笑ってしまうと思います。ショーン ペンが背中から打たれた瞬間彼のドアップになり、周りがサイレントになるのですが、いかにもミルク自信が「イテエエエエエエ!」と言ってるようなあの表情はいただけませんでした。 しかし、自分らしく生きる事の大切さを描いた良作だと思います。「マーリー~」や「ダークナイト」のように何度も観たい映画ではありませんが、一見の価値はある作品だと私は思います。
涙涙涙
オスカー俳優のショーン・ペンの映画が1度でいいから、見てみたかった。 その、最初の作品が「ミルク」。 衝撃のラストには泣きました。 後、僕が思う名場面「人間は皆平等だ」。 にも、泣きました。 命を懸けた革命家の実話、挫折と苦労。 自分がゲイだとその人の気持ちになってあげられる、映画です。 ぜひ、お勧めします。!!
ミルクだけが、ゲイの権利獲得に貢献したのではない
1970年代、アメリカでゲイとして初めて公職者になったハーヴェイ・ミルクの実話をガス・ヴァン・サントが映画化。 ストーリーは、サンフランシスコのゲイ・コミュニティで中心的存在であったミルクが、政界に進出しゲイや市民の権利擁護のために戦うというもの。よく、真実は小説より奇なりなどと言うように、本作も元々の実話がとてもドラマチックな展開をもっています。ミルクの年譜をまとめるだけでもなかなかにおもしろいものになるでしょう。 ですから、本作の評価のポイントはストーリーよりもむしろ、その見せ方、演出にあります。そしてその点で評価してみると、本作は非常に上手い作品だといえるでしょう。淡々としつつも丁寧な描写で、物語も流れるように展開していく。さすがアカデミー作品賞ノミネート作だけあります。 本作でオスカーを獲得したミルク役のショーン・ペンの演技も上手いです。物語の盛り上がりに沿って、徐々に彼の演技にもアクセルがかかる。演技と作品が、お互いに歯車となってうまくまわっています。また、脇をかためるミルクの後援者(彼らもみな同性愛者)も魅力的。全員実在の人物で、現実にも活躍しているようです。 ただ、ラストは少しあっけなかった。ミルクの周囲の人々のその後であったり、社会一般の動きがもう少ししっかり描かれていてもよかったんじゃないでしょうか。それに、あまりに巧みな作品であったゆえに、心をどっと打たれるような衝撃もちょっと味わうことはできなかったかな。 しかし、演技もよいし見応えのある秀作には間違いないです。本作を観ると、実際のミルク本人についても知りたくなりますね。
闘えることが羨ましい。
今の日本には、マイノリティが一致団結して大きな運動を起こす気力すらなく、生き辛さを感じていても、あくまで個人の問題として自分の中だけで抱え込み、暴発してしまう人が多くなったように思う。 そんな時代の私から見ると、一致団結して体制と戦い抜くこの映画のマイノリティがとても羨ましく感じる。 なぜ今このテーマなのかと思ったのですが、何のために何とどうやって戦ってよいかさえ分からない現代に対する強いメッセージでもあるのかもしれない。 「希望がなければ生きている価値などない」。 使い古された古典的なセリフが逆に心に沁みた。 余談ですが、ミルクの恋人はいずれも若くて美形。 カリスマはやはり美しいものが好きなのか。
伝記映画としては「いまさら感」が残りました
2008年アメリカ映画。128分。2010年の記念すべき1本目の映画は本作となりました(別に故意に選んでいるわけじゃない)。ゲイの市議会議員としてアメリカで初当選した実在のハービー・ミルク氏を描いた作品で、監督は観るのが久しぶりなガス・バン・サント、主演は(個人的に苦手な)ショーン・ペンでございます。 内容は、ゲイというマイノリティ市民だったハービー・ミルク氏が立候補し、当選、そして殺害されるまでの物語。伝記映画としては常套的な語り口となっています。焦点に当てられるのは、もちろんミルク本人の素顔。 たしかに「ゲイ」のみならず老人などのいわゆるマイノリティ市民に「市民権」を持たせようとした功績は尊敬に値するし、それが初めてならなおさら。ただし、これを「映画」として扱うには、その描き方が退屈。 勇気をもって立ち上がり、自由の獲得のために闘い、そして道半ばで倒れるという展開は、今の映画ではすっかり使い古された語り口。いくら題材が「ゲイ」という新しい切り口でも、映画にたいして目の肥えた人たちには、何の心にも響かないと思う。 このような語り方はいってみれば20世紀のサクセス(&アンサクセス)ストーリーで、「政治」の威信が揺らいできている21世紀に採用しても、ただ「昔懐かしい物語」で終わってしまっている気がする。 念のため断っておきますが、これはハービー・ミルク氏が悪いと言っているのではないのです。月並みな語り口でミルク氏をありきたりな偉人に終わらせてしまったことに、本作の元凶があると思いました。 悲しいかな、映画を観るということは、それが古典であれ最新のものであれ「新しい視点」を持つことが目的の一つにあると思う。この頭打ちしている時代で、なにか新しい世界にいける「切り口」が欲しいのだ。 ショーン・ペンは昨年のオスカーを取っただけあって、それまでのイメージを覆すなりきりぶりです。そして皮肉なことに、彼の真に迫る演技が、「ゲイ」に対してわたくしの心に余裕をもたらしてくれませんでした。つまり完璧すぎるのです。 何かを伝えることは難しいなと思わされた作品でした。
勇気のでる映画
今でこそファッションのように語られるゲイ文化ですが、マイノリティーが市民権を得るにはそれなりのストーリーがあるものだということに改めて感心しました。日本でストレートでいるとまず知りえない話ですからね。ゲイライフを楽しんでいる人たちは先人たちの険しい道のりや苦労をたたえて今ある自由に感謝するべきなんじゃないかな。ストレートの人たちにもゲイの人たちの気持ちにちょっとでも近づける気がするぐらいミルクのカリスマに魅せられます。ショーンペンはさすが。カメレオン俳優。
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