スター・トレック : インタビュー
TVシリーズ「HEROES/ヒーローズ」の連続殺人犯サイラー役で注目され、本作のスポック役を射止めたザッカリー・クイント。初来日となった彼に本作に出演した感想や撮影時の苦労などを聞いた。(取材・文:サトウムツオ)
ザッカリー・クイント インタビュー
「今回は撮影を楽しまないわけにはいかなかったね」
──スポックのメイクをするのに、撮影中は毎日何時間ぐらいかけましたか?
「メイクは毎朝2時間かかりました。まずヘアをセットして、それから顔のメイクアップというプロセスでした。例えば眉毛の処理に関しても、スポックは眉毛が少し上の位置にあるので、下の方を剃って、上の方は眉毛を1本1本植毛する感じで付けるという具合。付け耳についても、耳を付けたあと、メイクで耳をなじませました」
──スポックのおかっぱ風な髪型、あれはウィッグ(かつら)ですか?
「自分の髪ですよ(笑)」
──それなら撮影中、友人にヘアスタイルを何て言われました?
「いや、なるべくキャップをかぶって髪型を見せないように努力したから、残念なことに、友人の大多数は見ていないよ(笑)」
──TVシリーズ「HEROES/ヒーローズ」の超能力者を狙う連続殺人犯サイラーがあったからこそ、キャスティングされたのだと思いますが、スポック役を射止めた経緯は?
「オーディションでした。製作者サイドはあのサイラーで、僕に興味を持ってくれたみたいだ。それで、オーディション用のテープをキャスティングディレクターに送ったら、J・J(・エイブラムス監督)に見せてくれたようで、すぐさま彼からオファーが来た。オーディションはたった1回で、スムーズにキャストされてラッキーだった。すごくオーガニック(有機的)に決まったようです」
──スターフリート(惑星連邦艦隊)のユニフォームに初めて袖を通したとき、興奮しましたか?
「あの感激は今でも忘れられないよ。ものすごくエキサイティングな瞬間だったけど、同時に、これからやらばければならないことがいっぱいあるな、と大きな責任感みたいな感覚をいだいた」
──人類とバルカン人のハーフであるというスポックの特性が二面性を表していて面白いですね。最初はバルカン人らしく感情を完璧に抑え込んでいますが、カークやウフーラとの関係を経て、徐々に感情をあらわにしていきます。
「脚本が素晴らしいガイドラインになっていて、スポックがどこまで感情をあらわにするかがちゃんと示されていた。その点、ボブとアレックス(ロベルト・オーチー&アレックス・カーツマン)に感謝しなければならないね。撮影は必ずしも順撮りではなかったので、脚本がとても役立って、スポックの感情をプロセスを追ってうまく表現できたと思う」
──スポックは最初、USSエンタープライズのクルーと心から交わろうとせず、どこか一線を画していますね。撮影中は他の俳優たちとどのように接していたんですか?
「たしかに、スポックは仲間はずれなところがありますね。ですから、プライベートでオフでいる時間はなるべく人と会わないように努めた。けれど、あの撮影現場でみんなとすごく仲良くなってしまい、撮影を楽しまないわけにはいかなかった。いつもならメソッド方式で演技を組み立てるんだけど、今回ばかりはみんなとワイワイして楽しみました」
──今回の「スター・トレック」は全米でも大ヒットしましたが、続編出演の話など、すでに届いているんですか?
「実は、出演契約したときに3本分まとめて契約しているんだよ。だから第2作がもしも製作されれば、みんなで出るってことになるに思う。ただ現在のところ正式にスタジオから何にも話をもらっていない。けれども、全米興行成績でものすごい数字を叩き出したことはとってもエキサイティングなことで、うれしかったよ」
──撮影中、天才・エイブラムス監督を間近に見ての感想は?
「たしかに彼はマーケティングの天才だけれどもクリエイティブの面でも天才だ。アイデアが無尽蔵に湧いてくるのが素晴らしいんだ。彼の作品にこうして出られたことはとても特権的なことだと思っているし、今後ももし彼の作品に出るチャンスがあれば、ベストを尽くしたいと思うよ」