第9地区のレビュー・感想・評価
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宇宙難民との友情‼️
この作品の宇宙人は映画史上初、扱いに困る "宇宙難民エイリアン" ‼️その意表を突くユニークな設定‼️エビをはじめとする甲殻類そっくりなそのビジュアル‼️大空にエイリアンの巨大宇宙船が静止しているカッコいい構図‼️そして人間とエイリアンが手を組むバディ・アクションに男心がたぎる‼️そして本作でのエイリアンの扱いに、南アフリカのアパルトヘイト政策などの人種差別が反映されているらしいです‼️SF映画の形を借りて、人間がこれからも忘れてはいけないものや、守らなければいけない大切なモノを訴えてくる素晴らしい映画ですね‼️ただSF映画でまで、厳しかった過去や辛い現実を観たくないという想いもどこかにあります‼️
予測不能な物語に惹き込まれる傑作SF映画
主人公ヴィカスが感染した辺りから、物語が急速に動きだして、すごく惹き込まれていきました。
人間を一撃で粉々にしてしまう程の銃や、ヴィカスがラストに使ったロボットもカッコ良かです。
あとはヴィカスとクリストファーの奇妙な関係。途中ヴィカスは裏切ったけど、最後には無事宇宙船に乗せて送り届けたのが、クールでシビれました。
人間と宇宙人という相反するコンビだからこそ感動した部分もありました。
ドキュメンタリー形式で、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』とか『パラノーマル・アクティビティ』などのホラーとは違った怖さがあったのが良かったです。
難民エイリアンの居住区について・・・
久しぶりに見たけど、やっぱり面白い。確か、アカデミー作品賞の10本にノミネートされたと思うんだけど・・・
まず、このフェイクドキュメンタリーとでも言うんでしょうか?
インタビューや、レポートみたいな場面を切り貼りして、奇抜さを狙ったB級作品だと思ってたら、とんでもない!
エイリアンの難民というSFチックな面白い題材を実にうまく消化して、人種差別を織り交ぜた実に重い内容を描いているように感じました。
何処かの国で、実際に同じような扱いを受けている人達がいるんじゃないかと、考えさせられるような。
それから、エイリアンとの戦闘シーンが、またスゴい!
アーマースーツみたいなのまで登場して、ド派手な場面の連続です。そのうえ、エイリアンの超破壊的な武器が、また良いですね。人体粉砕、飛び散る血肉のグロいシーンのオンパレード!ホラー好きの自分ですから、このスプラッター描写も思いっきり楽しめました。
主人公のヴィカスがはめられていくところなんかも、思いっきりサスペンスしてました。
嘘の報道によって、人々から迫害されていく恐怖感。マスコミって本当に怖い。人々の洗脳なんて簡単にできちゃうんじゃないかなんて考えさせられます。
そんな中でも信じあう夫婦愛って言いたいんだけど、結局、奥さんとの会話から、居場所がバレたんで、もしかしたら裏切られてた?異型(姿かたちは変わっても)となっても、心の奥底でつながっている、真実の愛を信じたい気持ちはあるんだけど・・・う~ん。
その先には、さらに悲劇的な結末が待っているのに。
そしてエイリアンとの友情?信頼?往年のバディムービーの、切っても切れないキズナとでも言うんでしょうか。男同士の熱いつながりも良かったです。
それから、あのエイリアンの子供。こまっしゃくれた可愛らしさも、また魅力です。
思いつくままこの映画の素晴らしさを書きなぐってきましたが、本当に良かったです!大好きです! ただ、好みは分かれる映画だとは思いますが・・・
現実だと錯覚するほど面白い。知的で胸をえぐられる。
今作はニールブロムカンプが監督、脚本を担当した初めての長編映画である。
初めてにして素晴らしい出来になった。
今作にはポイントや面白いところがたくさん隠されていたりする。
それを個別に自分なりにも解説していく。
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・驚愕のVFX
今作は視覚効果賞にノミネートされている。主にエイリアンと飛行物体を、VFXで作っている。だが、今作はドキュメンタリー風に始まるため、手持ちカメラのくすんだ色味の映像にする必要があった。くすんだ映像に視覚効果を加えるのはとても大変だったことだろう。だが、そのおかげでとてつもないリアリティを演出できているのだ。
・南アフリカでの「外国人嫌悪」
実際の南アフリカでは、スラム住宅地も多く、良い暮らしを求める人がたくさんいる。そこで、情勢が不安定なジンバブエから難民が良い暮らしを求めて南アフリカへと来たのだ。だが、南アフリカの人々も同じく良い暮らしを求めている。だから乱入してきたジンバブエ人に「外国人嫌悪」を抱いた。
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今作でも南アフリカの人々は同じ状況にあり、良い暮らしを求めていたところ、突如、飛行物体が現れ、エイリアンたちが住み着くようになった。
だから南アフリカの人々はエイリアンに外国人嫌悪を抱いたのだ。
つまり、今作のエイリアンが象徴するのは、ジンバブエやソウェトから来た難民なのだ。
・ヴィカスの見た目の心情の変化
今作の主人公であるヴィカスは、真面目で規則にこだわる役人気質である。だが、エイリアンに対しては受動的な差別主義者でもある。そんなふうに見ていたエイリアンだったが、ヴィカスの見た目がエイリアンへと変貌していく過程で、心情も大きく変化する。だから、ヴィカスの見た目の変化は心情の変化を反映していると言ってもいい。
・歴史的観点からも描く「隔離」
あるシーンで、MNUの装甲車が第9地区に入っていくシーンがあるが、そこはガザ地区を思わせる壁で囲まれた地帯だ。明らかに人間とエイリアンが区別されているのがわかる。歴史的には、人種の違いなどで「人種隔離(アパルトヘイト)」という政策が行われてきた。だがアフリカでは若干まだ残っているのだという。このように明らかに区別して描くことで、「隔離」という印象を強くさせるのだ。
それと共に、第9地区にあるエイリアンが住んでいる住居は、とてもボロボロで不衛生な様子が伝わって来るが、これも「隔離」の印象を強くさせるためである。
何より撮影で使われたボロボロの住居は、実際に人が住んでいた住居であるため、とてもリアリティを演出できている。
・エイリアンの見た目が意味するもの
監督が言っていたが、今作のエイリアンの見た目をどのように描こうか悩んだのだという。
その理由は、今作のエイリアンにも感情移入させる必要があったのだ。ただ怖がらせたりするだけなら、もっと終わっている見た目にできたはずだ。だが、感情移入させるため、人間的な表情も必要だと考えたそうだ。
そこで結局、見た目を昆虫なにさることにしたそうだ。
その理由は、今作でエイリアンが置かれている状況と、アリやハチの環境と共通しているところがあるからだ。
アリやハチは女王に指示されるまで誰も働こうとしない。
今作のエイリアンも同じで、武器や宇宙船はあるのに、誰も行動を起こさず、南アフリカで途方に暮れているエイリアンと共通しているからだ。
・ヴィカスの扱われ方
ヴィカスの左腕がエイリアンになったとき、身柄を抑えられ、ヴィカスの話に耳を傾けようともせず、エイリアンの武器を使えるか坦々と実験してエイリアンを殺させたり、無理やり人体実験させたりしていた。これは歴史的観点から考えると、人種の違いなどで奴隷扱いし、たくさんのひどい扱いをしてきた。当時はその人々を人間としてみていなかった。これも同じで、ヴィカスの左腕がエイリアンになったら突如ヴィカスをひどい扱いをしたように、そういう意味の風刺もあるのだ。
・ヴィカスの立場
前に説明したように、人体実験をされそうになった時、ヴィカスが抵抗してなんとか逃げ出すが、そこからヴィカスの立場危うくなる。
いつもなら家に帰れば家族も妻もいるのに、今は追われている立場だからそうはいかない。
何より、自分が今まで尽くしてきた会社が、会社の利益のために自分の体を切り刻もうとしている。
だから、逃亡中は誰にも頼る人がいない状況だ。まるで脱獄した逃亡犯のように。
・クリストファーの構成意識
作中にヴィカスを手助けする、クリストファーというエイリアンがいる。
クリストファーが暮らしている小屋には、電子機器がいっぱいあって、それは全て宇宙船に乗って帰るために準備しているものだった。
先ほどエイリアンに置かれた状況と、虫の環境が似ていると話したが、クリストファーだけ宇宙船を使って帰る目的がある。それはなぜか?
女王などの絶対的な指導者が消滅し、全員が目的を失った意識を持つようになると、指導者をもう一度生み出すために社会を構成し直そうという本能が働く。
・人体実験
ヴィカスとクリストファーが一緒に大切な液体を奪いに建物に入って戦った後、クラウドファーは仲間の死体を見つける。先ほどヴィカスが人体実験されそうになったとあったが、このシーンではもっと細かな意図があるのだろう。
それはおそらくナチスの人体実験だ。日本軍も第2時世界大戦中にやったと言われる。
ウーター・バッソンらによる医療実験や研究などの数々のひどいことがアパルトヘイト政権下であったとも言われている。
つまり、エイリアンの整体実験というのは、史実に基づいたアイデアなのである。
実際に南アフリカでも行われていた。
これらを行った理由としては、細菌や毒などの開発だった。最初に話した通り、南アフリカの人々は乱入してきた難民に「外国人嫌悪」を抱いて、邪魔な存在だとすら思っていた。
それらの人々を使って人体実験をし、黒人だけに効く毒などを開発しようとしたのだ。
これらの生体実験は、どこの国でも起こり得るだろう。
だから、これはそういう意味をこめた風刺だと思う。
・見た目による人間の心理
飛行物体が去った後、また序盤のようにドキュメンタリー風に戻るが、そのインタビューの途中、ヴィカスの父親の話では、「ヴィカスはもう死んだ」と言っているが、それはただ変身した息子を彼は認められないだけなのだ。見た目が変わっただけで見捨てる心理はとても笑える。これも人間の見た目ではなくなったからといって人種が違うと考えているのだ。つまり、人は見かけによらないということと、人種差別は絶対に不必要だということも示している。
・感情移入による人種差別の「体験」
今作は序盤、エイリアンに対してはキモいなーとかしか思わないだろうけど、展開が進むにつれて、エイリアンに感情移入していく。だから、エイリアンは立派な生き物なんだと感じさせる。特にクリストファーは子供もいるしクリストファーが息子を片手で抱きしめるシーンは感激を受けた。
これは観る人に、序盤はエイリアンに対して「気持ち悪い」としか感じさせないことで、見た目で判断させ、ヴィカスと同じような間接的な差別主義者になってもらう。だが、ストーリーが進むにつれ、エイリアンに対しても愛着が湧く。つまり、この映画の構成は下記のようになっている。
序盤でエイリアンに対して嫌悪感を抱かせる
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話が進むにつれエイリアンに対して感情移入する
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エイリアンも自分達と同じく生きていて、人間と同じように平等に生きる権利があるということを体感させている
この構成を知ったとき、めっちゃ衝撃を受けて、めっちゃ天才的だと思った。体感することで観る人に監督が伝えたいことを深く考えてもらうという手法は凄まじい。
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[個人的な感想]
今作はリアリティが終始感じられて現実だと錯覚してしまう。それによってより映画の世界へ入り込むことができた。
また、今作の新しさといえばキリがないが、全体的にハリウッド映画らしくない生々しい演出や描写なのに、ハリウッドらしいVFXが混在していることだ。それによって今までにないような作品になっている。
今作でのヴィカスとクリストファーの妙な関係も個人的にめちゃくちゃ好きで、最初はヴィカスもクリストファーを含めたエイリアンたちを間接的に差別していたのに、ラストにはクリストファーに心を開きかけているのもとてもいい。
それに加えて、今作のどこかミステリアスな雰囲気が漂っているところが好きだ。ずっと浮いている飛行物体もそうだし、クリストファーの小屋の下にあった飛行機も、最後にヴィカスが操縦するロボットも、なんだかミステリアスな雰囲気を感じさせるのがうっとりしてしまう。まあこの映画はうっとりするような映画ではないのだが。
また、主人公が危機的になっていくにつれて、多くのアクションが展開される。ラストのヴィカスがロボットに乗ったアクションも見たことのない体験であった。
何度も繰り返しこの映画を観ていると、エイリアンにさまざまな視点で感情移入してしまうのだが、エイリアンに感情移入している自分にも驚いている。ビジュがキモいエイリアンに感情移入させるニールブロムカンプもすごいし、VFX陣もすごいと感じた。
また、説明した通り、あの構成が結構好きで、自分も考えるきっかけになったし、全員が観て深く考えるべき映画だと思う。
こんなに長くなってしまいました。
今作は生涯でもtop5には入ります。今のところは4位ですが。
何回見ても新しい発見もあって、考察しがいもある素晴らしい映画です。
まさにニールブロムカンプにしか作れない映画だと思いました。
ドキュメンタリー風に展開される映画
さまざまな人のインタービューの様子、常にテレビで報道しているかのような作り込みにドキュメンタリーの感覚を持たせてくれる。エイリアンお断りの標識、スラム地区とまるでアパレルヘイトの黒人分離かのようにエイリアンを扱い、当時の社会問題を間接的に伝えてくれる映画
初めは気持ち悪い存在だと思っていたエイリアンに、自分が成りエイリアン親子と関わっていくにつれ、家族を思う気持ちや死んでいった仲間に胸を痛める様子の”人間らしさ”に触れていき次第に変化する主人公の行動が印象的でした
まさかの宇宙人びいき
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ある時UFOがやって来て、地球上空で立ち往生する。
人間が行って突入し、そこで海老みたいな多くの宇宙人と遭遇する。
宇宙人達が攻撃的でなかった事もあり、平和的に保護する形となった。
そして第九地区という地域に住まわせた。海老たちは地球語を話せた。
こうした共存の中、一部の人間は宇宙人の持つ武器に目をつけていた。
政府だか企業だか忘れたが、抜擢された主人公が第九地区を訪れる。
20年以上経ち、海老の数が増え過ぎたので、移住を依頼するためだった。
その時主人公は、海老たちが隠し持っていた謎の黒い液体を見つける。
何かと思っていじっていると体にかかり、手が宇宙人のそれになった。
上述のように一部の人間は宇宙人の強力な武器に興味を持っていたのだが、
DNAの関係で彼らにしか使えないということがわかっていた。
が、今の主人公は人間と海老のDNAの中間の形になっている。ってことは・・・
政府だか会社だか知らんけど、強制的に主人公を監禁して研究対象とした。
主人公の命などどうでも良かった。まさしく人体実験である。
何とか逃げ出した主人公だが指名手配され、行くところもなく海老のもとへ。
そしてそこで、海老たちが密かに帰還計画を立てていたことを知る。
また黒い液体があれば主人公の手も戻るし、海老たちも帰還できる事も知る。
そこで1人の海老と共に人間の研究所に忍び込み、奪還に成功。
第九地区には軍が乗り込んで来たが、海老兵器を使える主人公が迎え撃った。
そして仲間の海老を救い、宇宙船へと送り出した。
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とにかく海老は善良。平和的で義理堅く、無欲。徳が高い。
対照的に、人間の愚かさがクローズアップされまくってる映画。
表向きは保護しながらも、裏ではその武器を奪おうとする汚らしさ。
名目上は共存でも、相手が抵抗しないとわかるとすぐに増長する愚かさ。
でもそれが人間であり、もしこれが現実でもこんな感じになりそう。
権力を持った人間というものは、自分より弱いと思った者を支配したがる。
地球上では動植物がその対象だし、一般市民だって権力者に支配されている。
主人公は急に権力を持ち増長した、支配したがる存在の象徴として描かれる。
人間の醜い部分を全て演じ切る役と思っても良いと思う。
主人公は最初は海老に対して完全に上から目線の態度だった。
だが梯子を外されて危機に陥ると、一転して海老を頼る。
それを許容する海老、という構図。
主人公は海老と協力関係になった中でも裏切るようなマネをするし、
海老がいよいよ殺されそうになった段階でも一度は見捨てる有様。
その後ようやく思い直して助けたんやが、これもある程度打算的。
だって海老の圧倒的な装備を身につけた、ある程度安全な状態での話やもん。
それだけの装備がありながら一度は見捨てるって事の方が身勝手過ぎ。
最後はよくわからない終わり方をした。
海老らは一部が帰還しただけで残りは地球に残って繁殖した。何故?
続編への布石なのか?
宇宙人ものは多く見て来たが、大体は地球を侵略して来るのに、
この映画では地球人側が一方的に悪として描かれてた。
宇宙人側に味方しながら見る作品は始めてやし、新鮮だった。
人間の身勝手さに対する警鐘を鳴らす作品である。
改めて自分のあり方を見つめなおすべきだと思った。
まぁまぁ面白い。ただ体調がいい時に観てください
レンタルしているDVDを早く消化せねばと、病み上がりに視聴しましたが、これは体調の悪い時に観るべきではなかった映画でした。
ところどころ気持ち悪いといったらなんのって。
エイリアンを害虫扱いし小馬鹿にしていた職員が自分がエイリアンに感染してしまうという何とも皮肉な流れ。
それがまたストーリー自体は面白い。
エイリアンからしたら迫害されてたまったもんじゃない話だが、そもそも素行も悪く好戦的で友好的ではないのに地球に勝手に来る方が悪い。
ただでさえ人間が受けつけない見た目をしているのに、そりゃ物を盗んだり自分の利益のために人を56してはヘイトも向くだろう。
[疑問点: 1]
何を言ってるのかも分からんエイリアン語をなぜ人間が理解できる?なぜ意思疎通ができる?エイリアン側もネイティブスピードで話す英語を完全に理解できてるのがすごい。(基礎知識がある地球人なら20年も住めば習得できるのは何となくは分かるが…映画にそこまでつっこむべきではないが)
[疑問点: 2]
エイリアンに感染した原因が司令船を起動させるための燃料がかかったことによってだが、そもそもそこらへんの原理がちょっと曖昧だったと思う。なぜ宇宙船の燃料で?エイリアンの血がかかるとかなら何となくは分かるが。
「故郷の惑星には帰るんじゃない。俺たちはこのテントに住むんだよ」というシーンには考えさせられるものがあった。
この映画はアパルトヘイトが背景にあるらしいが、やはり差別というものは人間の本質にありなかなか切っても切り離せない問題なのだと思う。
肝心の黒い液体を取り戻したシーンではさっさと逃げればいいものを、仲間をやられた姿にボーと立ち尽くすクリストファーには(さっさと動け!ノロマが!)と苛立ちを覚えた。
賢いのかバカなのか分からん。
気のせいなのかもしれんが、だんだんとストレスからか、ヴィカスに10円ハゲが出来ていて細かいところまで作り込んでるなぁと思った。主人公の顔の表情もすごく良い。
腕を治すのに3年かかると言われて怒ったヴィカスがクリストファーを急に殴りだし置いてきぼりにして、勝手に乗って指令船を起動させた時には、血も涙もなくて主人公の性格がヤバすぎて空いた口が塞がらなかった。
こりゃエイリアンも人間とは信頼関係も築けないだろう。
最後は身体を張って守ってくれたとはいえ、こんな薄情な人間の身体を治すためにわざわざまた危険を冒してまで再び地球に戻ってくるメリットは一つもない。
クリストファーは故郷で平和に暮らしていることでしょう。(たぶん)
エイリアンを通して描かれる差別と暴力。
予告を見てから鑑賞。
なんとなく、昔見た V の印象が強かったが、全然違う話だった。
見た目に反して (優れた武器を持っていても) 相手を攻撃することなく、
異なる星の生物であることをわきまえ、なるべく、平和に接しようとする姿勢。
どんな粗末な扱いを受けても、バランスを重んじて、生きていく生物。
その一方で、見た目に反して、自分達だけが優れた生物だと思い込み、
非武装な相手に武器を向け、暴言を吐き、感情のまま、相手を殺す。
抵抗しない相手を「下」と考え「モノ」として扱い、実験材料とすることもある。
徹頭徹尾、上から目線の生物。
物語の中では、終始、この違いについて、感じさせる描写がある。
本当の意味で「汚い」のは、どちらのだろう。と考えてしまう。
「心理的な優位性」がもたらす「差別」が存在することを改めて感じざるを得ない。
主人公が自分のために助けてくれた相手を裏切るところがあり、
「人」の強欲さというか、追い込まれたときの人は試される。ということも感じさせる。
ラストのあのワンカット。あえて、何も触れられなかったが、
彼は己の運命を受け入れ、できることを精一杯やっているのだと思いたい。
そして、明日から何か1つでも良いので、善いことをしよう。
少しでも、良い生物でいられるよう行動しよう。と思ってしまう。
面白過ぎる。 サイエンスフィクションとして考えない事にする。所詮、...
面白過ぎる。
サイエンスフィクションとして考えない事にする。所詮、ありえない話だから。
アパルトヘイトがあった南アフリカのヨハネスブルグが舞台って事がみそかなぁ。
ゲットー(アパルトヘイト)は存在し続け、主人公や地球の未来がどうなるのか。何と絶望的。
CGが使われ過ぎているが、傑作な物語だと感じた。
まず序盤の勢いから苦手な雰囲気で不安を感じたが、それが当たってしま...
まず序盤の勢いから苦手な雰囲気で不安を感じたが、それが当たってしまった。終盤までどうしてもやっつけ感が拭えない。登場人物も好きになれない人が多く、救いはエビのクリストファーだけ。続編ありきだとしても見るのがキツい。
セリフもかなり一辺倒で面白味はなく、人情味ある人もいない。主人公?のヴィカスもある意味人間らしいが、生々しくて映画としては共感しづらい。
差別行為への皮肉と考えれば、深く思うこともあるが、個人的にはそれ以上に設定やストーリーの甘さが気になってしまった。
ただ好きな人や刺さる人は多くいるだろうなと思う作品。
エイリアンも人間も
實選 プロット型系 管理しようとするお役所仕事の政府 武器と暴力で支配するギャングは金の亡者 そして全てを手に入れようとする「上層部」 子ども、仲間、妻への思い
ヨハネスブルク(南アフリカ最大都市)
ありそうでなかったタイプの宇宙人襲来映画
宇宙人が地球に飛来する目的と言えば侵略か不時着だと相場が決まっていますが、本作の宇宙人はそのどちらでもない。大群で押し寄せてきたにも関わらず、地球にやってきた理由は不明。それどころか自分たちだけでは生活もままならず、人間に迷惑を掛けながら難民として生活をはじめる。
今までありそうで無かった新しいタイプの宇宙人襲来映画でした。設定がまず面白いし、モキュメンタリーのように始まる序盤のテンポの良さが気持ちが良い。世界観が冒頭のニュース映像などから分かるようになっているし、冴えないオッサンにしか見えないヴィカスが「何かやらかした」ってことが分かるようになっていたので、ストーリーの展開を期待させる演出になっていたのが素晴らしかった。多少のゴア描写がありますが、あまり気にならない程度の描写だったので、色んな人に観てほしい作品でしたね。観終わった後の感想を語り合うのも楽しいタイプの映画だったと思います。
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1982年、突如として南アフリカ上空に姿を現した巨大なUFO。動きが無いその物体に調査隊が乗り込むとそこには病気で苦しみ飢餓状態に陥ったエビのような姿のエイリアンが大量に犇めいていた。UFOの真下にキャンプを設営してそこにエイリアンたちを難民として移住させたが、その宇宙人は窃盗などを繰り返し治安は悪化し、エイリアン居住区である「第9地区」はスラム街と化していた。そして宇宙人の飛来から20年後、エイリアンの爆発的な人口増加と周囲の町との軋轢が問題となっていたことからエイリアンたちを「第10地区」に移住させる計画が持ち上がり、その計画の責任者としてヴィカス(シャルト・コプリー)という男に白羽の矢が立った。
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本作は、映画ファンとしても有名なライムスター宇多丸さんも大絶賛した作品です。細かな設定の不備などはありつつも、そんな些末なことは気にならないくらい演出や脚本やストーリーについて大絶賛していました。映画ファンの方からの評価は軒並み高いように感じます。
本作の主人公のヴィカスって、あんまり主人公っぽくはないですね。ただの仕事人間と言うか、自分に与えられた役割を必死にこなしているような感じもありつつ、妻の父親でもある職場の上司のご機嫌取りをしつつ、エイリアンの卵を笑いながら焼き払うシーンなんかもあって「小物っぽいしずる賢いし残虐な一面を持っている」ということが描かれていきます。他の映画だったら敵のボスの後を金魚の糞のようについていくだけのキャラクターみたいな感じの描写が多いです。主人公っぽさは微塵もありませんね。そんなヴィカスの身にとある出来事が起き、「差別する側」から「差別される側」になってしまった後の心情の変化などの描写は本当に見事でしたね。最初は利己的で差別的だったヴィカスがどんどんと人間的に成長していく様子は見ていて感動です。
この映画に限らず、映画の劇中で起こる「立場の逆転」が映画としての面白さに直結するということがよくあります。例えば、邦画サイコスリラー作品として私が一押ししている『ヒメアノ~ル』という作品があるんですが、この作品では映画中盤に「殺人鬼を追う側」と「追われる側」の立場が逆転するシーンがあります。この逆転のシーンが、映画の中で一番大々的に盛り上がるシーンなんです。『第9地区』においても、主人公ヴィカスの「立場の逆転」が描かれており、今まで「エイリアンを虐げる側」だったのが「エイリアンとして虐げられる側」に回った瞬間の私のテンションの上がりっぷりは異常でした。
正直、細かいところでツッコミどころも多い作品ですので、そういうシーンがノイズになってしまったところは否めません。しかし、そういう些細なツッコミどころが引っかかる前に流れていってしまうようなテンポの良さや勢いがありましたので、十分に楽しむことができた作品だったと思います。
久々に、最初から最後までダレることも飽きることもなく観られた映画でした。オススメです!!
人間の残酷さやエゴイズム
人間の残酷さやエゴイズムを強烈に感じました。
最初は主人公に対して好意的だった人達が、主人公がエイリアン化し始めたとたんに手の平を返すように態度が変わり、冷たく蔑むようになっただけではなく、人体実験に使おうとしたりと、もはや人間としては扱わなくなりました。
エイリアンは比喩ですが、弱い立場の者に対し、人間はこんなにも残酷になるのだなとショックを受けるくらい強い印象が残っています。
最後の方で、主人公が自分を優先するかエイリアンを助けるかという葛藤が描かれていましたが、そこもまた人間らしくもあり、知らず知らずのうちに主人公に感情移入しながら見ていました。
エイリアンと人類の共同生活
宇宙船の故障で南アフリカに現れた宇宙人は難民として共同居住区「第9地区」に住み始める。地域住民への被害から、宇宙人たちは強制的に退去させられ、隔離区域である第10地区に移住させられることになるが…
まず、宇宙人と共存するという設定の映画を見た記憶がなかったから新鮮で面白かった。
最初の方はドキュメンタリー風に描いたことで、実際にありそうと思わせられた。
主人公が終始自分勝手な印象を持つが、あんな見た目の宇宙人になっちゃうと考えたら、ああなるよ、可愛そうやなと思った。
舞台が昔、南アフリカであることも興味深かった。また同じように隔離政策が取られようとするが、南アフリカの過去の隔離政策を批判する意味があるのかなと思った。
宇宙人の隔離政策に反対する人たちが映されたシーンが印象的でなんで隔離したらダメなん?とか思ったけど、かつてのアパルトヘイト政策における、黒人への差別的思考と似た部分があるかもしれないと思いハッとした。
歴史は繰り返すとしたら、強制移住後、隔離された中で育ったエイリアンの中に、激しい怒りが蓄積され、抗議、暴動が起きてそれを武力で一方的に鎮圧し、抗議の声が世界的に広がり、自由が与えられるみたいな展開になるかもとか思った。
変身系SFシナリオの傑作
終始飽きがこない、集中力が途切れそうになる瞬間というものがない、それ程のめり込んで鑑賞できた。割と無理に集中力を出して鑑賞せねばならないような作品も(のほうが)多いゆえ、噂に違わぬ秀逸な映画だと感じた。
■世界観の説明がうまい
世界観の説明とは一番厄介な作業。特に日常生活を描いた作品ではなく、SFやファンタジーなど設定が作者による創作に依るところが多いと尚更だ。くどくどとナレーションじみて長くなると鑑賞者はうんざりし、かといって伝えきれないと作品に没頭できない。
しかしニュース調やドキュメント調で語っていくという手法を取り入れることで新鮮さやリアル感をうまく出し、少々荒っぽさややっつけ感はあるとはいえ、ディスクリプションの必要最低限を簡潔にまとめており、うまいなと思った。
■鑑賞者はヴィカスの敵か味方か?
主人公のヴィカスが異星人に変身していく過程で、もはや人間界には受け入れられず、かといって異星人にはなりたくない(当たり前だが)、だからと行ってエイリアン達も味方というわけでもない。様々な感情が入り混じってヴィカスに感情移入する。鑑賞した方は彼にどのよう印象を持っただろうか?人間ならざる何者かに変貌していくことへの恐ろしさ、可愛そうと思う心、助かってほしいという想い、あるいはどんなおぞましい変異を遂げるのか?という好奇心や怖いもの見たさもあるだろう。恐怖、同情、憐憫、あるいは怒り?
怒りとは、度々印象付けられる人間の身勝手さ、異種族を蔑視、迫害することの嫌悪感。
変貌を遂げていくヴィカスの思考はあくまで自分本位(ある意味人間らしい部分)であってエイリアンは下等生物か何かだとでも言うような差別する心を持ち続けてそこはなかなか変貌を遂げず、幾度もエイリアンに歩み寄っているように見せて土壇場になると裏切るヴィカスに助かってほしいのか、むしろくたばってほしいのか、よくわからなくなる。本来は勧善懲悪がはっきりしている物語がセオリーと言える中、善と悪の間を行ったり来たりする。とても興味深い展開。
だから最後の最後のヴィカスの利他的な行動は強烈に印象付けられた。おそらく最初からヴィカスが完全にいい奴として描かれていたならばここまで感情移入はできまい。利己的なキャラとして引っ張っておいてからの最後の最後で利他的な行動をさせることでギャップ最強の法則の基に一気に鑑賞者の心を掴む。
そして更にトドメの一撃がラストシーン。完全に変異してしまったその姿と一輪の花というコントラスト、なんと切ないことか…。
■定番系シナリオではある
人外の何かに変貌する系シナリオというのはもはや定番のひとつかもしれないが、かつての人としての温かみが失せて言葉すらまともに扱えなくなってしまうような展開というのは、いつの時代も切なく、心揺さぶられるものだ。
ちなみににこの手の物語で私の印象に残っているストーリーといえば『アキラ』の鉄雄、『火の鳥 宇宙編』のナナ、あと『バイオハザード CODE:Veronica』のスティーブとか…。
■エイリアンのデザインについて
ややグロテスクだがコミック調過ぎず、いい感じにリアルなのがまたいい。あれ以上ポップになると子供向け映画になるし、あれ以上グロくしてしまうとホラーになってしまう。絶妙な塩梅でキモいと感じた。
■厨二病ウェポンの是非
武器やパワーアーマーのデザインが厨二病っぽく、違和感を覚える人もいるかもしれない。リアルな異星人と人間との共存が主軸でありながらそこだけサイバーパンクしてんなーみたいな。とはいえ、一発で人体を粉微塵にする弾丸だとかギャングが総射撃した弾を空中で止めつつ集約させて一気に弾き飛ばす(とっさに『寄生獣』が思い浮かんだ>後藤が軍隊の弾丸を体内でかき集めて放出するシーン)など、攻撃パターンのアイデアは面白かった。また血がカメラのレンズにまで飛沫がつく演出、あれいいよね。
SFアクション×差別×ザ・フライ...要素てんこ盛りで面白い
アカデミー賞にノミネートされた今作。
なんかいろいろな要素てんこ盛りで、どの要素もきちんと面白いからしっかりしてる。
シナリオの粗さは結構目立って、「え、なんで人類をはるかに凌駕する技術力を持っているはずのエビたちが、あんなスラムで過ごしたままなの?」「賢いエビたちだけは死んだっていうけど、あまりにも知能差ありすぎじゃない?」「第9地区のクリストファーのアジトを突き止めたMNU、動き遅すぎじゃない? なんで車も金もないヴィガスたちがさきに襲撃できてんの...?」
みたいな。そういう、ツッコミどころは結構ある。
ただ、一つ一つのシーンが面白くて。常に先が気になる表現を続けているのも魅力的。
主人公が全然主人公っぽくなくて、くそやろーっぷりを最初から見せつけられるんだけど、次第にこう、かっこいい部分を見せていくところにも燃える。
そして、差別の描き方がうまい。エイリアンを相手にするからこそ、人間の差別的心理が、よりリアルに描かれるんだよね。
もし、この映画を黒人とか、人間を相手にして作るとしたら、たぶん放映できない。
なんか、偽善っぽくなるし、ポリコレ的問題が多発する。
でも、ドキュメント風にで、エビたちの愚弄さを描く。視聴者たちも自然と差別する側の意識に回る。それが、映画が進むにつれて、その見方が一一方向的なものでしかない、ということも分かってきて...。人間が差別を行う心理を、すっと描くのが面白い。
そして、最後のアクションの連続。ガジェット好きにはたまらないアクション描写。そしてラストシーン。
おいおい、妻、あそこまで加担しておいて、最後は悲劇のヒロインかい、っていう描写でまた、ツッコミたくはなるけれど。
それを補ってあまりある、たくさんのジャンル的要素と、面白いシーンがたくさんあるので、見る価値ある
ユーモアの詰まった盛りだくさんSF
ドキュメンタリータッチの前半からぐっと引き込まれ、その後もユーモアを忘れずに、だんだんとシリアスになっていく展開が良い
それに加えて主人公の性格が悪いのも、良い
騙されたと思って観るべき作品
前半ノンフィクション風、実録風、映画というよりはニュース番組のようでこれ失敗したか?と思った
他のSF映画とは違いエイリアンが酷い扱いを受けている。すごく喋る。
人間は惨い。実験の為、人間の為ならば手段を選ばない。
殺す側が殺される側に憎かった奴に自分がなる
3年は長い
最後カットのエイリアンは多分彼だが3年のうちに本物のエイリアンに。そして故郷へ帰った彼らはその後地球に戻ったのか
彼は人間に戻れたのか
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