ジャスティス・リーグ : 映画評論・批評
2017年11月21日更新
2017年11月23日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー
ユーモアのリミッター解除。DCのスーパーヒーロー集結は王道の勧善懲悪が爽快!!
「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」「スーサイド・スクワッド」(16)の相次ぐ不評、そして完成を目前としたザック・スナイダー監督の途中降板など、不安要素が先行したDCフィルム・ユニバースの最新作「ジャスティス・リーグ」。しかし「アベンジャーズ」(12)のジョス・ウェドンが残りを引き継いだことが奏功したのだろう。完成した本編は暗く、重い、午前3時のようなDCとは趣を異にする、コミックらしい自由性やユーモアのリミッターを解除した快作になっている。
スーパーマン(ヘンリー・カヴィル)の死によって、秩序を失いつつあった人間社会。そんな隙をつくかのように、邪悪な最強戦士ステッペンウルフが現代によみがえる。狙いは世界を掌握できるマザーボックスを、我が手にすることーー。バットマンことブルース・ウェイン(ベン・アフレック)は、この差し迫った危機に立ち向かうべく、かつてステッペンウルフの野望を阻止したアマゾン族、その末裔であるダイアナ・プリンス=ワンダーウーマン(ガル・ギャドット)と共に、卓越したパワーを持つ超人たちをスカウトしていく。そして同時にブルースは、リーグ結成の背後でもうひとつのもくろみを果たそうとする。それは最大の戦力となる、スーパーマンの復活であった。
「ジャスティス・リーグ」はスーパーヒーロー集合ものにありがちな混み入った筋立てではなく、巨大な敵を駆逐するために仲間を招集するという、王道の一本型ストーリーだ。そして一本型であるがゆえに、未完成な超人たちがチームを経て成長する、そんなドラマがダイレクトに感情のツボを刺激する。ソロ作品のないアクアマン(ジェイソン・モモア)、フラッシュ(エズラ・ミラー)、サイボーグ(レイ・フィッシャー)の存在が心配だったが、本作では先のような要素に併せ、彼らのキャラを引き立たせる展開が用意され、フロントマンであるバットマンやワンダーウーマンの存在に隠れるようなことはない。
なによりスナイダーの可変速度効果を駆使したダイナミックな映像描写と、ウェドンの魂を揺さぶる熱いドラマ演出との、奇跡のようなマッチング。加えて音楽がダニー・エルフマンになったことで、劇中には彼が手がけたティム・バートン版「バットマン」(89)のテーマが流れるなど、旧来のファンの心を体感型シアターのように震わせる。それぞれ名匠たちの優れワザが活かされ、ひとつの大きな成果を生み出すところ、本作は映画の内側も外殻も「リーグ」の結束を感じさせずにはおれないのだ。
(尾﨑一男)