「SFアクション×差別×ザ・フライ...要素てんこ盛りで面白い」第9地区 おばけやさんの映画レビュー(感想・評価)
SFアクション×差別×ザ・フライ...要素てんこ盛りで面白い
アカデミー賞にノミネートされた今作。
なんかいろいろな要素てんこ盛りで、どの要素もきちんと面白いからしっかりしてる。
シナリオの粗さは結構目立って、「え、なんで人類をはるかに凌駕する技術力を持っているはずのエビたちが、あんなスラムで過ごしたままなの?」「賢いエビたちだけは死んだっていうけど、あまりにも知能差ありすぎじゃない?」「第9地区のクリストファーのアジトを突き止めたMNU、動き遅すぎじゃない? なんで車も金もないヴィガスたちがさきに襲撃できてんの...?」
みたいな。そういう、ツッコミどころは結構ある。
ただ、一つ一つのシーンが面白くて。常に先が気になる表現を続けているのも魅力的。
主人公が全然主人公っぽくなくて、くそやろーっぷりを最初から見せつけられるんだけど、次第にこう、かっこいい部分を見せていくところにも燃える。
そして、差別の描き方がうまい。エイリアンを相手にするからこそ、人間の差別的心理が、よりリアルに描かれるんだよね。
もし、この映画を黒人とか、人間を相手にして作るとしたら、たぶん放映できない。
なんか、偽善っぽくなるし、ポリコレ的問題が多発する。
でも、ドキュメント風にで、エビたちの愚弄さを描く。視聴者たちも自然と差別する側の意識に回る。それが、映画が進むにつれて、その見方が一一方向的なものでしかない、ということも分かってきて...。人間が差別を行う心理を、すっと描くのが面白い。
そして、最後のアクションの連続。ガジェット好きにはたまらないアクション描写。そしてラストシーン。
おいおい、妻、あそこまで加担しておいて、最後は悲劇のヒロインかい、っていう描写でまた、ツッコミたくはなるけれど。
それを補ってあまりある、たくさんのジャンル的要素と、面白いシーンがたくさんあるので、見る価値ある