劇場公開日 2011年8月12日

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「樹のようにつながっている」ツリー・オブ・ライフ xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5樹のようにつながっている

2011年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

皆さん、こんにちは(いま、8月26日pm6:30頃です)

う~ん、哲学的だな。
哲学というものをどう捉えるか?
それによって、この映画の評価は変わるだろう。
哲学?そんなものは結構。もっと、楽しいやつが好きなんだというひと。
哲学って好きなんだ。高校のときの「倫理社会」の授業も、ほかのとは
違って興味を持って聴いたもんだというひと。
それは様々でしょうが、僕は好きだったんです。

ミクロとマクロ。人間の息遣いと、宇宙や自然の成り立ちといったらいいんだろうか。その両方が交互に現れる。

ミクロは少年の息遣い・・・誰にも経験があるだろう、光景。
父性愛とそれに対する憎悪。男は強くなくちゃいけないんだという。そして、自分を大きく見せようとする父親。それに反発する少年。
母親のぬくもりと嫌悪感。こよなく愛しているのに、父親に服従ばかりしているじゃないかとなじる少年。弟たちに対する思いとジェラシー。
好きになった女の子に、わざとつらく当たる。そのくせ、彼女の下着を盗んだりするが、あわてて川に捨てる。そういった諸々の自分に対する罪悪感。

マクロは宇宙と地球と大自然と、その営々と連なった歴史だ。
火が燃えてる幻想的なシーンが何度も現れる。
宇宙史というのか地球史というのか。まだ、人間が生まれる前の世界。その生い立ちのなかに、山がぶつかり、できあがる。
恐竜たちの熾烈な戦いもあり、弱肉強食の世界もあったりする。
その過程のなかで偶然にも、人間が現れる。

ミクロとマクロを結びつけるのが、宗教であり、哲学だ。
泉のような永遠の世界。父親も、母親も、兄弟たちも、かわらぬ姿で登場する。そう、それは「この世」というより「あの世」というべき世界。
そうまさしくイマジネーションの世界。宗教的というより、マリック監督が突き詰めた想像力「哲学」なのだ。

正直、ストーリーはドラマチックではないし、役者もブラッド・ピットはよかったけれど、ショーン・ペンの演技力は必要としないんじゃないかと思ったりした。

だけど、哲学的世界を思いっきり広げた映画をリスペクトしたい。

xtc4241