ミラクル7号 : インタビュー
「少林サッカー」「カンフーハッスル」で大ヒットを飛ばし、ハリウッド実写版「ドラゴンボール」にも携わるチャウ・シンチーの最新作「ミラクル7号」は、超ビンボー親子と謎の地球外生命体“ナナちゃん”との交流を描くSFコメディ。シンチー扮する労働者の父ティーと息子ディッキーに扮したシュー・チャオ(本当は女の子)が抜群のコンビネーションを見せる本作だが、それもそのはず、シュー・チャオの才能に惚れ込んだシンチーは、実生活で彼女と養子縁組を果たしているのだ。スクリーンの外でも親子関係を築いた2人が、映画について語ってくれた。(取材・文:編集部)
チャウ・シンチー監督&シュー・チャオ インタビュー
「“家族みんなで楽しめる作品”を作りたかった」(シンチー)
「大人になったらお父さんのような監督になりたい」(チャオ)
――主人公ディッキーを含め、女性が男性を演じるキャスティングが多く見られますが、それは意図的なのでしょうか。
シンチー:「チャオチャオ(シュー・チャオの呼び名)が演じたディッキー役には、約1万人の子役のオーディションを行ったが、どの男の子も満足がいかなかったんです。ところが、気が付くと女の子はみんな好印象だった。そこでチャオチャオに演じてもらうことになりました」
――シュー・チャオさんは男の子を演じるは大変だったのでは?
チャオ:「正直言って、最初はどう演じればいいのか全然分かりませんでした。(抜擢されて)びっくりしたけど嬉しい気持ちもあり、何だか不思議な気分でした。髪の毛をバサッと切られてしまったのが本当に嫌でしたが、演じていくうちに徐々に慣れていきました」
シンチー:「撮影前の彼女の髪の毛は腰の長さまであったんです。それで切るときに泣いたんですよ。ちょっと可哀相でしたね(笑)」
――ほかにも大人の女性が小学生の男の子を演じていたり、男性プロレスラーが小学生の女の子に扮しているのも面白い設定ですが、その意図は?
シンチー:「まずはディッキー役に女の子であるチャオチャオを選んだことから始まりました。実はほかのキャスティングも難航していたのですが、もしかして男女を逆に演じればすべて解決できるのでは? という発想で今回のキャスティングになったんです」
――シュー・チャオさんは、巨漢の同級生マギーに恋されるのはどんな気分でしたか?
チャオ:「これはまさにコメディですね(笑)。むしろ、ある種異質なコメディですよね……もう絶句です(笑)」
――エイリアンのナナちゃんというキャラクターがとても愛らしかったですが、親子愛がテーマの物語にSFの要素を取り入れたのは何故ですか?
シンチー:「僕が作りたかったのは“家族みんなで楽しめる作品”なので、子供が見て好きになってくれるかどうかがとても重要になってきます。そこでSFを扱おうと思い、ナナちゃんというキャラクターが生まれました」
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