「泣いた」第9地区 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
泣いた
この映画観た時泣いた。
「安っぽい感傷の涙なんて、クソだっ!!」
と云わんばかりの映画で、泣きそうになる度にそれを打ち消すようなゲスなシーンが差し込まれて、涙も引っ込むんだが、ラストでついに涙決壊。
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エイリアンのクリストファー・ジョンソン(なんつう名前だ!)がイイ。
見た目がエビ&昆虫&ゴラムだけどイイ。
ものすごくブサメンだけど心根は真っすぐなんである(と思う)。
ほんとはもっと人間のこと憎んでいいはずなのに、憎悪よりも哀しみを湛えたところもイイ。
彼の息子のリトルCJがどうしようもなく愛おしい。
コイツだけは守ってやらんと、という母性本能のようなものが掻立てられる。
見た目不気味なエイリアンに、ここまで感情移入させるなんて、たいした映画だと思う。
(エイリアンへの共感を、言葉ではなく映像的に誘導していく点も素晴らしいと思う。)
本作の主人公ヴィカスは、ゲスな人間で腹が立ちっぱなしだったんだが
ラストのバトルシーンがイイ。
彼の乗ってるロボットがヨロヨロになりながらも闘う姿にグっとくるんである。
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クリストファーとヴィカスは
故郷に帰りたい(愛する人に会いたい)っていう共通の願いを抱えている。
二人の願いがシンプルで真っ当なものだからこそ、この映画、バイオレントでありながら感動的なのだと思う。
二人が決死の覚悟で研究所に乗り込むシーンは本当に良かった。
二人が醸し出す相棒感は「リーサル・ウェポン」を
子を守りたいって思いは「エイリアン2」を彷彿とさせ
そんな王道さをしのばせつつも
「感傷なんていらないよ!」というスタンスは最後まで崩さずトボケた感じを貫ぬいたのは天晴としか言いようがない。
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南アの人にとっては、バカで汚く邪魔者だったエイリアンも
ナイジェリアの人にとってはパワーの源で憧憬の対象という描写も面白かった。
憧憬の表現がまた何とも言えずグロかったけれども。