「【”この子は息子ではない!”腐敗し切った1920年代のLA市警を相手に、真実を追求する信念を曲げない母の姿が切なくも心に沁みる作品。実話ベースである事も恐ろしさを増幅させている作品である。】」チェンジリング NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”この子は息子ではない!”腐敗し切った1920年代のLA市警を相手に、真実を追求する信念を曲げない母の姿が切なくも心に沁みる作品。実話ベースである事も恐ろしさを増幅させている作品である。】
■1928年のロサンゼルス。シングルマザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)は9歳の息子ウォルターと幸せな毎日を送っていたが、ある日、家で留守番をしていた息子が失踪する。
それから5カ月後に発見されたとの報が入るが、クリスティンの前に現れたのは、息子に似てはいるが身長も違う、見知らぬ少年だった。
ー ご存じの通り、今作は実際に在った20人もの子供を誘拐し殺害していた”ゴードン・ノースコット事件”を絡ませている。
そして、観る側はクリスティンが腐敗し切ったLA警察に果敢に迫る姿と、緊迫したサスペンスを並行で見ながら、物語に没入して行くのである。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・捜査に当たった、ジョーンズ警部(ジェフリー・ドノヴァン)や警察本部長(コルム・フィオール)の警察の対面しか考えない愚かしき姿に、怒りを感じる。
ー ジョーンズ警部は、”この子は息子ではない!”と抗議に来るクリスティンを、精神病院にぶち込むのである。
そこには、警察に歯向かっただけで拘留されている”コード12”と呼ばれる女性達が多数収容されている。女性達の人権を無視した腐った司法の実態。-
・ブリーグレブ牧師(ジョン・マルコヴィッチ)の動きにより、病院を出たクリスティン。それでも、彼女は息子を探し続けるのである。
ー ブリーグレブ牧師が居なかったら、どうなっていたのか・・。-
■そんなある日、サンフォードという少年が警察にやって来る。レスター・ヤバラ刑事(マイケル・ケリー)が対応するが、少年が口にした驚愕の出来事。
ー レスター・ヤバラ刑事はノースコット牧場に駆け付ける。警察の中の数少ない良心を持った刑事である。
事態は、急転直下する。-
■更に、クリスティンは、ブリーグレブ牧師の紹介でハーン弁護士を雇い、精神病院に隔離されていた女性達を解放し、LA市警に訴訟を起こすのである。
ー 胸の好くシーンである。-
<そして、ゴードン・ノースコットの裁判と、LA市警に対する聴聞会が市民の批判を交わすため、市警の意向で同時に行われる。
が、ゴードン・ノースコットは当然、死刑。ジョーンズ警部は無期限の停職、警察本部長は解任されるのである。
だが、クリスティンはその後も”希望”を持ちながら、息子ウォルターを探す決意をするのである。
実話ベースの作風は、クリント・イーストウッド監督の自家薬籠中のモノであるが、今作程恐ろしく切ない作品は、少ない。
秀作であろう。>