「踏み込めない偶像、ハリウッド目線」ワルキューレ The Dudeさんの映画レビュー(感想・評価)
踏み込めない偶像、ハリウッド目線
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最後のテロップ、”ヒトラーに抵抗した多くのドイツ人が存在したのだ”に対する「ほとんど英国人俳優やん!」というツッコミはさておき…
トム・クルーズ演ずるシュタウフェンベルグ大佐を中心に話が進むのだが、人物像があまりにも正義かつ有能な人物として描かれ過ぎている。製作の経緯からも彼への敬意を必要以上に画面に出す必要があったことは分かるが、スターであるトムが首謀者のように振る舞いたかったこともあるだろう。このナルシズムのせいで物語のリアリティは失われた。(しわよせで無能扱いとなったゲルデラー元市長やオルブリヒト大将が可哀想。)
シンガーらしくない家族の描写も話の腰を折っている。作戦中に妻を気にしているところは特に嘘臭い。やはり親族への気配りか、或いはトムのナルシズムか(後者だろう)。
結局、この主人公にリアリティが無いために、表層的なハリウッド娯楽ものに留まる作品となった。ヘフテン中尉の最期(史実通り)の撮り方に「やっぱシンガーだな」と思ってしまったのは意地悪だろうか。偏見だろうか。
個人的にはドイツ人俳優で見たかった題材だ。
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