つぐないのレビュー・感想・評価
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原罪と恋愛は小説の永遠のテーマ
年老いた女流作家が追憶する少女期の出来事の、あまりにも悲痛な恋愛ドラマ。ジョー・ライト監督の演出は「プライドと偏見」の時よりも進化して、モンタージュと音の効果に新しい試みを行い、文学の世界観の表現に近づいた印象を持つ。ジョセフ・ロージー監督の「恋」を連想させるが、原作者イアン・マキューアンの世界は更に心苦しく、感情の複雑さに至る。ラストのバネッサ・レッドグレーブの登場で、作家内の想像と小説の為の創造が一つになる面白さが凄い。キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ共に好演。
小説完読後の満足感に似た感銘を得られる反面、鑑賞時の精神安定も求められる難しい映画。
未熟な嫉妬が産んだ悲劇
10年前のシアーシャ・ローナンと髪のあるマカヴォイ
シアーシャちゃん鑑賞目的で観た。『追想』と同じくイアン・マキューアン原作だが未読。という時点で多少は予想しておくべきだったのかもしれない。ヴァネッサ・レッドグレーブどこかに出てきたっけと途中で思ったのに。
最後でそれまでのことが作中作と明かされフンフンとなったところで、さらに後半はそうあって欲しかった創作と明かされ「信用できない語り手」だったことがわかる。そうですかそうきますか。それでこのタイトルですか。どちらかというと、小説版の邦題『贖罪』の方が、失われた人生の重みや取り返しのつかない罪を犯した罪悪感の強さを感じられるかな。ブライオニーはみんなよかった。
息もできない
嘘が悲劇に
「罪 」と「小説家」の成り立ち
聡明な少女ブライオニーの誤解と軽い恋心が、姉と恋人を不幸のどん底に つき落とす
自分の賢さにも 慢心があったかも知れない
この不幸に 戦争が絡み、散り散りになってゆく、人々…
姉妹は 看護婦になり、姉の恋人は ヨーロッパ戦線へ 向かう
ブライオニーは あの事件を反芻しながら、大人になり、真実に気付く
悲しい話だが、これは「小説家の成り立ち」の話でもある
罪を抱えた人間、不幸を知る人間が 物語の語り部になる、という真実
そして、それでも 罪の方は許されない という事実
とても良く 出来た映画で、原作が傑作であろうことが 判る
ダンケルクの海辺における、イギリス軍の撤退と 祖国に戻ることを熱望しなから息絶えたロビーの姿に、多くの兵士を 重ねて見る
私は 会ったことの無い祖父(ガダルカナルで戦死)のことを 想った
I saw him my own eyes. 切ない・・・
少女の嘘から生まれる悲劇的なストーリーはもちろんですが、物事を別の視点から見せたり、タバコとか蜂の羽音とか印象的な小物を挟んでいたり、何よりダンケルクの浜辺での長回しと何かと作りが上手い映画でした。
キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイも去ることながら、シアーシャ・ローナンが素晴らしい。あの家の中で角をキュッと曲がって歩く姿だけでキャラクターの曲がったことを嫌う性格を表している感じがしました。アカデミー賞ノミネートも納得です。その分成長したブライオニーを演じたロモーラ・ガライに違和感が(-_-;)ベネディクト・カンバーバッチも意外と重要な役所で出てましたね。
ロビー生きててシーと結ばれたんだ。良かったぁっと思ったら実はそれは創作の中で、現実では戦争で亡くなってたっという救われない話で。それに小説でハッピーエンドをつける事で自分がついた嘘の「つぐない」とするブライオニー。確かにもう二人とも亡くなってたらどうしようもないのですが、きっと老齢になるまで13歳の時の出来事を後悔してたんだろうなぁっと想像するとそれもまた切ない。ラストの浜辺で楽しそうにしているシーとロビー。それもブライオニーの想像と思うとなんとも切なくて泣けてきました。
ブライオニー、、、
せつない...
少女の正義感
どうしようもない、苦しい。
誰だって人は、自分の行動に、謝っても謝りきれないくらいのことがあると思います。
妹の姿を見ていて、とってもとっても苦しかったです。
二人を引き離してしまい、
結局二人は会えず、
自分だけ生き残ってしまう。
どうしようもない、けど申し訳ない。
一つの出来心、なんなら、してやったりの心が引き起こした大きな悲劇。
それぞれの細かい事情だったりはほとんど描かれていなかったように感じます。
だからこそ、“罪”という存在が中心として捉えやすかった。
時系列の表現、視点の変換が、
すっきりとしているのに、とても重たく効果的だったと思います。
考えさせられる、というより
人間のどうしようもない感じ、愚かさ、悲しさをズキズキと感じました。
そして、映像や画がとてもきれいでした!
同い年だけど…
贖罪
やめとけ、陸にいる海軍は当てにならない
映画「つぐない」(ジョー・ライト監督)から。
ストーリーとは全然、関係ないフレーズかもしれない。
辛い戦争が終わって、大勢の兵士が国へ引き上げる場面、
船で帰還するため、砂浜にいた陸軍兵士が、
なんとか、少しでも早く帰れるように、
そばにいた、海軍兵士に頼もうとしていた。(状況が違うかも)
そんな彼を見て、呟いた台詞。
「やめとけ 陸にいる海軍は当てにならない」
なるほど、面白い発想だな、とメモをした。
もっと広く考えれば
「陸にいる海軍・空軍は当てにならず、海にいる陸軍・空軍、
空にいる陸軍・海軍も当てにならない」ということだろう。
各々、自分の力を発揮できる場所、ポジションがある。
それ以外のことを聞いても、まともな応えは返ってこない。
そう肝に銘じておくだけでいい。
それだけで、仕事でも生活でも、イライラが減るのだから。
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