「生涯完璧な作品」ダークナイト ガオカさんの映画レビュー(感想・評価)
生涯完璧な作品
映画館で鑑賞して以来、
DVD→ブルーレイと購入し
更になぜかVODでも観てしまった。
今回はジョーカー公開に先立ってまた観たくなったので観たのだが、生涯何回観たか。
不思議と毎回感じ方は違う。
まずこの映画を語るに欠かせない
ジョーカー扮するヒースレジャーの存在。
撮影後公開を待たずして急遽してしまったのだが、
役作りのためにホテルに篭って
精神を追い詰めて心も骨の髄までもジョーカーに
なり切ったらしい。
その後精神を病んで、睡眠薬を多用して
亡くなったのだとか。
ジョーカーに全てを、命までを捧げた男だった。
公開前、
アイドルフェイスで恋愛映画俳優の
印象が強かったヒースレジャーが
悪のカリスマジョーカーを演じる事に
かなりの批判が集まった。
むしろファンが相当怒った。
だが命をかけた熱演で
映画史に残るヴィランとなった。
ビジュアル、声、動き
歴代最高のジョーカーだ。
また、肝心のストーリーも圧巻だが
レイチェルが俺を選んだというブルースの言葉に
黙って手紙を引くアルフレッド。
続編でこの伏線は回収されるが、
本作に限ってそのシーンを観るとアルフレッドの優しさと、気遣いに思わず目頭が熱くなった。
レイチェルは自分が助からないと悟った際に
何を思ったのか。
ジョーカーは死の直前こそ人は本性を表すと言っていたが、レイチェルはハービーに
これで良かったのよ、大丈夫と言った。
なぜバービーやブルースがレイチェルに惚れるか良くわかった。
最後まで本当の正義を貫いたのはレイチェルだったような。
だが一枚上手のジョーカーにより
闇落ちしたハービーは、皮肉にも大丈夫という言葉に囚われ苦しんでいた。
こんな対比もうまいなーって思う。
書こうと思えばいくらでも書けてしまうが、
最も僕の心が揺れたのは
最後の船のシーン。
ゴッサム市民がジョーカーに勝つあのシーン。
ゴードン、ハービー、バットマン
みんなジョーカーには勝てなかったが、
ゴッサムの市民がジョーカーに勝った。
囚人が10分前にやるべきだった事を俺がやってやる。
そう言って起爆装置を投げ捨てた。
対して一般市民は囚人が死ねばいいと言い、やや危うい感じだったが
手を下せず結果起爆しなかった。
ここも絶妙。
だが我々は生きている。
セリフもうまい。
タイトルの意味なんかも最高。
生涯完璧な作品です。
レビュアーでも何でもない個人的な見解です。