「、『君のためなら千回でも』という台詞に、千回でも感動させられます。」君のためなら千回でも 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
、『君のためなら千回でも』という台詞に、千回でも感動させられます。
かつて『ネバーランド』で全世界を感動させた、マーク・フォースター監督の新作です。この作品も前作同様感動作です。おそらく時間と共に名作として長く語り継がれる作品となることでしょう。見ようかどうしようか迷っているなら、ぜひお勧めします。見終わった後の後味がとてもいい気持ちになれますよ。
本作品は、時代や運命に翻弄された2人の少年の友情を軸に、愛、信頼、絆、過ち、後悔といった人間の本質を鋭く描き出しています。
少年時代に後悔という十字架を背負った主人公が、過去の過ちを償うため、自らを犠牲にする悲痛な姿は見る者の涙を誘います。
根底に流れるものは、運命によって引き裂かれた主人公のふたりの少年の悲しみではありますが、2人の誓った『君のためなら千回でも』という絆の深さは暖かい感動さえ感じさせてくれました。
物語の最後には、いつでも強い信念と勇気を持って一歩を踏み出せばもう一度やり直すことができる、と希望に満ちたメッセージを送っています。
原作のテーマである人間性と精神を崩すことなく、悲しみの中にも希望を見出そうとする人間の強さを見事に描いた作品に仕上がっています。
本作は30年間にも及ぶ、主人公アミールの親友ハッサンへの贖罪の話なのです。
掛け替えのない友が暴力にあったとき、自分にも勇気が出るだろうかと問わずにはいられません。
そんな二人を演じる子役は、現地で直接フォースター監督がオーディション(実際は凧揚げ大会だった)をして決めたのだそうです。しかも二人がクランクアップした後には、周囲の迫害から逃れるため、家族を含めて生涯の生活の保障まで付けたというから、さすがハリウッド映画のやることは違います。
『ネバーランド』で実証したように、フォースター監督は素人の子供を演出する能力に長けており、子供らしい微妙な気持ちの変化や表情など、今回も子役の自然な演技が際だっていました。特になにも命令されても従順なハッサン役が印象に残りましたね。
この作品では、アフガンの文化や風習が見事に再現されており、アミールがカブールを目指す途中の山岳風景、険しい道のり、そしてスリル満点の国境検問シーンなど、まるでドキュメンタリーを見ているかのようにリアルでした。
さらに、アフガニスタンの青い空を背景にした凧合戦の凧を、凧目線で追うカメラワークは見事でした。このシーンのために、CGも使っているとのこと。そのため凧合戦の凄いスピード感とアクロバティックなカメラワークが、よく表現できました。まるで自分が凧を操っているような感動を覚えさせられるようなシーンでしたね。
最後に、『君のためなら千回でも』という台詞は、ラストでも再び出てきて、感動させられます。見返りを求めない気持ちを表す実にいい言葉です。 小地蔵も、困っている人を見つけたら、無条件で『君のためなら千回でも』といって、そそくさと行動できるような慈悲に溢れる菩薩さまになりたいものです(^^ゞ