「今そこで起こってる臨場感がある(・∀・)」第9地区 初台験さんの映画レビュー(感想・評価)
今そこで起こってる臨場感がある(・∀・)
モキュメンタリーと言ったらいいのか?
シャルト・コプリーの実況から入り、ある日急にエビ星人が宇宙からやってきて地球上で生活をし始めてる中、独自に色々な機械やら道具やらを作り始め、地球人は気味悪がってその排斥をが始まる。
このカメラを通してキャスター風に実況中継したり、暴力でエビ星人を排除していく様は完全に報道番組(・∀・)
そこで地球人の暴力性、そしてそれを観てる視聴者の「現実乖離感」をうまく表現できてると思うΣd(゚∀゚d)イカス!
いかに現場ではひどいことが行われていても、カメラを通して見るものはどこか現実感が感じられず、視聴者も「今そこで起こってる」という臨場感がかなり薄くなって、その結果自分とは関係ない他人事と映ってしまうもの。
そしてシャールト・コプリー自身がエビ星人を射殺した時腕を怪我して、そこにエビ星人の返り血を浴びて、そこから徐々に自分もエビ星人に変身し始める。
それを知られて殺されようとするが、急いで第9地区に逃げて行って人間の言葉が分かるエビ星人にかくまってもらうけど、そこで初めてエビ星人の立場に立っていかに地球人がこれまでひどいことをしてきたのかを身をもって実感する。
結局最後はエビ星人に変身しちまうけど、ラストカットは哀愁を感じさせながらもどこかすっきりしたような印象(^_^)
最初は横柄で調子こいてて軽薄な感じだけど、エビ星人に変化してきて周囲から殺されそうになってきて第9地区に逃げて徐々に思いやりの感情を持っていく演技の変化がすごい。
アパルトヘイトを経験してきた南アフリカでこれが製作されたということが非常に意義があると思う(^O^)
やってることは白人が黒人を弾圧した事実と被る。
エビ星人の造形は『エイリアン』とか『プレデター』の影響が強い気がするし、クライマックスで第9地区を大破壊するロボットは『アバター』とも似てる(・∀・)
アバターでは完全なハッピーエンドだけど、これはまだまだ弾圧は続くということを匂わせてるし、そしてエビ星人に変身した主人公もいつ人間に戻れるのか、それとも一生このままなのかも分からない。
さらにモキュメンタリー調にしたことで「これは今起こってる現実のことなんだぞ」という制作側のメッセージも伝わってくる。
傑作です(^O^)/