第9地区のレビュー・感想・評価
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前代未聞な傑作SFの影にあの名匠の支えあり
始まりは6分の短編だった。それもピーター・ジャクソン指揮下で企画されていた「Halo」映画化が頓挫した末、せっかくだからこのメンバーで何か撮ろうという流れで俎上に上ったのがこの短編の長編化だったというから驚きだ。ビジネスも映画も失敗をバネにして這い上がるところでこそ大きなチャンスが得られるのかもしれない。
特殊造形やVFXにおいてもジャクソン率いるWETAワークショップやWETAデジタルの技術力を取り入れて作り出された、この全く新しいドキュメンタリー・タッチのSFアクション。冒頭で様々な記録(風の)映像を駆使しながら宇宙船の到来や難民の受け入れ、スラムの形成、住民との軋轢などをスピーディーに織り成していくクレバーな構成も、ジャクソンによる指南を柔軟に取り入れた結果なのだとか。本作に関して彼の名が取りざたされることは稀だが、超大作を手がけた名匠と新進気鋭の若者による師弟コラボレーションこそが真の推進力となりこの傑作が生み落とされたのだ。
SF、エンタメとしては超1流。差別が描き切れず含意は少し物足りない。
SFとしては非常に面白いです。ちょっと「謎液」設定が好都合すぎる気もしますが、それ以外はストーリー、発想、設定、映像などすべて高水準の映画でした。
1人の男と1人のエイリアンの出会いがストーリーの中心になり、ヒューマンドラマを展開します。そのドラマの中、エイリアンの生態や科学水準は語られるというよりもストーリーで読み取れます。非常によく練られた脚本だったと思います。ラストシーンもなかなか内面描写が直接的じゃなくて、じんわり感情にくるような秀逸な終わり方でした。
ただし、です。ヨハネスブルクということはアパルトヘイト、つまり黒人差別のアナロジーという読み取り方をすることができると思いますが、そこのメッセージが中途半端でした。舞台設定、話の要素にとどまっていたかな。そこを期待していた分、ちょっとがっかり感があります。
その点では日本のアニメの類似作「ニーアアンダー7」はこんなに暴力的ではないですが、よほど深い話でした。エンタメ、エイリアンもののSFとしては超1流ですが、含意が少し物足りないかなあ…
意図せずコメディのよう
とある惑星からやってきた宇宙飛行船がアフリカの上空に停滞して、エイリアンたちが地球の限られた地区に住む。管理された地区。そこはスラム街と化した。エイリアンを強制移住させようと、管理会社の管理職が出向いていって、エイリアンのエキス?に感染する。
左腕がエイリアンのようになり、さらにエイリアンのように変化していく様は、「ザ・フライ」を彷彿させた。エイリアンを酷く扱い、駆逐していくような管理会社。スラム街に居座るギャング。そうした三つ巴の紛争、銃の撃ち合いが続く。最後はモビルスーツみたいなロボットのようなものが出てきて、、あまりに現実感がなく、意図せずのコメディのよう。深く考えれば、異質なものとの共生、排斥ということなのだろうが。
CGすごいし面白かった。
まずこの作品がひと昔前だと言うのに驚いた。最初は取材っぽい撮り方でテンポよく見れる。ただグロ耐性ない人にはキツイ描写の連続😱
確かに主人公は人間的に残念な部分あるけど、個人主義な国ってこんな感じなんかなと。それもあってあんまり感情移入なくサクッと見れる。
エイリアンもそこまで脅威って訳でもなく共存(隔離)生活してたってのも他作品と違うところかな。
エイリアンへの扱いが動物か虫レベルだなと感じた。アパルトヘイトを参考にしてたのなら納得。
どうなるのか気になる展開で最後まで楽しんで見れた。主観では納得行く結末ではなかったけど作品としてはよくできてると思います。
多様性が問われる2020年代の今こそ観るべき作品である
もう13年も前の作品なのか。古臭さはまったくない。今の世の中にある差別問題や多様性がテーマになっていて、時代を先取りしていたんだなと改めて気づいた。
中途半端に終わる
ドキュメンタリー風のストーリー。
自己中心的すぎる主人公に少しイライラする。
最後のシーンで「そうなったのか…」となる展開があるが、それ以降どうなったのかよく分からない中途半端なところで終わる。
奥さんは主人公のヴィカスを愛しているようだったが、特に手助けしたりはしないところは残念。
まあ、よかった、
予備知識なく見たけど、ドキュメンタリーチックな映像で話もおもしろく興味深く見られた。
でも、主人公の捜査官?は、序盤、せめてエイリアンのとこに立ち入るのにマスクや手袋などはしていくべきだろう、と。(笑)
エイリアンと言葉も通じてるのが不思議でもあり(笑)、まあ、そこは突っ込まないでおこう。
グロテクスなとこもありつつ、ストーリーはわかるし、「どの人物がどういう立場」ってのもわかって最後までしっかり見られた。
多少長く感じながらも、感傷的、せつない部分もあれど、総じて「まあ、よかった」かな、と。
人間の身勝手さと悪いところが色濃く表現されている。 けれどもストー...
人間の身勝手さと悪いところが色濃く表現されている。
けれどもストーリーや設定はこれまでにないものがあり、新鮮でおもしろい。
斬新な作品です。
どういう立場で観ればいいのかな?
映画としてはテンポが凄く早いし、娯楽性も高いし、設定は奇抜なのにリアリズム満点だし、なかなかの作品です。
ただ、やり過ぎ感高い宇宙人がグロテスクな割には、メッセージ性も含まれているので、おバカなドタバタアクションとして笑い飛ばせばいいのか、シリアスにとらえるべきなのか迷います。
アパルトヘイトの実際の事件をモデルにしているらしいけど、南アフリカ人じゃないとそこはわかりません。戦闘シーンは中東戦争ぽくて、かかる音楽も何やらコーランみたようなアレンジで、更に錯乱します。後引くような、夢に観そうな独特の味わいがあります。南アが舞台の映画って殆ど日本ではお目にかからないので、町の雰囲気も珍しいですね。
圧倒的な大きさに驚かされます。
内容は突如、南アフリカ🇿🇦の都市ヨハネスブルク上空に巨大なUFOが飛来した所から物語が始まる。降下してきた異星人👽と先住民族との軋轢の物語。最近連載が終了した。デデデデッドデストラクション浅野いにお著作漫画が好きで酷くインスパイアされた映画を閲覧。好きな言葉は、『我が惑星は…』自分達の星が何らかの理由で住めなくなって、仕方なく地球に移住する姿は切なくなりました。南アフリカの人種隔離制作は当然の事ながら、映像的なインパクトは素晴らしい。巨大浮遊物物は『メッセージ』『未知との遭遇』など色々ありますが驚きました。やはり画面からはみ出して見えて来る様な映像表現は、映画の良さを伝えてくれます。出落ち感は否めない内容の浅いものですが、只デッカい物が好きなのかもしれません。同じ監督で『チャッピー』2015年も観たことありますが『第九地区』の方がテーマ性がハッキリされていて楽しかったです。最後のゴミ置き場で鉄の花を作るシーンは、続くでもなく終わるでもなく溶け込んで始末する姿は面白かった。同じ監督作品でテイストは似ていますがクリエイティブに生きる事は残酷だなぁと思いながら作品を鑑賞しました。
差別、共存など社会情勢を題材にしたSF映画の傑作。完成度がすばらしい。
(ネタバレなし、原作未読レビューです)
まず、動画の完成度に驚きました。本当に12年前の映画なのかと疑ってしまうほどのCGのクオリティと、アクションのリアルさです。映画自体のテンポもよく、見入ってしまいました。
この手の映画のほとんどは宇宙人が侵略するというのがほとんどですが、この映画は難民として扱われ隔離されるという、斬新なパターンの映画で新鮮でした。そして隔離されているのは南アフリカのヨハネスブルクという皮肉さです。また、エイリアンのことをエビと呼んだりと現代の差別情勢をうまく映画に組み込んでおり社会風刺画のような映画でした。
なかなかグロくてR12の理由がわかりました。正直中学生にもあまりおすすめするような映画でもないと思います。ですが、社会の現状やエンディングの今後どうなるかという考察が楽しめることを踏まえると高校生くらいにはおすすめできると思います。ですが本当にグロすぎるというかリアルすぎます。なんせエイリアンがエビに似すぎて一時エビを食べれない気がします。
ドキュメンタリー仕立てのSFが新鮮。中盤からの怒涛の展開に心が締め付けられ、深く考えさせられる。
ホラー映画かと見紛う程のグロさに、気持ちが悪くなる。だが、この気分の悪さは視覚からだけではなく、想像力や精神的な部分から来るものだと気付く。
冒頭から緩めのドキュメンタリーチックな展開にB級感が満載なのだが、本当に観せたいのはSFでもアクションでもなく、南アフリカを舞台にした差別へのメッセージ。
『第9地区』というスラム化した場所で''人間''と''エイリアン''が共存しているという構図だが、秀逸なのは最初にエイリアンを地球で保護した事で、上下関係を明確にストレートに鑑賞者に理解させた事。人種差別に''異人種''差別を加え、管理する側と管理される側の''人権''とは何か。
「相手の立場に立って」と簡単には言えない、お互いに置かれている環境の違い。その環境が変わって初めて分かる、虐げられる理不尽さ。主人公:ヴィカスとエイリアン:クリストファー。この関係性、外見以外の「"人"という括りとは何か」という問いかけが、とにかく心に突き刺さる。
見た目、外見ではない「心」の綺麗さ。苛立ってしまう程に横暴な人間ヴィカスの、時間と共に目に見える変化をドキュメンタリーとして。そして、衝撃的で感動的なラストを是非。果たして約束は守られるのか、続編も楽しみ。
【エイリアンを追い出す側から、追い出される側になった男・・。今作の舞台が南アフリカだけに、差別、共存を考えさせられる社会派SF映画。】
ー 序盤は、突如、南アフリカ、ヨハネスブルグ上空に飛来した巨大宇宙船の内部に居た、衰弱した海老に似たエイリアンたちの姿と、彼らを”第9地区”と呼ばれる一時退避させる場所へ連行する様をドキュメンタリー風に描いている。
異色の描き方である。-
◆感想<Caution !内容に触れています。>
・当初はMNU(多国籍エイリアン対策組織)のヴィクスが、MNUの父親の七光りの元、エイリアン達をスラム街同様の”第9地区”から、ヨハネスブルグから100キロ離れた、新キャンプで構成された“第10地区”へ移す責任者に指名され、燥ぐ姿が描かれる。
- エイリアン達への差別行為をする人々の姿。-
・だが、ヴィクスが、エイリアンの中でも知性あるクリストファーの家に入った際に、筒状の容器に入った黒い液体を浴びてしまう所から、物語は”ザ・フライ”を想起させる展開になっていく。
- ヴィクスの右腕は、エイリアンの様に変形し、爪は剥がれ・・。彼は、MNUから生体実験用として、追われる立場に・・。
シニカルな展開であるなあ・・。-
・クリストファーは20年以上かけて、自宅の地下に宇宙船を作っており、それに乗り母船に戻る計画を立てていた。更には、ヒト型ロボットも・・。
- ヴィクスが、ヒト型ロボットと”合体”して、クリストファーを逃がそうと闘う姿は、日本のアニメや特撮モノの影響を受けているのであろう。ー
・半ば、エイリアンと化した、ヴィクスはクリストファーが動かす母船を、希望を持って見ている。そして、皆の前から姿を消す・・。妻へのガラクタで作った花を残して・・。
<3年後に、クリストファーは残された仲間や、ヴィクスを助けに戻って来るのであろうか・・。
物語構成や、テーマ性が面白き社会派SF映画である。
ニール・プロムカンプ監督は、長編第一作の今作の大成功を受け、その後「エリジウム」「チャッピー」を制作したが(いづれも、オモシロイ。)、その後、随分新作を発表していない。
新作を早く観たいモノである。>
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