劇場公開日 2008年8月9日

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「個人的には2000年以降の最高傑作!」ダークナイト 藤崎修次さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0個人的には2000年以降の最高傑作!

2020年7月12日
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クリストファー・ノーランの新作のプロモーションを兼ねた再上映が行われているので改めて鑑賞。

死して伝説となったヒース・レジャー。
この作品がメガヒットになったのは彼が死後にオスカーを追贈されたというエピソードもかなり影響を及ぼしているとは思う。
ただ、それを抜きにしても彼でなければ、ここまでの絶賛の声はなかったのではないか。
主役はバットマン(ブルース・ウェイン)のクリスチャン・ベールだが、存在感は完全に食ってしまっている。
スーパーマンのクリストファー・リーヴやジェームズ・ボンドのショーン・コネリーのように善良なヒーローで名を残した俳優は多かれど、完全な悪役でここまで成功した人はいなかったのではないだろうか。
むしろ、たった1作だけだったのが、かえって人々に強烈な印象を残したのかも。

ジャック・ニコルソンやホアキン・フェニックスのジョーカーも悪くはないが、イカレっぷりではこちらのほうが上。
能弁なソシオパスという特異なキャラクターを見事に作り上げている。

裂けた口のせいで喋りづらい為に、一言一言咀嚼するかの如く言葉を発する姿などは子供が見れば、トラウマになってしまうのでは? というくらい恐怖感がジワジワと心に浸透してくる。
返す返すもこの人が早逝したのが悔やまれる。

この作品が強烈な印象を残したのは多分に脚本の出来の良さもあったからだろう。
ジョーカーの口から出るセリフは人の真理を突いたものも多く、心に突き刺さってくる。
また、バットマンが完全無欠のヒーローでなく人間味を感じさせるのも大きい。
犬に噛まれて怯んだり、執事の偽メッセージを見抜けなかったり・・・
一般市民と囚人達それぞれの自己保身と良心のせめぎ合いも身につまされるものだった。
そういう意味で単なるアメコミの枠を飛び出しヒューマンドラマの一面も持ち合わせた異質の作品であったのが世界的大ヒットの要因だったのかと思う。

藤崎修次
CBさんのコメント
2020年7月19日

> 彼でなければ、ここまでの絶賛の声はなかったのではないか。

同感、まったく同感です。

CB