「どの嘘が世界を救う??」ワールド・オブ・ライズ karin061さんの映画レビュー(感想・評価)
どの嘘が世界を救う??
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アメリカ本国での評価があまり高くなかった理由が分かるような気がします。
この物語の結末では「最後に勝利する強いアメリカ」が描かれていないから。
世界を救うためについた嘘?
ぶくぶくと醜く太ったホフマンはアメリカ本土で家族と暮らし、
自らが危険に晒されることなく、
電話一本の伝言と命令で多くの人間の運命を左右します。
その傲慢さと肥え太った外見は「大国アメリカ」の負の部分の象徴に見えました。
一方冷徹な中に何所か心の優しさが垣間見えるフェリスも、
世界を救うためにでっちあげのテロ組織すら作り上げて、
罪の無い人間を犠牲にしてしまいます。
この後に展開される目を覆いたくなるシーン・・・。
それは生々しいほど現実感がありました。
ホフマンの「嘘」。
フェリスの「嘘」。
そして彼らを上回る「嘘」で二人を欺き最後に目的を果したハニ。
ハニはあわやのところでフェリスを救出しますが、
捉えられたフェリスが多少(かなり)「痛い」思いをさせられてしまったのは、
フェリスが2度もハニを裏切ったことへの「懲罰」の意味も込められていたのかもしれません。
私たちとはかけ離れた世界で繰り広げられている騙し合い。
今もきっと誰かが「世界を救うために」壮大な嘘をついているのでしょう・・・。
これは現実の物語です。
そして同じ事を繰り返しながら
人はちっとも学習することなく、
世界も混沌としたまま一向に進歩しない・・・。
鑑賞後にそんな重苦しい倦怠感も感じてしまいました。
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