劇場公開日 2009年5月29日

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スター・トレック : インタビュー

2009年5月26日更新

ボーン・スプレマシー」での冷徹な殺し屋役から一転、新生「スター・トレック」では、温厚な医師ボーンズ役を好演したカール・アーバン。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズに続いて、再び群像劇に出演することになった彼に、本作に出演した感想を聞いた。(取材・文:編集部)

カール・アーバン インタビュー
「J・Jはいろんなところで、ピーター・ジャクソンを想起させるんだ」

カークとともにスターフリートに入隊したボーンズ。医師としてだけでなくコメディリリーフとしても活躍する
カークとともにスターフリートに入隊したボーンズ。医師としてだけでなくコメディリリーフとしても活躍する

──カールさんは“トレッキー”(スター・トレックの大ファン)だと聞きましたが、ファンとして本作の脚本を読んでどんな感想を持ちましたか?

「“トレッキー”っていうのは、コスプレをしたり、コンベンションにいったりする人のことを指すので、僕は違うんだけど、『スター・トレック』の大ファンであることには間違いない(笑)。66年にジーン・ロッデンベリーが作ったオリジナルTVシリーズのエッセンス、スピリットを感じさせる脚本で、夢中になって読んだんだ。TVシリーズはカルトなキャラクターが物語を引っ張っていっていたんだけど、この映画もまさにそうで、すべての要素がきれいに詰まっている。良い脚本だと思ったよ」

──今回は、最も注目されている映像クリエイター、J・J・エイブラムス監督との仕事でしたが、今までもピーター・ジャクソンやポール・グリーングラスといった一流の監督と仕事をされている、あなたから見て、J・J・エイブラムスが他の監督と比べて優れているところは?

4年ぶりの来日。ボーンズ役に出会うまで 多くの仕事を蹴ったという
4年ぶりの来日。ボーンズ役に出会うまで 多くの仕事を蹴ったという

「J・Jはいろんなところで、ピーター・ジャクソンを想起させるんだ。彼らは2人ともエピックを作っているにもかかわらず、一瞬でパッと個人の身近なものに近づかせる。例えば、この映画の中で女性が宇宙に吸い込まれてしまうシーン。凄いなあと思いながら、“彼女はどうなってしまうんだろう”と急に彼女に対して思いを寄せられる。同じように『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』で、合戦前に両軍が対峙しているシーンでは、一人の兵士が緊張のあまり矢を放ってしまったことから戦いが始まってしまう。要するに、2人とも大きなエピックシーンの間に、パーソナルなカットを挿入して、映画に緩急をつけるのが凄く上手い監督なんだ。当然、観客はそういったシーンを目にすることによってキャラクターに対して共感するわけだからね。あと、俳優が仕事をしやすいようにしてくれるところも似ているね。この点に関してはJ・Jはピーター以上だね。演技に関しては、もの凄い自由を与えてくれたから、豊かに演じることができたと思ってる」

──「ロード・オブ・ザ・リング」に続いて、この「スター・トレック」もUSSエンタープライズのクルーが主役の群像劇ですが、群像劇を大勢のキャストで作っていく上で、気を付けたことはありますか?

「キャストすべてがお互いに対して、寛大、寛容であることだと思う。それはどういうことかというと、この人が主役だ、この人の方が大きい役だとか、オレの方が優れているとか、そういうことは言わずに、お互いに敬意を払って、お互いの仕事を認め合いながら、お互いを大事にしている。この映画では、クリス・パインとザッカリー・クイントが主役だけど、主役も脇役も関係なく、みんなが平等に接したことが重要だったと思う。そういった意味で、映画全体を大事にしながら、自分の役割を認識して、きちっとおのおのの仕事をすれば問題はないんじゃないかな」

──今回のツアーで仲良くなったキャストはいますか?

「ジョン・チョウだね。彼とは今回のプロモーション・ツアーでずっと一緒で、一番長い時間をともに過ごしたんだ。でも、こうやってツアーを回って思うことは、この新しい『スター・トレック』に関わったメンバーのみんながこれから10年先、どんな仕事をしていくんだろうっていう期待だよね。それぞれに『スター・トレック』とは違う仕事もしていくわけで、その作品選択、演技を含めて、メンバーの将来がすごく楽しみなんだ」

──「ボーン・スプレマシー」を見てからしばらく経つんですが、カールさんの顔をスクリーンで見たのは久しぶりのような気がします(カールの日本公開作は05年の「DOOM ドゥーム」以来4年ぶり)。やはり役を選ぶのにかなり慎重になっていたのですか?

「やっぱりハリウッドだと、自分がずっとアクションをやっていたために、どうしても同類の映画のオファーばかりが来てしまう。だから『ボーン・スプレマシー』のような役はすべて断ったんだ。そんな中で、今回の役をやってありがたいと思ったのは、ハリウッドのプロデューサーたちから、“こいつ、こんな役も出来るんだ”って思って貰えるチャンスを得たってことだよね。やっぱり自分としてはこれからも多様に役を選んでいきたいし、自分の役者としての幅を拡げていきたいと思っている。言い換えれば、次が何になるかはまったくわからない。ただ、ひとつだけハッキリしているのは、これまで素晴らしい監督、共演者と一緒に仕事をしてきたことを無駄にしないような賢い選択をしないといけない、ということだね」

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