NINEのレビュー・感想・評価
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イタリアンなミュージカル
華やかさと退廃がうまく混ざり合っていた
総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:80点|ビジュアル:75点|音楽:80点 )
「シカゴ」と同じロブ・マーシャル監督によるミュージカルだが、時代背景の古い「シカゴ」が何かと古臭さを感じたのに対して、こちらのほうが音楽も舞台も全然現代的で趣味に合った。特にラテン系の「シネマ・イタリアーノ」は豪勢で華やかだった。現実と舞台とを分けて描くことで、突然歌い出すような不自然な演出をしていない部分も好印象。基本的にミュージカル嫌いな私だが、今まで観たミュージカル映画の中でこの作品が多分一番いい。フェリーニ作品を基にしたというだけあって、退廃的な主人公の生き様と苦しみが女性達と共に薄暗い映像の中に浮かび上がってきて、その描き方も気に入った。そしてその合間を華やかな舞台芸術が飾っている。
イギリス滞在経験があるという設定のイタリア人監督である主人公グイドの、イタリア訛りのあるイギリス英語がまさに設定どおりで雰囲気作りに一役買っていた。最初はその喋りからイタリア人俳優かと思っていたが、調べてみるとグイドを演じたダニエル・デイ=ルイスはイタリア滞在経験のあるイギリス人だそうで主人公役の設定とは反対であるが、だからこのような喋りが出来たのだろう。
グイドにインスピレーションを与える女性たち
サイコーにゴージャスでファッショナブル!ミュージカル映画はこうでなくっちゃ!
本作は、映画史に残る大傑作、フェデリコ・フェリーニの『8 1/2』を原案としたブロードウェイ・ニュージカルの映画化。したがって『8 1/2』のリメイク作品ではない。なので当然『8 1/2』と比べられないし、比べてはいけない。しかし、個人的に大好きな『8 1/2』とついつい比べてしまうのが人情ってもの(笑)。
スランプの映画監督グイドの女性関係と妄想世界を描く本作は、ともすると華やかな女優たちに目が行きがちだが、主人公グイドをいかに魅力的に描けるかがカギとなる。グイドは次回作の脚本が全く浮かばないという大スランプに陥っているが、制作者サイドから撮影開始を強要され、思わず現場から逃げ出すような無責任男。さらにかなりの女好きというダメダメな男だ。デイ・ルイスは、持ち前の演技力で、猫背でボソボソ喋るダメ男を好演してはいるが、スタイルの良さも相まってか、フェリーニ版のマルチェロ・マストロヤンニのグイドよりスマートな主人公像になっている。彼の醸し出すフェロモンから『存在の耐えられない軽さ』のトマシュが想起され、単純な“プレイボーイ”という印象になってしまっている。だから妻に愛想つかされてもしょうがないかな、と思わせる。しかしマストロヤンニのグイドは、単なる女好きなのではなく、深層心理に女性に対しての畏怖の念が見て取れる。そのためどんな女性軽視の妄想が展開されても、最終的に許せてしまうキュートで魅力的なグイド像だった。
さて、本作が『8 1/2』から1/2足されて『9』になった、その1/2分は何だろう(笑)?これはいったい妄想なのか現実なのか、それとも全て夢なのかと、グイドの頭の中を写し取ったかのようなカオスな世界観が楽しいフェリーニ版だが、本作は妄想シーンをミュジージカル、進行形のストーリーをドラマ部分に分け、スッキリと解り易い。さらにドラマ部分にはストーリー性を持たせ、妻に逃げられたグイドはついに映画製作を中止し、傷心が癒えた数年後に新しい映画を撮り始めるというラストシーンになっている。もちろんこれは大変解り易くて良いのだが、やはりフェリーニ版と比べるとずいぶんと物足りない。
しかし本作の真の価値はミュージカルシーンにある。ゴージャスな夢の世界に心躍る。それぞれのキャラクターに合った楽曲とダンスの高揚感がハンパない。特に野獣(笑)サラギーナ(ファーギー、個人的にはもう少し太っていてもいいけど・・・)の『Be Italian』と、主題歌とも言えるケイト・ハドソンの『Cinema Italiano』は繰り返し観てもワクワク・ゾクゾク。はじけるシャンパン・ゴールドの映像もマッチしてサイコーにファッショナブルだ。もちろん超豪華な女優陣を観るだけで幸せだ。
だが、本作の白眉はラストシーンにある。あたかもカーテンコールのように登場人物がスポットライトを浴びて登場するのだが、彼女たちが登場する扉、それは正しくグイドのアイデアの扉だ。少年グイドの呼びかけで始まるラストシークエンスは、グイドの人生の振り返りであり、新たな空想世界(映画)の始まりなのである。彼に関わったゴージャスな女性たちは、彼にとってインスピレーションの源(あるいは全て彼の作り出した幻影かもしれないが・・・)。しかし、グイドの元妻のルイザだけは、この扉から登場しないのである。そう、彼女こそ彼にとって唯一無二の“現実世界”の女性なのだ。このオチの付け方が何ともニクイではないか。
こういう作品を観るとやはり映画は究極のエンターテインメントなのだと思う。フェリーニ版のような映画制作に対する痛烈な皮肉というメッセージ性や強い作家性は無いが、「ただ楽しいだけでいいじゃないか」と思わせるのも映画の魅力の1つなのだから。
ローマはあなたの街、あなたが街のイメージを創った
映画「NINE」(ロブ・マーシャル監督)から。
フェデリコフェリーニ監督の自伝的映画
『8 1/2』(はっかにぶんのいち)のリメイクでミュージカル版、
そう説明されても、実はよくわからない作品だった。
ずっと意味不明だったタイトルの「NINE」は、
ラストで「仮題NINE」というシーンを観て、
タイトルも脚本も決まっていない映画タイトルだとわかる。
舞台はイタリア。数々のヒット作を飛ばしてきた、
主人公のグイド・コンティニ監督9作目の映画ということなのだろう。
ラストで「アンソニー・ミンゲラに捧ぐ」という字幕が気になる。
アンソニー・ミンゲラ氏は、ネットで調べてみると
イギリスの映画監督・脚本家・映画プロデューサーとある。
これまたどういう意味なのか、判らずに終わった。
(数少ない脚本も書く映画監督、という意味だろうか?)
さて、今回の気になる一言は、単純にストーリーの中から。
自信をなくした、主人公の映画監督を励ます言葉。
「ローマはあなたの街、あなたが街のイメージを創った。
あなたの映画がね」
この発想は、まちづくりの手法としても使えるな、とメモ。
具体的な将来的なイメージ、映像があればあるほど、
住民は、その街のイメージに向かって努力していく。
震災で被害を受けた東北地方で大切なのは、将来の東北は、
こんな街になるんだ、という復興後のイメージ。
近未来的な将来都市像を、文字ではなく映像として提示する、
それこそ、イタリアという国、ローマという都市のイメージを
全世界に向けて、映画を通して情報発信すると同じように、
近未来の日本という国、東北という地方のイメージを、
世界に向けて、情報発信して欲しい、と願う。
飛躍し過ぎだろうか?(汗)
映画でしか出来ない表現
優柔不断な男の情けなさ
Cinema Italiano!
残念でした(+_+)・・・
【ミュージカルが苦手な人に捧ぐ・・・】
【ミュージカルが苦手な人に捧ぐ・・・】
フェリーニの『8 1/2』をミュージカル化したブロードウェイミュージカルを
映画化した『NINE』
映画監督デビュー作『シカゴ』でいきなりアカデミー賞の
作品賞等を受賞したロブ・マーシャル監督の3作目の映画
ミュージカルを誤解していて食わず嫌いな人が本当に多い
理由を聞いてみると どうやら登場人物が会話の途中などに
【突然に歌い出す】というイメージがかなり強いらしい
確かにそういう作品もあるにはある
しかし『シカゴ』や『NINE』を例に挙げると
歌う場面は【登場人物の妄想シーン】だけなのである
普通の映画と同じくドラマが展開しつつ
現実逃避したくなる程の逆境に直面した時に
【光り輝く美しい妄想】としてミュージカルが展開される
現実世界で突然に歌い出す様な不自然さではない
むしろ【現実と妄想】が区別され 対照的に表現されて
いるので『アメリ』『パンズラビリンス』『マトリックス』・・・他多数の
【現実&妄想シンクロムービー】と同じスタイルといえる
特にこの【映画監督の苦悩】を描いた『NINE』の
カッコ良さはハンパなく 文章では表現しようがない
それぞれの見せ場を それぞれが演じきり
そして歌い踊る姿は ただただカッコイイ
ペネロペも キッドマンも ルイスも ファーギーも みんな超絶に
素晴らしいが 特にケイト・ハドソンの歌いっぷりに惚れた
全場面 それぞれの【役者魂】がビンビンに炸裂していて
役者としてもみんな光輝いていて とてつもなくカッコイイ
家のリビングが【ブロードウェイの最前列】になります
期待した以上に、それを超えた深さも見出せて何度も観れる作品。
ゴージャスな女優たちに興奮
豪華な女優陣のそれぞれに見せ場があり、個性があり、それだけで十分楽しかった。
ダニエル・デイ=ルイス演じる主人公もとてもかっこよくて、愛人役のペネロペ・クルスの夫が彼女を迎えに姿をみせたとき、「こりゃ浮気するよな」と思った。
大掛かりなPVみたい
「シカゴ」好きだったら、このロブ・マーシャルの「NINE」は気になるはず。しかも、ダニエル・デイ=ルイス、マリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、ジュディ・デンチ、ニコール・キッドマン、ケイト・ハドソン、ソフィア・ローレン、ステイシー・ファーガソンと、これだけ豪華キャストが揃っていたら、見たくなるのも無理はない。
まず正直に申し上げますと、前半1時間ほどで爆睡してしまいました。とても眠かったからなのか、退屈だったからなのか、たぶん理由は半々。豪華キャストの歌とダンスは楽しいのだけど、ストーリーに深みがないというか、スムースさがないというか、ミュージカルと映画の一体感がない。なんだか大掛かりなPVのようで。これだったら舞台で見たい。ミュージカル以外のシーンが、ただの“つなぎ”のようで、なんだか面白みにかけた。「シカゴ」の舞台には舞台のよさがあったし、映画には映画の良さがあった。まぁ途中で寝ちゃったので、あまり意見できる立場じゃないのだけど。
キャストのファンなら、一通りは楽しめるのかも。ペネロペは相変わらず美しいし、マリオンは愛らしかったし、ファーギーもワイルド&セクシーだったし、ダニエル氏はチョイ悪前回でダンディーだったし。ただ、私は映画でしかできないミュージカルを「NINE」に期待してたんだなぁ。
もてる男の性
妙にしんみり…
これでもかというアカデミー賞俳優がズラリならんだキャストに、ロブ・マーシャル監督が手がけるミュージカルとくれば、期待しないわけにはいなかい。
が、フタを開けてみるとどうにも評価が芳しくない。なんで?と思ってやっとこさ鑑賞したところ、なるほど、悩める男の姿が延々と続くことでラストも妙にしんみりしてしまった……。
やっぱりみんなミュージカルというとゴージャスでハッピーなものを期待してしまうから、そこで期待ハズレという思いから評価が低空飛行したのではと……。特に近年は『ヘアスプレー』など楽しく華やかなミュージカルが受けている時代。原作がフェリーニ、過去のイタリア映画へのオマージュがたくさんなのだろうけど、よほどの映画通でなければ、そういうところは分からないわけだし。
予告編でもフィーチャーされていたケイト・ハドソンのミュージカルシーンが唯一ワクワクしたところ。素晴らしかった……が、彼女の役自身は別にいなくてもいいのでは?という役どころでなんだかなぁ。アカデミー賞ではペネロペ・クルスがノミネートされたけど、一番良かったのはマリオン・コティヤールだと思いました。
よくも悪くも豪華な作品
「確かに出演者は豪華だけれど、ストーリーそのものはたいしたことない」
私の周囲ではこうした感想が多く、正直鑑賞前はかなり心配でした。しかし実際観てみると、そんなに悪くない、いやむしろ、期待が低かったぶんおもしろかった。
豪華俳優陣の実力はお墨付き。特に主演のダニエル・デイ=ルイス、その妻役のマリオン・コティヤール、そして愛人役のペネロペ・クルスのやりとりは見応えがありました。歌と踊りも素晴らしい出来。ケイト・ハドソンの歌う主題歌と娼婦役のファーギーのパフォーマンスは白眉です。脚本が書けなくなってしまった映画監督がそのプレッシャーと複雑な女性関係により次第に追い詰められていくストーリーも、想像よりはずっとよかった。
主人公は良くも悪くも、女性がいないと生きていけない人。それゆえに自らの首を絞めているところもあるのだけれど、やはり彼には多くの女性が必要のようです。そのため、本作にも様々な女性が出てくるのですが、この女性の出し方がちょっと強引だったか。特にニコール・キッドマンとケイト・ハドソンの出演シーンは、美しく豪華な女優を出したい、それが自己目的化してしまっているように見受けられました。作品に華を添えているだけで、シーンそのものはたいして重要ではないし、出演時間もわずか。そもそも「有名女優、多数出演!」を売りにしてますが、なかなか強引なものです。たくさん有名女優を出したいから無理矢理ねじこんだシーンに見えなくもない。このへんからストーリーもダレてきてました。せっかく豪華な女優陣なのにデイ=ルイス以外との絡みも少なめ。
しかし、この点を差し引いても、優れた音楽と演技を楽しむには十分な娯楽作品になっているのではないでしょうか。個人的には、マリオン・コティヤールの美しさと寂しげな表情にやられてしまいました。
ダメ監督…でも,ダテだから,ほっとけな〜い(?)
男どもが、抱いてしまいがちな映画監督への憧れを具現化してしまったかのようなモテモテぶり…
トリビュート?オマージュ?…そんな言葉が似合いそうな、古くからのオールド映画ファン(?)には、おしなべて、評価が高いみたいな本作だが、ミュージカル型式の苦手な自分には、豪華な女優陣達さえ,押し付けがましく,感じられてしまい、
「何様ダヨっ#!?」と思われかねないけど、
やっぱり(?)、前から思っていた事で、
「漫才の中で漫才を語る」のや、
「芝居の中で芝居を表現する」
ような、いわゆる劇中劇方式は、両刃の剣になりかねん危ういモンだと、改めて、この作品でも感じさせられてしまいました.
冒頭、主人公=映画監督が、「脚本が出来ない…」とか悩み始めたアタリで、
「ヤバいなぁ…(ツマんなくなりそうだなぁ…?)」
と薄々,恐れ始めたら、…
「ウ〜ン、ヤッパリ(案の定?)、そう来たかぁ、…」
と先が読めてしまうカンジにて、
…終了.
自分の場合は、音楽好きなのが、幸いして、最後まで観れたけれど…
それなりの映画通で、
「あの映画の、あのシーンに似てるなぁ」だとか、
「あの女優さんはねぇ、〜…」
なんてウンチクでも語れる人じゃなきゃ、
劇中監督の"生みの苦しみ(?)"に付き合わされるだけで、
ストーリーを追うのは、楽しいとは、言い難く、キビしいから、
監督役のカレの
「ダラしないんだけど、ドコかシャレた(?)着こなし」だとか,
女優陣の
「ファッションのキラビやかさ」
なんかの方に興味をシフトすれば、通しでも、イケるんじゃないでしょうか?
とでも、言っときます.
「ヤッパリ(?)、映画の中で映画を語るのに、ロクなのは無いッ!」
と断定的にでは、ありますが、極私的には、思ってしまうのでありました.
大満足でした
太宰治と観てみたい…
超ゴージャス!!
劇場を出ての帰り道、挿入曲をアタマの中で熱唱し、
思わず腰を振って踊りだしたくなります。
テンション↑↑です。
ですが、、、
見終わってすぐに思ったのは、
「太宰治と観てみたいなあ…」ということ。
なぜなら、この主人公のグイドが太宰によく似ているように思えたのです。
才能はあるのに、オンナに溺れ、
道化を演じて、口を開けばホラばかり…
タイムマシンがあったら太宰を連れてきて、
「ほれほれ、どう思う~??」と聞いてみたいなあ、、、と。
で、そんなグイドが愛する女たちを演じる女優がもう絢爛豪華。
ミューズ役の二コール・キッドマン、妻役のマリオン・コティヤール、愛人役のペネロペ・クルス、 雑誌編集者役のケイト・ハドソン、グイドの“ヴィタ・セクスアリス”的なファーギー、 ベテラン衣装担当のジュディ・デンチ、そしてママ役のソフィア・ローレン!
それぞれの出番が少なくてもったいないくらいですが、
まるでロックフェスか紅白のごとく、それぞれの歌とダンスをかわるがわる見せてくれます。
そう、映画というよりむしろ、超豪華なステージパフォーマンスを見ている気分!
今回も、「シカゴ」同様にミュージカルの部分は基本的に“妄想”のところだけなので、 思う存分、非現実的に、美しさとゴージャスさを追求しています。
中でもやはり、ファーギーの歌とダンスは圧巻!!
ケイト・ハドソンも、ブリトニー・スピアーズと見まごうばかりのセクシーなダンスにびっくりです。
そして、感慨深いのは二コールとペネロペの共演。
この二人って、トム・クルーズの元妻と恋人(とゆうか愛人)、、、
この撮影についての思い出を聞かれたニコールは、
「スタジオに入ったら、ペネロペがロープからぶら下がっていたの。
浅はかだけど、美しかったわ」
と答えていました。
過去のこととはいえ、この作品でのペネロペの美しさ、奔放さを見れば、
心中おだやかではいられなかったでしょう、、、、
これで、グイドの妻役をケイティ・ホームズがやって、
衣装担当あたりをミミ・ロジャースがやったら、リアリティ番組になってしまう、、、
と悪趣味に考えたりしてしまいました。
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