天使と悪魔のレビュー・感想・評価
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宗教に浸かった犯人がもたらす謎
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 70
演出: 75
ビジュアル: 75
音楽: 65
1668年、イルミナティという科学者のグループが教会(バチカン)に弾圧された。そしてそのグループが、300年以上たってから現代になって急にバチカンに復讐を開始する。しかも科学的ではなくすごく宗教的な方法で。
ものすごく違和感のある始まりである。今まで何も活動してなかったイルミナティが、なんで今更そんな大昔のことを持ち出して、急にバチカンに報復をやる気になったのか。それに土・空気・火・水という「科学の祭壇」を使って焼印を教皇候補にいれて殺すとか、科学者のやり方というよりも相当に宗教を意識した殺し方をする。ある意味で最初からわかりやすい展開である。これはイルミナティという「科学の」秘密結社が起こした事件と断定するには、あまりに怪しすぎるなということがである。
その後の謎解きは簡単に次々に進んでいく。犯罪がそのように宗教的な物語に沿っていくという特徴があるからである。宗教の物語の謎解きが映画の主題になっている以上、犯罪が宗教から外れることがない。本物の犯罪というよりも、すでに物語が出来ている宗教のロールプレイングゲームを一つ一つ段階を踏んでやっていくというような感じである。そのあたりは犯罪の謎うんぬんというよりも、手口から宗教にどっぷりと浸かっているという犯人のプロファイルがわかりやすく、なんとなく最初から話の不自然さや怪しい人物がわかってしまうのも欠点である。
その意味ではご都合主義な物語なのだが、そこに突っ込みを入れなければそれなりに見れる。犯人がこれだけのことをした真の目的も面白い。
日本人に馴染みのないカトリックの世界を、奇麗事だけでなく闇の部分も含めてわかりやすく描いているのもいい。未だに科学よりも宗教の教義を信じる人が外国には多いし、宗教も絶大な力を維持している。この映画では宗教を直接非難するのではなく、間違いをしっかりと指摘したという意味で中立的であり評価できる。
原作を読んでから映画を見てよかったと思う!!
宗教と科学の対立を描いた作品。
「ダヴィンチ・コード」と同様、鑑賞前に原作を読んだ方が、映画をより楽しめると思う。
古来より、神の存在について科学で立証されることを恐れたヴァチカンは、秘密結社イルミナティを弾圧してきた。ガリレオもイルミナティの一人である。
イルミナティはその弾圧を逃れるため、ベルニーニ等の巨匠たちの作品に密会場所を示す暗号を残した。ローマを縦横するその暗号は四大元素 土 空気 火 水。
今回ラングドン教授は、拉致された4人の枢機卿を助けるべく、この暗号に挑戦する。
と同時に、スイスのセルン研究所で開発された"反物質"というエネルギーのリミットも掛けられる。
犯人によって研究所から持ち出された反物質はヴァチカンを消し去るほどの爆破威力を持つ。
午後8時から一時間毎に殺害される枢機卿と午前0時がリミットの反物質を如何に見つけ出せるのか?
トップシークレットであるヴァチカン書庫にパスする権利を得た教授は、ここでガリレオ著書に隠された詩を発見し、最初の 土 に対する教会を特定する。
これ以降は映画の展開が速い為、とんとん拍子に暗号を解読し、ラストまで駆け抜ける。
このヴァチカン書庫に入る前のカメルレンゴとラングドンの会話が印象的だった。
「あなたは神を信じますか?」
「頭では決して理解することは無いでしょう」
「では心では?」
「・・・」
私たちは幸せな時よりも、窮地にいるときほど、「神様 どうか」と手を合わせ祈ることが多いと思う。
人間は心のどこかで、神様を信じているのかもしれない。
反物質とは、無から物体を作り出す研究であり、これは神が人間を創ったとする宗教の教えを科学によって証明することでもある。
宗教の否定ではなく、科学との融合である。
計り知れない研究が行われているものだ、と私には全く理解不能の域であるが、
いつかこの実験が成功し、悪用されることなく、人類の繁栄の為に使用されればいいと思う。
映画のラストは前作とは違い、ど派手なアクションと新教皇の祝賀によって幕を閉じる。
劇場公開としては、本作の方が向いていたかもしれないが、他の鑑賞者の方の意見は賛否両論、真っ二つであった。
本作の方が好き嫌いがはっきり分かれる作品なのかな、と思った。
私はやはり、原作を読むかどうかで映画への評論が分かれるのではないか、と思ったが・・・
映画「天使と悪魔」
超一流 第一級のスリラーというのは こういう作品のことを言うのだと思う
ダン ブラウン原作、ロン ハワード監督によるアメリカ映画 「天使と悪魔」130分を観た。
2006年「ダ ビンチ コード」に続いて ダン ブラウンによる作品の映画化。作品としては 「天使と悪魔」の方が 2000年に 「ダ ビンチ コード」が2003年に刊行されて 全世界でベストセラーとなった。
主人公は ロバート ラングトン教授。二つの作品を読み比べてみると「天使と悪魔」のときは まだ若かったからか ヘリコプターから飛び降り 空から落ちてきたり、水底に潜って溺れる人を救ったり、何度も全力疾走したり 007並みの大活躍だが、「ダ ビンチ コード」になると 少しだけ肉体派から脱却して 知性の塊となって中年教授の渋みが出てきている。それにしても、ラングトン教授の博識には いつもながら感心、感動、私は大ファン。
監督:ロン ハワード
製作総指揮:ダン ブラウン
音楽:ハンス ジマー
キャスト
ラングトン教授:トム ハンクス
カルメンゴ:ユアン マクレガー
ヴィットリア:アヤレト ズーラー
ストーリーは
ハーバート大学象徴学者のロバート ラングトン教授のところに 突然 スイスにあるヨーロッパ原子核研究所機構から 使いが派遣されて、スイスに招聘される。世界で初めて生成に成功した「反物質」が盗まれ、その「反物質」を作り出した学者が殺された。
無残にも学者の胸にはイルミナテイの紋章が焼印されていた。反物質とは 新しいエネルギーで 放射線の100倍のエネルギー効率を持つ。原子核研究所機構のセットから外されて 盗まれた反物質は 24時間以内に 研究所のセットに返さない限り 爆発する。24時間以内に回収できなかったら 爆発をくい止める方法はない。
時を同じくして バチカンに イルミナテイから脅迫状が届く。「反物質」をバチカンに仕掛けたという。何世紀も前に絶滅したはずの イルミナテイという秘密結社が ヴァチカンのローマ法王の突然死した直後に バチカンを一瞬の内に 跡形もなく吹き飛ばすほどの威力のある新型爆弾を仕掛けた。おまけに 次期ローマ法王候補のうち、もっとも有力候補だった4人の枢機卿が誘拐されており、イルミナテイはその一人一人を一時間ごとに公開処刑する という。
イルミナテイは カトリック教会に身代金を要求しているわけではない。脅迫でもなく、これは宣言であり、何世紀ものあいだ イルミナテイを迫害してきた教会にたいする復讐なのだった。
イルミナテイとは17世紀にできた哲学、科学者の間で作られた組織で、彼らは カトリック教会から迫害されて 地下で秘密組織化されたが、すでに消滅したと考えられてきた。ラングトン教授は イルミナテイの主要メンバーだった 科学者ガリレオが残した著書にヒントを得て 4人の枢機卿が公開処刑される場所を同定して、救助しようとする。反物質の生成を成功させ殺された学者の娘 ヴィットリアも一緒だ。
ガリレオは科学者だったが 敬虔なカトリック教徒でもあった。科学は神の存在を脅かすものではなく むしろそれに説得力を与えるものだと考えていたが 時の権力者 カトリック教会は ガリレオを異端者として裁き 迫害した。イルミナテイの会員のうち4人の科学者は 生きながら胸に十字の紋章を焼印されて公開処刑された。何世紀もたった今、イルミナテイは この恨みを晴らそうと、復讐にでた。
ガリレオは 沢山の著書を残しているが 科学的事実で公表を許されなかった論文や出版社に焚書されたものが多い。ラングトン教授は ガリレオの出版を禁止された著書に、ガリレオの友人で同じくイルミナテイの会員だった 作家ジョン ミルトンの4行詩が書き込みされているのを見つける。
悪魔の穴開く サンテイの土の墓より
ローマに縦横に現る神秘の元素
光の道が敷かれ 聖なる試練あり
気高き探求 天使の導きあらん
この詩に 誘拐された4人の枢機卿が公開処刑される場所が 隠されている。イルミナテイは 科学の4大元素を 一つずつ4人の枢機卿の胸に 生きたまま焼印を押されて殺す予定だ。4大元素とは 土、空気、火、水。イルミナテイは 午後8時から1時間ごとに 4人の法王候補者を公開処刑して、深夜12時には 反物質が爆発をしてバチカンが跡形もなく爆破される。ラングトン教授とヴィットリア、バチカン警察、スイス警備隊は 猛烈なプレッシャーのなかで 爆弾の発見と 枢機卿の救出に走り回る。
とびきり頭の良いイルミナテイと、時間の限界のなかで これまた天才的な頭脳と行動力を持ったラングトン教授の対決と知恵比べが ものすごくスリリングでおもしろい。時限爆弾が仕掛けられているので 刻一刻、爆発の時が迫っている。もう、気は気ではない。
法王の死去にともない 新しい法王を選出するコンクラーベ(選挙)までの間 死去した法王の秘書だった若い牧師、カメルレンゴの肩にのしかかった 重大責任と苦悩。カメルレンゴの複雑に 絡み合って解けない 法王への絶対的な愛情と憎しみ。この作品のラングトンに次ぐ 主人公カメルレンゴも、魅力的に描かれている。
読者または観客は 時限爆弾を抱えたまま 暗号を読み解きながら ローマ市内をラングトン教授とともに 走り回る。土、空気、火、水のヒントを探して 意外にもイルミナテイの会員だったベルニーニが彫刻や教会に残した意味を説き解いていく。ローマの地図を頭に描きながら 一通り市内観光をしてしまう。スリル満点。映画の完成度は、「ダ ビンチ コード」より この作品のほうが 高い。
映画を観た人は 本を読むことをお勧めする。本を読んだ人には映画を観ることをお勧めする。とにかくおもしろい。
ダン ブラウンという人、1964年ニューハンプシャー生まれで、45歳。父は数学者、母は宗教音楽家、妻は美術史研究家だそうだ。
「天使と悪魔」、「ダ ビンチ コード」に続く第3弾「THE LOST SYMBOL」が脱稿され、ことしの9月に出版される。
ワシントンを舞台に、フリーメイソンをテーマにした作品らしい。
フリーメイソンは 中世のヨーロッパでギルト社会を守る為に作られた組織だった。それが今でも続いている。チャーチルも ケネデイーも会員だった。入りたくて入れる組織ではない。世界で一番 入会審査の厳しい 今も現存する組織だ。この組織をラングトン教授が どう暴いて解き解いてくれるのか。またまた教授が どう活躍してくれるのか 楽しみだ。出版される日が 待ち望まれる。
私の協力が必要なんでしょ?
映画「天使と悪魔」(ロン・ハワード監督)から。
どのシーンだったか忘れたが(汗)
ヴァチカンから助けを求められたラングドン教授が、
こう呟くシーンがある。
脅しにもとれるこのフレーズ、実は最後まで引きずった。
主人公が犯人ではないかと思われるほど、
事件現場で、ことごとく隠された暗号を見つけていく。
いかにも偶然を装っているが、その発見がなかったら、
物語は、前に進んでいかないから、始末が悪い。(笑)
「私の協力が必要なんでしょ?」とトム・ハンクス。
「あなたの協力は必要ありません」こう言いたくなる私がいた。
しかし「あなたに見つけてもらわないと・・」と困るんだなぁ。
偶然見つけた、ある部屋の中の「録画」がなかったら?
キリスト教の世界は変わっていたかもしれない・・と考えると、
あまりにも、お粗末な展開だと、途中でメモをやめた。
この映画を数式にすると、
(日本のTVドラマ「火曜サスペンス」+米国のTVドラマ「24」)÷2
この数式を理解して、観たくなるか、どうかは、読者にゆだねたい。
謎解きが破綻
快調な物語の展開と音楽、役者の魅力で観る者を引きつけ、飽きさせることがなかった。
宗教と科学のあり方についてという、古くて新しい主題も、それなりに原作の良さをくみ取っていました。
しかし、重要な部分で原作を変更してしまったために、謎解きが破たんし、観る者に「こいつが犯人?」と思わせるような描き方をしていた人物の一人が、実は事件直後に真相を知っていて、2週間も放置していたということになってしまった。
殺し屋の超人的な能力を強調しようとしたのか、教会での銃撃場面で、彼だけが被弾しないというやり過ぎには目をつぶるとしても、この脚本の綻びは、どうしようもないですね。
久しぶりにスカをひいてしまいました。
悪趣味極まりないサスペンス
死体を使っただけのオリエンテーリング。
実に悪趣味。
テンポのいい編集と音楽に騙されて、何となく面白いような錯覚を起こしたが、見終わった後でよくよく考えてみたら、矛盾だらけのトンデモ映画だ。
宗教の苦悩
『宗教にも間違いはある。人間に間違いがあるように。』
最後の方でラングドンに語るセリフが印象的でした。
映画の内容を含めた、宗教がもとで戦争や対立が起こることへの戒めでしょうか。
宗教嫌いの私には納得の一言でした。
でも『神のおこないには間違いはない』と続けたいのでしょうけど。
映画全体の印象は、ラングドンが一人で推理・行動・手遅れ?×3
+推理・行動・救出+軽いどんでん返しと言う流れで、淡々と解決進行し、盛り上がりに欠ける印象。字幕で見せる映画。ランチア版ムラーノ初めて見ました。
曇天気分。。。
ダ・ヴィンチ・コードの続編だったので前回を上回る衝撃を期待して観に行きました。
良かった点は、教皇選出方法や歴史の闇などを知ることができた点、前回同様街並みや教会などプチ観光ができた点です。
残念な点は、画と音楽がチグハグな点、監督のメッセージが伝わって来ない点、真犯人がよくしゃべっていたので序盤から目星がついてしまった点で、
ラングドン教授のずば抜けた推理力でもっとテンポよく解決して行って欲しかったです。
余談ですが、コンクラーベでTAKAHASHIさん(確かこんな苗字…)を見つけられませんでした。すごく気になります。
根競~べとカメル連合。
原作は読んでいないけれど、なんでもこっちの方が一作目で、
ダ・ヴィンチ~の方が後だったらしい^^;映画では前後させたのね。
まぁしかし核となる問題はまったく別で、特に前作を観てないと!
ということはないし、どちらかというと今回の方がエンタメしてる。
しかし、観る前にチラリと読んだチラシ云々~の部類には、
科学と宗教の対立!というのがガリレオの研究なんかを交えて
かなり面白く書いてあったのだけど、実際に蓋を開けてみたら、
そういう描写より内部問題^^;って感じで、しかしラングドン教授は
走るわ!走るわ!そうか、トムってこの撮影で痩せたんだ!?と
思うくらい、展開が足早に過ぎ去っていく…。まぁタイムリミットは
24時間ですからね。そりゃ暗号も急いで解かなければ!だけど、
これを観る限り、トムものすごく頭が良いんだ!?としか思えない。
(あ、スイマセン。良いんだと思います。実際。)
なにしろこちらときたら、「コンクラーベ」が「根競ーべ」に聞こえるし、
「カメルレンゴ」が「カメル連合」とか、いやユアンの名前か?とか、
そんな風に勘違いばかりする難聴客なもんだから、参った参った^^;
いや、でも、面白かったです。うん、特にラストは。
いったい誰がイルミナティなのか…。という疑問符をいかにも~?
なところへ投げかけておいて、エェ!あ~やっぱりね。的なところへ
着地させたというか…。勘のいい人はまぁ分かるとは思うんだけど、
俳優たちがとてもいい演技をしてくれてますね。
私はあまり主役達には興味がなくて(ホント、さっきからスイマセン)
ユアン、ステラン、刑事に暗殺者、そしてアーミンさんの枢機卿。。
いいですねぇぇぇ。見応えありました。皆さん上手いんだもん~。。
しかしアーミンさんは幅広い^^;ギャングやったり枢機卿やったりと…。
「あなたは神を信じますか~?」というカメルレンゴの問いに、
ラングドンが何とか交そうと蘊蓄を捏ねるところが面白かった。
ガリレオも、もとは敬虔なローマ・カトリック教徒だったそうだ。
研究してたら…それが分かっちゃったんだから、もう仕方ない。
とりあえず、私達はこの地球上で生きているのだから、
人間達は仲良く相互いを認めあって平和な人生を全うしないと。
(神々しいヒトって、実は内面的に悪魔なのかもしれないぞ~。)
知的ミステリーに身を任せて見ました。
前作「ダヴィンチ・コード」は、前評判ほどおもしろくなかったけれど、今作は、怒涛のミステリーツアーの展開で、推理好きの私にとっては、面白かったです。
余計なことは考えず、疑問は気にせず、ストーリー展開に、身を任せて楽しみました。
1時間毎に殺人が起きるのだから、次から次へと休む暇もなく展開する。
動き回る。
走り回る(車がすごくイイな)。
ローマ市内の観光名所を次々と回ってくれて、それが珍しくもあり、興味もあり、見る者をあきさせない。
犯人かな?!と思わせる、アヤシイ人物が3人ほどいる。
誰だろう? この人か? あの人か? と思いつつも、深く考えず流れに身をまかす。
宗教も階級社会なのねと思ったり、聖人でもやっぱり人間なのね?!と思ったり。
科学と宗教、相反するもののようで、実はとても近しいもの。
イルミナティが考えたアンビグラムという文字はとても美しい。
ラングドンとヴィットリアが、恋人関係になったりせず(たった1日のことなので、無理ね)、良かったと思う。
ハンス・ジマーの音楽は、荘厳で、ミステリアスで、それでいて、進歩的で、良かった。
彼の音楽って、好きだな。
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